颶風の王 (角川文庫) [Kindle]

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  • 馬の命を食うことで生きながらえたミネと、ミネが馬を食うことによって生を得た捨造。捨造は明治期の北海道開拓民として、自らの生の元となった馬の子孫と共に北海道に渡る。捨造の孫である和子、和子の孫であるひかりと、時代を移りつつ、一族の馬との繋がりを描く一方で、自然に対して「オヨバヌ」として祖先が受け入れてきたものを、及ばせたいと考えるひかりを描いて、そこに厳然として存在する自然と人間の有り様も映し出す。自然の厳しさを感じさせるような、淡々とした筆致。襟を正すというか、厳かな気持ちにさせられる。

  • 良かった。直系血族3代に渡る馬との繋がりの物語。
    そのシーンを鮮明に想像することができる表現力も素晴らしいと思った。

    東北・北海道の厳しい自然の中育まれた人と馬の絆。しかも動物愛護に偏るのではなく、凛とした姿を描く読後感も良い。

    正直全く知らない作家だったが、他の作品も読んでみたい。

  • 厳しい自然の中に生きる、人と馬の絆の強さが、力強い描写で描かれていく
    川﨑さんの文体はリズムが良くて、詩を読んでいるよう

    一度乗馬したことがあるが、馬のつぶらな瞳、足の下に感じる温もり、干草の匂いを今でも覚えている
    頼もしくて優しくてかわいらしい生き物

    そして小説を読み終えて神々しいと感じた

    根室沖のユルリ島をモデルにしたと思いますが、ここに馬がいると知った時は衝撃でした

  • 人間と自然の断絶、自然の一部である馬との共存、こちら側だと思っていた馬は自然の側だった。実体験を背景にした家畜との生活のリアルさに迫力。子供に読ませたい。

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著者プロフィール

1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞、14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、15年同作でJRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞を受賞。『土に贖う』で新田次郎賞を受賞。

「2020年 『鳩護』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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