土 地球最後のナゾ~100億人を養う土壌を求めて~ (光文社新書) [Kindle]

  • 光文社 (2018年8月30日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 土に頼っている。土に生かされている。そんなことを考えたこともありませんでした。
    地球の土を分類すると、わずか12種類に収まってしまうと言う。世界を巡って12種類の土を紹介しながら、その特徴や生産力、土壌格差とも言うべきものを紐解いていく。
    歴史とは農業、農業とは土。土から辿る世界史とも言うべき観点を折々なぞりながら、世界を飛び、過去を覗き、そして土と食料と人類の未来に思いを馳せる一冊。
    考えたこともないことを考えさせられる。そんな良著でした。

  • 「土」という今のところ地球でしか確認されていないものの秘密を解き明かす本。

    著者は100億人を養う土壌をどう確保するか、という視点で世界中の土を調べて回っているソイル・ガイ。なので文章の隅々に土への愛情がほとばしっていて本に彩を与えている。

    我々土木の人間だと土は土粒子(礫・砂・粘土)と水・空気の混合物で力学的な性質しか考えないが、植物が育つことのできる「土」というとこれだけでは足りない。

    土粒子と水と生物・生物だったものの混合物で、植物は土から水と養分を吸収して育つ。植物は動物を育て、動植物の死骸は土の微生物に分解され物質はリサイクルされる。

    鉱物の土粒子、水の量や性質、そこに定着する生物で土はかなり変わったものになる。それでも世界の土は12に分類できるとしている。農業に適した土は最適なチェルノーゼムと、あと数種類しかない。その数種類も雨が少なければ砂漠に、逆に砂漠に雨が降れば農業に適した土壌に(なるかもしれない)、と、土のポテンシャルがあっても雨が降らないと農業はままならない。

    日本はチェルノーゼムはないが、日本列島の成り立ちから岩石が若く、風化によりミネラルが得られる。雨も多く農業に適するという。

    アフリカのように何億年も前からある大地は、土からミネラルが流出して鉄錆びの赤い土になっている。そういう土地がかなりあるので、こういった土地で作物を得るのは大変だという。

    地球の人口はハーバー・ボッシュ法による化学肥料で70億まで一応食べられているが(それでも飢餓はなくなっていない)、100億時代に食料を確保するカギは確かに「土」にある。

    その前に少子化で人口増加が止まるならそれもまたよし。

  • 前から気にはなってた本、今回タイミングがあって読んだ。土に関する本なんて初めて読んだこともあり、知らないことばかり、なかなか面白かった。

  • 世界中にある12種類の土を求めて、著者が世界中をスコップを持って駆け巡る物語としても面白い本です。世界を巡る中でいわゆる先進国と呼ばれる国や大手企業が途上国の土や砂も!(400億トンという、砂が生まれる速度の2倍もの砂を消費しているとのこと)を収奪しているかが分かりました・・・。

    そして著者が日本で足元を見たときに世界でも稀な非常に豊かな土壌があるとのことでした。私も日本の土の豊かさにありがたさを感じる一方で、最後のページでいかに我々が日本にない世界中の土に依存した生活を送っているかが分かります。

    化学肥料がなかった時代にはスギの針葉や小枝(スギの枝葉はカルシウムを豊富に含んでいる)も鋤きこんで肥沃な土を維持してきました。また田んぼに浮いている藍藻には窒素を大気中から固定し、田んぼを肥沃にしてくれる効果があります。化学肥料の価格や高騰している現在、生態系を守りながら改めて昔の知恵を受け継いだ農を見直していきたいです。

  •  普段何気なく踏んでいる「土」は何でできているか?それは風化した岩石と、生物の死骸またはそれが微生物によって分解された各種の化合物だ。世界には12種類の土があるそうで、高校の地学の教科書にも載っているそうだが、地学を履修しなかったので知らなかった。

     筆者は土壌学の専門家で、100億人の人類の食をまかなう土を求めて研究している。つまりは農業に適した土壌の開発だ。しかし本書の多くは12種類の土がどこにあり、それぞれどのように形成され、どのような性質があるかといったことの紹介に費やされている。どれも初めて読む話で、興味深かった。

     農業への適否という点で、どうやら日本の土はかなり恵まれているようだ。土自体が必ずしも肥沃というわけではないが、温暖で降水量が多い気候と、地震や火山が多く活発に新しい土が生成されていく環境のため、世界的に見ても高い人口密度を支える食糧生産が可能だった。

     日本人は、土を耕して種をまけば芽が出るものだと思っているが、世界的にはそうでない土地が多いのだ。そういう土地を改良して農業ができるようにするにはどうしたらいいか、研究が進められている。

     そして現在、膨大な人口を抱える中国やインド、自国に農地が少ない中東の産油国などが、肥沃なカナダの土地を大量に買っているなどという話もあり、日本も食料自給率という点でうかうかしていられないと思う。

     これまでほとんど関心を持っていなかった分野だが、食糧生産という全ての人に関係する重要課題を担っているのはよく分かった。

  • 人類が火星に移住しようかというこの時代に、今立っている地面にある‘土‘について、考えたことはあるだろうか。

    私は少しだけ畑いじりをしますが、人に聞いた通りに耕し、肥料を入れて、苗を植える程度で、土がどうやってできたのか、土の中でどんなことが起きているのかなどを考えることはありませんでした。

    世界中の土は大きく分けて12種類に分けられるらしい。

    その12種類を求めて世界中を旅をした著者の目標は人口が100億人になっても養っていくための土壌を探すことです。その考えに感動しました。

    土は地球のような自然環境の中で生まれていきます。火星には土が無いので畑は作れません。

    肥沃な土地は限られているので、肥沃では無い土地をどのようにして食べ物を生産できるようにしていかなければいけません。

    意外かもしれませんが、単に肥料を撒いて耕せば畑が作れるというわけではありません。 その土地がもともと肥沃でない土地になったのには理由があります。

    実は土にはまだまだわかっていないことが沢山あるようです。宇宙のことも興味がありますが、土にも興味を持てるようになる本でした。

  • 食べ物を作る「土」に焦点を当てて書かれています。土壌といって良いかと思います。我々の普段接してる土ですが、他の世界のものとどのくらい違っているのかについて学ぶことができます。まず、月や火星といった地球とは違う世界の土。そして同じ地球上でもいろいろな土があり、それらは色や性質が異なっていて、日本にある土はマイナーな方だということ。その各地の土にどのような性質があるのか、その成り立ちから学ぶことができます。化学的な性質を知ることで、それぞれの土の特徴を知ることができます。最後に、その知識を使って、世界の土からどのように食べ物を生産していくのかについて、著者の熱い想いが書かれています。
    「土」が身近にありすぎるので分かっていなかったのですが、これも限りある資源なのだと分かります。そしてこの資源を有効に利用すれば皆が食べていくことができます。しかし一部の人の利益のために消耗することがあると悲惨な結末になることが、今なら容易に想像がつきます。

  • 初心者向けで読みやすかったです。
    前半の各論的な部分がやや退屈で挫折しそうになったけど、最後まで読むと「土」という観点から世界を見ることができて新鮮で楽しい気分です。

    例えば、平均的な日本人との土の関わりは、
    チェルノーゼムで育てた小麦パン、北欧のポドゾルでとれたブルーベリージャム、火山灰土壌でとれた野菜サラダ、未熟土でとれたお米…と書かれています。
    私はこの表現になんとなくワクワクします!
    ただタネをまけば作物が育つような肥沃な土はそう多くなく、それぞれの地域が工夫して土を使っているんだなあと感心します。

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著者プロフィール

国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所主任研究員

「2022年 『土の大研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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