ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来 ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 未来を予測する系の本はいくつか読んだことがあるが、大抵は最新技術紹介であることが多い。それに対して本書はむしろ視点を過去に向けるところが特徴であると言える。なぜ過去に目を向けるのか、本書では歴史学者を通じて以下のように述べている。

    >歴史学者が過去を研究するのは、過去を繰り返すためではなく、過去から解放されるためなのだ。

    我々は現在の価値観が当たり前で必然で不変だと思いこんでいるが、それは違うのだ、と。だから本書では未来を考える前に過去を確認している。このあたりの考え方はヘロドトスの『歴史』に通じるものがある。

    『サピエンス全史』の著者だけはあって、非常に強さを感じさせる本。

  • 壮大なスケールで人類の未来を描き出す。壮大すぎて消化しきれていないが、下巻を読み終わった段階で再読を開始したい。

  • 人類の歴史は大局的に見ると飢饉・疫病・戦争との戦いの歴史でもあった.21世紀になった今,それらは解決できたとは言えないが,それでもそれらは手が付けられない自然現象ではなく,あくまで人間社会が引き起こす課題であり対処ができるものとなっている.人類はこれら厄災を克服しつつある.

    では人類はこれから何を目指そうとするのか?
    それは不死・至福・神聖であるというのが筆者の主張だ.

    不死・至福・神聖はいずれもここ300年で世界を牽引したヒューマニズム的イデオロギー(人間至上主義)が目指す究極のゴールである.ここ数百年で科学は革命的な進歩を遂げ,神は死に,自然をかつてない規模でコントロールする術を身につけ,己の欲望を叶え続けてきた.その影響は”人新生”といわれるほどである.

    その試みはどのようなアプローチが考えられるか?それはうまくいくのか?そもそもヒューマニズム的イデオロギーは肯定できるものなのか?さまざまな問いとそれに対する筆者の考察・主張が相変わらず豊富なエビデンスと平易な例えで展開される.

    サピエンス全史でもそうだったが,筆者の全体俯瞰力,豊富な知識,そこから紡ぎ出されるわかりやすいがインパクトがある(つまり,面白い)主張の論理展開は本当に脱帽ものだ.下巻も楽しみである.

    Audibleで読了.(読了に代わる言葉ないかしら.)

    ーーーーーーーーーーー

    ホモデウス

    飢餓・疫病・戦争 
    → 歴史を通し人類が戦ってきた災い.三千年期の今,それらは制御可能な課題になった. 
    自然や神のせいで引き起こされる解決不能な災害 ー> 原因があるとしたら人類で,解決可能な問題
    →人類と戦う?→不死(ホモデウス)を目指すのでは?
    →不死、至福、神聖
    人間至上主義(ヒューマニズム)の行き着いた先。

    物を基盤とする経済 ー> 知識を基盤とする経済.
    石油,穀物,金属 ー> 情報,権利,技術

    キリスト教・イスラム教ー>死は人生の総決算,生に意味を与える源泉
    技術ー>死は超自然的な物ではなく,生に特別な意味を与えない.技術的な不具合であり,克服されるべき物

    ロジックボム=サイバー攻撃

    糖尿病で死んだ人:300万人 テロリストで死んだ人8000人
    テロリストは本質的に”見せ物”

    ペンギン5000まんば
    鶏 20億鳥

    アルゴリズム≒レシピ
    アルゴリズムはイネーブラが必要→電力、マザーボード...人間
    →アルゴリズム執行機械としての人間
    (産む機械として徹底的に身体機能を酷使される家畜豚)

    わたしたちが下す決定の99%はペンと紙と思考ではなく直感、本能、情動が決めている。

    共同主観的神話→客観的科学
    →お気に入りの神話を受け入れさせる道具としての科学 宗教や神話をエンハンスする科学

    迷信や超自然現象→信じる人にとっては真実であり自然である。

    科学・合理性だけでは物事は決められない
    例 ダム開発の是非 経済発展をとるか地元民の生活、文化や自然の尊重
    →事実かどうかではなく倫理的・イデオロギー的問題

    宗教の戒律の分類:
    倫理的判断
    事実に関する言明
    これら組み合わせによる実際的な指針
    →科学が立証できるのは事実に関する言明のみ。価値観や倫理に関する疑問は取り扱えない。
    →ただ、イデオロギーにも必ず背景や原因があり、それは検証の対象になりうる

  • 科学はんんげんのための実用的な制度を創出するんは、いつも宗教の助けを必要とする。

  • 宗教と科学の関係、やはり同じところを目指すもの。
    虚構の世界。物語で語られた中での存在。
    人類のそれぞれの国や民族が信じるもの、価値感、それぞれの物語の中のもの。
    人間はこれからデウス、神を目指すようなことになる。全てをコントロールしていこうとする。遺伝子から何から。

  • 文章が面白い。サピエンス全史の作者ということで期待していたが、それを超えてきた。

  • 数十年前に読んだデニケンの「人類が神になる日」を思いだした。

    ただ、そもそも表現がかなり回りくどく解りにくい。
    著者の思想・立場に関わるものか。
    もう少し端的に判りやすく主張出来ないものか。
    これでは的確な論旨の理解が非常に困難である。

  • ふむ

  • かなりサピエンス全史と同じような事を書いていますが、普通に面白かったと思います☆宗教とかあんまピンと来ない人ですが、「科学は事実を研究」「宗教は価値観について語る」で理解すればいろいろと納得。

  • かつて人間にとって最大の脅威であった「飢餓・疫病・戦争」が「砂糖・老衰・自殺」にとって変わったというのが改めて字面とデータで示されると衝撃的。そして幸福の追求と人間主義という流れで上巻。 それにしてもこの図解まとめが最強。 https://note.mu/nogacchi/n/n0a09f10fa38e

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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