- Amazon.co.jp ・電子書籍 (211ページ)
感想・レビュー・書評
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馬の命を食うことで生きながらえたミネと、ミネが馬を食うことによって生を得た捨造。捨造は明治期の北海道開拓民として、自らの生の元となった馬の子孫と共に北海道に渡る。捨造の孫である和子、和子の孫であるひかりと、時代を移りつつ、一族の馬との繋がりを描く一方で、自然に対して「オヨバヌ」として祖先が受け入れてきたものを、及ばせたいと考えるひかりを描いて、そこに厳然として存在する自然と人間の有り様も映し出す。自然の厳しさを感じさせるような、淡々とした筆致。襟を正すというか、厳かな気持ちにさせられる。
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良かった。直系血族3代に渡る馬との繋がりの物語。
そのシーンを鮮明に想像することができる表現力も素晴らしいと思った。
東北・北海道の厳しい自然の中育まれた人と馬の絆。しかも動物愛護に偏るのではなく、凛とした姿を描く読後感も良い。
正直全く知らない作家だったが、他の作品も読んでみたい。 -
厳しい自然の中に生きる、人と馬の絆の強さが、力強い描写で描かれていく
川﨑さんの文体はリズムが良くて、詩を読んでいるよう
一度乗馬したことがあるが、馬のつぶらな瞳、足の下に感じる温もり、干草の匂いを今でも覚えている
頼もしくて優しくてかわいらしい生き物
そして小説を読み終えて神々しいと感じた
根室沖のユルリ島をモデルにしたと思いますが、ここに馬がいると知った時は衝撃でした -
人間と自然の断絶、自然の一部である馬との共存、こちら側だと思っていた馬は自然の側だった。実体験を背景にした家畜との生活のリアルさに迫力。子供に読ませたい。