現実はいつも対話から生まれる [Kindle]

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想・レビュー・書評

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  • オーディブルで聴了。こういう本はオーディブルではだめですね。理解が追いつかない。いつか本で読みます。

  • 考えさせられる、すごくいい考え方と感じた。
    ただ、姿勢というか受け止め方中心で技法的な話はあまりなかったため、社会構成主義に拠って実際場面での関わりや提案等どう変わるのかはあまりピンとこなかった。
    社会科学、人文学分野への発展が強いともあったので、実証的というより質的なんだろうなと感じた。
    事例か何かも見てみたいと思う。

  • 社会構成主義の入門の入門。ガーゲン夫妻。
    使う言葉に前提となる価値観が含まれる。行う行為に前提となる道徳観が含まれる。言葉や行為が意味として生じるのはその言葉や行為の相手が反応したとき。意味は社会的に構成される。絶対的な真実の意味はない。個別の意味はある。自らの意味を絶対的な真実と思い込む危険性。
    人が人を必要とする。言葉は人を理解するために必要。人が一人の世界に完結するなら言葉もルールも道徳もいらない。人は人から離れられないということは人との関係を規定し規定される。
    大きなヒントがありそうな予感。たぶん本質は理解していないと思う。年内に再読しよう。

  • 社会構成主義とは、対話、相手との関係によって社会や(その人にとっての)現実が作られる。
    現実が作られるというのは、きっと個人にとっての現実という意味であろう(それぞれによって捉える見方は異なりそれはコミュニティに大きく左右されると書いているため)。
    対話によって、お互いの「現実」を共有していき、常に常にその現実を作り直していくという考えかたのため、対話が非常に重要視されている。現代のワークショップなどで重要視されるのは、この点がある。
    また、省察などもある意味、自分との対話という視点で捉えるならば、今これほど省察などが、重要視されているのかということがわかる。
    しかし、言葉の怖さというのも感じる。私たちは、言葉によってその社会を構成していこうというときに、言葉がそれぞれの今までの経験によって基づくので、その言葉のニュアンスが微妙に違うことがある。そのときに、きちんとどういうことかというように、また別の言葉で語尽くしていかないと、誤解が生まれたまま合意されていき、どこかで違和感のある社会になってしまうのかもしれない。
    今の、二分されている社会(アメリカなど)においては、言葉によって逆にどんどんとその対立が深まっていっているとバイリンガルニュースで行っていたが、ひとつはそのような誤解されたまま、またはもっと細かい分け方があるけれども、そこが加味されないまま進んでいるからというのも一つの要因なのかもしれない。

  • フランスを中心とするポスト構造主義あるいはポストモダニズムと呼ばれる思想の潮流の中で社会構成主義は発展し、デリダは社会の中に本質的な実在は存在しないとまで主張しました。これに対しケネス・J・ガーゲンは、社会構成主義の考えは社会のすべてが幻想だとか実存が存在しないということではないと主張し、人は対話(ダイヤローグ)を通して意味をつくっていくのであり、「言葉が世界を創造する」と述べて社会構成主義に新しい価値を与えました。

    つまり世界が構築される現場は「個人」ではなく「関係」にあります。私たちが「現実だ」と思っていることはすべて「社会的に構成されたもの」です。もっとドラマチックに表現するとしたら、そこにいる人たちが、「そうだ」と「合意」して初めて、それは「リアルになる」のです。これは、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』で挙げられていた「虚構を信じる力」と近しい考えです。

    重要なポイントは、人が「何が現実か」を定めるとき、常にそれは、ある一つの文化の伝統から話しているのだということです。確かに何かは起こりました。けれど、それを描写するには、ある特定の文化の観点を通さざるを得ないのです。つまり、その文化特有の言語だとか、見方、話し方を通して語らざるを得ないということです。

    社会構成主義は、文化や価値観、イデオロギーなどの前提や見方を変えることで、現実・意味を捉え直し、さまざまな価値の扉を開くことを可能にします。「唯一のベストな方法」を追求するのではなく「コラボレーション」によって未来を創造することができます。共創や多様性を重要視するとき、社会構成主義の考え方は、唯一無二の真実を追い求める姿勢から、複数の可能性を模索する姿勢を後押ししてくれるでしょう。

  • 対話に関する基本的な内容や基礎理論がわかりやすい書籍

  • 社会構成主義の解説書。
    世界は個人の思想や人格が個々に存在するのではなく、お互いの対話・関係性そのものが世界を作っている、という考え。この理解に沿った物事の考え方や、社会形成を促すイノベーションを提案する。

    英語の力を伸ばすよう求められた場合、これは「あらゆる人が一つの言語で会話すべきであり、話者が多い言語が特権的なのだ」と言っているに等しい78

    「……戦争を始める者というのは、自分が選んだ行動指針の正しさを信じて疑わないものだ。この才能が、人類を危険な種たらしめている」。85

    議論とは本質的に「他の手段での戦争」なのです。86

    「論文の対話性」という問題。科学の世界では、それぞれの分野内でのコミュニケーションとして論文が使われる。しかし論文の「口調」は、客観性に長けているが、多くの人へのわかりやすさに欠けている。これにより排他的になっている。特に社会科学の分野は、そもそも社会についての学問であるのに排他的になるのは問題。そのことを踏まえ、近年は論文の形式を変える研究者が現れてきた。例えばアボリジニの研究者は「研究者として」「研究者個人として」「アボリジニ当人の発言として」の3つの口調を並列した論文を作った。別の研究者は、「幼児虐待被害者」「その加害者(父)」「研究者(自身も過去に虐待被害者)」を並列させた97

    構成主義の考えは一つの「超越した真実」が存在するという思い込みに異議を唱えるものなのです。133

  • 現実を疑う準備

  • 人は暗黙のうちに自分にとっての「当たり前」形成してしまい、個人の固定観念に囚われてしまう。自分の当たり前である前提を見直し、相手の前提は何か?ということに気を配る。相手の前提を受け入れることまでには至らなくてもよい。そして自分にとっての正解を相手に押し付けるのではなく、自分と相手との関係性から生み出せる意味を創造することが、対話の醍醐味である。

  • 社会構成主義に関して学べる書籍。
    ちょうど「他者と働く」を読んだ後だったので、流れとしては非常に親和性のある話だった。
    社会を構成しているのが対話をしている我々であるため、すべての人々は社会の部分集合であるという認識を持った。
    しかし、後半の章ではそれだけでは、一定の規律などがなく、否定的な意見をするという主張もあると指摘もあって、なかなか感慨深い話だった。

    ◆目次
    第1章 「社会構成」というドラマ
    「私たちが世界を創造している」という基本的な考え方
    「言語ゲーム」から「可能性のある世界」へ
    徹底的な多元主義
    科学か? それとも宗教か?

    第2章 「批判」から「再・構成」へ
    「脱・構成」とそれを超えて
    「個人」から「関係」へ
    「調和した行動」としての意味
    関係的な「自己」
    「マインド」の関係的な「再・構成」

    第3章 社会構成主義と専門行為
    社会構成主義と心理療法の変化
    社会構成主義と組織の有効性
    社会構成主義と教育現場
    対立への社会構成主義的な対処

    第4章 社会構成主義の実践としてのリサーチ
    知識という行為を「再・構成」する
    社会調査の方法の開花

    第5章 「批判」から「コラボレーション(連携)」へ
    「ニヒリズム」から「豊かな現実」へ
    「現実主義」を越えて:体、心、力(権力)
    「道徳的相対主義」を越えて

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