吉原手引草

著者 :
  • Audible Studios/幻冬舎 (2018年8月26日発売)
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  • 身請け間近だった花魁の葛城が、揚屋から忽然と姿を消した。それを絵双紙にしようと関係者を取材していった体で、彼らに代わる代わる語らせる形で物語が進む。一種のミステリで、語り手が交代するごとに少しずつ事件の真相が明らかになっていく。

    手法としてはおもしろいが、ストーリーは先だって読んだ『滔々と紅』以上にリアリティがない。語り手が十数人も代わる代わる話すことで、その印象は薄れているが。そして真相にカタルシスみたいなものは特になく、歌舞伎や能でありがちなザ・日本古典な感じのオチ。

    あと女性作家の作品でありながら、吉原の風習やあり方を無条件に肯定している感じなのが文章から透けて見えるのも気になった。

  • 直木賞受賞作であることも知らずにaudibleで聴了。ナレーションが素晴らしく、落語を聞いているかのように惹き込まれた。
    ある人物が吉原で働く様々な職種の人たちや客から証言を集める形で物語は進む。ある花魁が騒動を起こしたらしいのだが、何が起こったのかは語られず、証言だけが積み重なる。あまり読んだことのないミステリ形式だった。そして、最終的に明らかとなる騒動の顛末と真相。見事ととしか言えない。江戸時代の吉原がどんな場所であったのか、教養としても役立つ作品である。

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著者プロフィール

1953年京都生まれ。小説家。早稲田大学大学院修士課程修了。松竹株式会社で歌舞伎の企画・制作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』でデビュー。『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、『吉原手引草』で直木賞受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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