ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来 [Kindle]

制作 : 柴田裕之 
  • 河出書房新社
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レビュー : 19
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感想・レビュー・書評

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  • サピエンス全史とかぶる内容もあったが、今回は歴史ではなくこれからの人類について歴史を元にした未来予測をされていた。
    なぜこんなにもリアルに予測することごできるのか。ほれは著者が歴史学者だからなのだ。
    「歴史は繰り返される」と言うが、悪い未来・嫌な未来をこさせないために歴史を知ることは重要なことなのだと感じた。

    人間至上主義で、地球上のあらゆる動植物よりも犠牲にして成長してきた現在から、次の時代はデータ至上主義に入ろうとしている。
    人間の意思決定よりも、あらゆる行動情報を記録したデータに基づく人工知能予測の方が自分が幸せになる意思決定をできる可能性が高い。
    そうなったときに、人間至上主義でほかのものを犠牲にしてきたように、データ以外のもの、つまり我々自身も同じように扱っていくのだろうか?

    という、どこか説得力を感じる問題提起に頭を悩まされた。

  • 昔、友人にすべては01(ゼロイチ)で表現できると言われ、進路変更したことがある。でも、その後、転回することになる。現在の友人には、霊の話を聞かされているが、今の私には、その道に行くモチヴェーションもない。結局、科学主義が私の現状である。今、統計の勉強をしているのも、そのためだ。以前、『統計学が最強の学問である』というシリーズ本で、人工知能は人間には理解されないが、統計は人間に理解されやすいようになっている、という利点が書かれていた。

    でも、サピエンス(人間)に理解されるかどうかがもっとも重要なことなのかと問われると、困ってしまう。自分がサピエンスであるから、その視点でしか物事を見えないような気がする。それが現状である。

    知能と意識を区別していたところに感銘を受けた。確かに、人工知能は時代の申し子であるが、人工意識はあまり聞いたことがない。私は昔から、自己意識は必要ないという路線で生きてきた。意識もまたどこまで必要なのか不思議に思ってきた。本当のところを言うと、知能も必要ないのではないかとさえ思っているのだが、とにかく、万事が万事、うまく動けばいいという発想だった。それが、知能で動くのか、意識で動くのか、それはどうでもいい、そう考えてきた。しかし、結局、何かで動くと考えなければならない気もする。意識の価値を少しでも知りたい。

    そういえば、チャーマーズの『意識する心』という本もあった。仮に、すべてをコピーすることができるとするならば、意識の価値はなくなってくる。なぜなら、全く同じ意識なら、もうここにあるのだから、さらにもう一つは必要ない。また、他のすべてはコピーされるけど、意識だけコピーされないのであれば、そして、まともに動くなら、意識なんか必要なかったということになる。

    つまり、要約すれば、「意識は共有されず、知能ばかり共有される」:そこがポイントかも知れない。

    霊を信じている友人は、きっと、意識も共有されると信じているだろう。テレパシーの話もよく話した。だが、どういう要件を満たせば、テレパシーが成功したと言えるだろう。

    だがしかし、神を絶対視していた時代があったとすれば、これからの時代も変わりつつあるはずだし、価値をどこにおくかも変わってくるだろう。そのとき、何がいちばん大事なのかを深く心に刻んでおきたい。

    その変化というのも、カタストロフィのようにやってくるのでなく、徐々にやってくるというのがこの本を読んでの読後感である。

  • 神性の獲得,人間至上主義の脱却,テクノ宗教…
    未来思想本としてはどこかで読んだことのあるありきたりな内容でパンピー受けは良さそう。
    前著『サピエンス全史』でハードルが上がってしまい期待はずれ。

  • 2019/6/26読了。世界的ベストセラー『ホモ・サピエンス』の続編。読んでいると、人類の進化と併せてその恐ろしさを感じる。自らをデウスのごときに昇華させるサピエンスが今後何をしでかしていくのか?富むものと貧しいものとの間に、想像を絶する生物学的な格差をもたらすのか?我々人類がどこへ向かうのか戦慄を覚えた。

  • 本書は知の巨人が書いた、化物じみた本であり、あまりに学んだことが多くノートにまとめた要点は16ページに及んだ。

    近年はAIの出現により人間の仕事が奪われるという観点で書かれた書籍が多い。しかし、本書によれば、AIを含めたテクノロジーの進歩により奪われるのは人間そのものの存在価値である。正確には、本書では遺伝子操作、生化学操作、サイボーグ工学などを含めた総合的な視点での科学の進歩について言及している。私達は自らが信じるイデオロギーや宗教観が根本から崩されかねない危機に瀕している。

    しかも、「幸せの追求」という大義名分のもと、私達はそれらのテクノロジーの進歩を称賛し切望している。

    非死で能力を強化された超人を「医療」という体で生み出し、その技術による恩恵に預かれない「人間」という下等カーストが生まれる。

    また、膨大なデータから瞬時に答えを導き出すコンピュータにもはや人間は太刀打ちできないことを本書は事実に基づいて名言している。想像性と芸術の領域は安泰だと思っている方は是非本書を読んで欲しい。

    感情というものが空想の産物であることもまた、私達が今まさに自ら暴こうとしているのだ。もし人間がアルゴリズムでしかないのであれば、もはや生き物ですらないもの以下の存在となる。そして、データに所属すること、つまり自らの生体情報や知識をデータベースに提供することが生きる価値となると著者は言う。嘘だと思うなら、ウェアラブル端末に身を包み、必死にSNSに情報を発信している現代人を想像すれば良い。

    著者が本書に込めたメッセージは、これらの未来を防ぐために「私達はどう生きたいのか」選択する必要があるということだ。

    私は著者という知の巨人と比べてまったくの無知ではあるが、これから生きる上でこの人間の自己矛盾に注意して行動を選択していきたい。

    最後に、本書は哲学書ではなく、科学書であると述べて結びとする。

  • サピエンス全史の続編(?)ということで、利益に走ったのではないかと勝手に思って敬遠していたが、全くそんなことは無く、予想以上に深くて面白く、読み応えがあった。
    内なる単一の自己なんてものは存在しないと皆が思い、生物は有機的アルゴリズムだと考えるようになるならば、人間至上主義はデータ至上主義に取ってかわられる気がする。
    でも、必ず意思決定のための共同主観的な要素は残るので、果たしてその時に科学によるアップグレードは、一握りの価値観がより広く共有される方向と、多様性の共存を実現する方向のどちらに向くのか?

    最近流行りのSDGsとかは前者なのか後者なのか?サステイナビリティという観点でマクロでは単一の価値観を共同主観にしようという試みな気もするし、目指すゴールは後者に近い気もする。

    あと、ESG投資とかではない、旧来からの資本市場は既に限られた範囲内でのデータ至上主義になっているけれど、オルタナティブデータによる投資行動とかがもっと進むと、日常のあらゆる事象が市場の構成要素になって、その金銭的価値が人間自身を上回り、人は単なるデータ元になっていく気もする。
    信用スコアリングとかもそうだなー。信用のアルゴリズムを重視して、自身の欲求(生物の有機的アルゴリズム)を抑えるために薬とか使うのは、人間至上主義をデータ至上主義が上回っていることになるのか?タバコをやめるためにニコチンパッチを貼るのは、人間を有機的アルゴリズムの集合体として扱っていることになるのか?

    何にせよ、こういう観点がおると、ITと生物の勉強はとても面白くなりそう。

    (うーん、感想書きながら思ったけど、もう一回通して読まないと消化しきれてないなー)

  •  『サピエンス全史』で人類のこれまでを語った著者が、本書では人類の現在と未来を語る。話題の本であり、内容については随所で紹介されてると思うので感想のみ。

     知的読み物としては大変面白かった。ただ、本書で初めて知った衝撃的な事実のようなものがあるわけではない。自由民主主義と共産主義とファシズムの関係についての見方はやや目新しく感じたが、薄々思っていたことが明確に示されたという印象だった。ふむふむなるほどと読み進められた。

     将来に関する部分はあくまでも予測だが、決して荒唐無稽なSFのようなものではなく、現状すでに実現している事項の延長線上を見通すとこうなるというものだ。もちろん未来は我々自身が作っていくものだから、このまま進んで予想される未来が望ましくないと考える人が多ければ変わっていくだろう。

  • 内容をまとめるにも、うまく伝えられるかが自信がないという前提で書くと、サピエンス全史を現在から未来へ拡張したような本。筆者はあくまでドライな視点で、希望的観測によるミスリーディングを排除しながら、今後、世界で起こりうる倫理上のジレンマを描き出した。宗教が中心の時代から、自分らしく生きるという、人間中心の時代へ。さらに、人間の判断力を補うAIが人間の判断を代わりにする、ひいては支配するかもしれないという未来へ。

  • 感想を書くにもこれは広範にすぎて再確認したければ再読するか、せいぜいマーカーした部分を拾い読むしかない。とにかく今まで読んできたどんなSFより面白かったのは確か。5年ごとに「サピエンス全史」と再読し、どのように歩んでこれたかを検証できる楽しみが出来た。これがこの値段で手に入れることができる現在はそれこそが幸福だと言える。

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著者プロフィール

ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。専門は世界史とマクロ・ヒストリー。
オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、エルサレムのヘブライ大学歴史学部で終身雇用教授として歴史学を教える。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。
著書『サピエンス全史』は世界的なベストセラーとなった。2015年にヘブライ語で"Homo Deus: A Brief History of Tomorrow"を出版。その翻訳書『ホモ・デウス』が2018年9月に刊行される。

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