NHK「100分de名著」ブックス アドラー 人生の意味の心理学 変われない? 変わりたくない? [Kindle]

  • NHK出版 (2018年6月23日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 「嫌われる勇気」を読んで、アドラー心理学(個人心理学)を初めて知りましたが、「承認欲求を捨てる」 「課題の分離」などの考え方は、めちゃくちゃ腹落ちした感じで、とても好きになりました。
    本書でも「人生の目的は他者への貢献である。」など深い哲学が読めて良かったです。

  • アドラーは心理学研究の末に「人間の尊厳を取り戻した」そうです。
    一体どのような考え方に至ったのでしょうか。
    その考え方は、生き方の光明になるものなのでしょうか。
    ページをめくると目次から次のワードが目に入ります。

    「すべての人は対等な関係にある」
    「ありのままの価値」

    平明なことばで、なんだか小難しくはなさそうです。
    ということで読み始めてみました。


    ◎第一章 人生を変える「逆転の発想」

    アドラーは人間を理性と感情、意識と無意識、身体と心というふうに二元論的にとらえることに反対しました。
    アドラーの関心が「人間一般」ではなく、生身の血の通った目の前にいる「この人」に向けられていたからです。他の誰にも代えられることができない個人の独自性に注目したのです。

    ウィーン大学の医学部に入学したアドラーは、実験や診断の正確さばかりにこだわり、患者自身に関心を向けない講義に興味を持てませんでした。

    生まれつきハンディキャップを持つ人は何かでカバーしようとします。器官劣等性が必ず劣等感を引き起こすわけではないことをアドラーは経験から知っていました。

    フロイトは「リビドー(性的欲求)」がパーソナリティの基礎であるとしましたが、アドラーは「劣等感」だとしました。

    フロイトは「人間には攻撃欲求がある」と結論づけましたが、アドラーは「人間は仲間である」としました。

    過去の経験が私たちの何かを決定しているのではなく、私たちが経験に「どのような意味を与えるか」によって自らの生を決定しているのです。
    過去は変えられなくても未来は変えることができるのです。
    思いのままにはならなくても、どう生きていくべきか態度を決めることはできるのです。

    好きや嫌い、善行悪行など、自らの生き方や行動が何かの原因によって決定されていると見たい人は、そのように見ることで自分の責任を曖昧にしたいのです。

    レストランでコーヒーをこぼされた男性客が大声でウェイターを怒鳴りつけたとします。
    「怒りで大声を出した」と思いがちですがアドラーは「大声を出すために怒った」と捉えます。
    謝らせたい、弁償させたい、という目的があるのだと。
    美人のウェイトレスだったらモテたいがために「大丈夫です」と笑顔で答えたかも知れません。

    選択のすべての責任は自分にあるのです。

    怒りにかられついカッとする人でも、自分の怒りが何を目的にしているのか、その目的を達成するためにより有効な方法があるとわかれば怒らないですむのです。

    変われないのではなく、変わりたくないのです。
    「できない」のではなく「したくない」のです。
    ライフスタイルを変えるのは本人の決断です。

    大切なのは何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかだ。

    ライフスタイルを決めるのに「遺伝」「環境」「家族価値」「文化」は影響を与えますが絶対ではありません。
    生まれつきハンディキャップを持つ人が必ずしも依存的になるわけではありません。

    ライフスタイルを決める、変えるのに大事なことは決心する「勇気」です。
    ライフスタイルを選ぶのは自分自身であり、自分で選んだのでいつでも選び直せます。

    ただし決心だけでは変わりません。
    まずは無意識に身に付けた自分のライフスタイルを意識化してみる、その上で違うライフスタイルを選び直せるのです。


    ◎第二章 自分を苦しめているものの正体

    今より優れたいと思うのは、人間の普遍的な欲求である

    「優越性の追求」と「劣等感」は誰もが持っているものだが、他者との比較ではなく「理想の自分と現実の自分との比較」から生じるものであるし、人類のあらゆる進歩の原動力となっている。

    過度の優越性の追求と強すぎる劣等感のことをコンプレックスと呼び、人生には必要ではない。

    劣等コンプレックスとは、見かけの因果律を立てて、人生の課題から逃げようとすることです。
    自分が学校をズル休みすると決めたのにお腹が痛いせいにすることなどです。
    しないこと、できないことの言い訳ばかりを探し、課題から目を背けます。

    優越コンプレックスは、ただ「他者よりも優れているように見えること」を重要視し、絶えずそのように見せようとします。

    あなたが思っているほど、誰もあなたに期待していません。

    競争する相手は他者ではなく、今の自分です。

    健全な劣等感は、理想の自分との比較の中で生まれ、健全な優越性の追求は、自分にとっての「マイナス」から「プラス」を目指して努力することです。

    人間の悩みはすべて対人関係にあり、対人関係の軸に「競争」があると思う限り、悩みから逃れることはできません。

    他者は、みんなそれぞれ「一歩一歩前に進む」優越性を追求する仲間なのである。「共同体感覚」

    その優越性の追求において、他のすべての人を豊かにしようとする人、他の人も利するような仕方で前進する人こそ、真に人生の課題を解決できるのである。

    勉強は好奇心を満たすためだけにするのではなく、得た知識を他者のために役立てるためにするのです。


    ◎第三章 対人関係を転換する

  • 「人生の意味の心理学」をベースに、アドラーの思想を解説する本。
    自分もアドラー心理学は聞きかじり程度では知っていたが、それがより深く理解できた。

    内容はとても分かりやすい。
    解説本としては十分な品質だと思う。

    が…やっぱり綺麗事だよなあ、と思うこともしばしば。

    例えば課題の分離に関して、
    「子供が勉強をしないとしても、それで将来苦労するのは子ども自身なのだから、親が過度に干渉するべきではない」
    と言う。

    それは確かにそうなんだけど…。
    世の中には「大人にならないと価値が分からない」ことはたくさんあって、勉強なんてまさにその1つ。
    そのままではかなりの確率で子供が将来苦労するのが見えてるのに、それを「親が困る訳じゃないし」で放置しろというのは、良いことだと思えないんだよなあ…。

    まあこういった感想も、ちゃんと理解すればまた変わるのかもしれませんけどね。

    ただ
    ・普通であることを受け入れる勇気を持とう
    ・人生は常に「本当の人生」だ
    など、とても良いこともたくさん言っている。

    アドラー心理学を知っておくことは、決して損ではないと思う。
    文量は多くないので、とりあえず読んでみたい人にはおすすめ。

  • アドラー心理学についてザッと概要を知りたいなと思ったので
    ザッと読めてとてもちょうどよかった
    理論はわかるけどそれが簡単にできたら苦労せんよと思った
    あと昨今の自己責任社会と相性が良すぎるからそりゃ流行るよと思った

  • アドラー自身のお話が続き、
    読みたいものと違った。

  • 幸せって何?のような問いに、いつも返答に困っていましたが、これでした。

    他者貢献の先に幸せがある。幸せを感じる時は共同体感覚をもっている時なんだと。

    僕はきっと優越コンプレックスなんだなぁ。他者人生バリバリに生きてました。
    優位性の追求はこれからも続けていきたいですが、その意味づけを変えるに十分な気づきを得ました。

    とても心に残った言葉は、
    「自分が得た知識を他者のために役立てるために勉強するのです。勉強は自分の興味を満たすためだけにするものではなく、ましてそのことで他者よりも優れていることを誇示するためにするものではありません。」
    刺さるなぁ。

    蛇足ですが、NHKの放送シーンがなんとなく想像できる文体だなぁと感じました。

  • アドラーの「人生の意味の心理学」をもとに、アドラーの考え方を説明する。「あらゆる悩みは対人関係の悩みである。」

  • 『特別でなくともよい』、『生きることは変化することである』、『今ここを生きよう』などの示唆的な言葉が溢れている。
    だが、一見自明のこととも思われるそれらの言葉を日常生活において実践することは、なかなか難しそうである。
    もう少し、アドラーの本を読んでみたい。

    『私は、生の充実は、未来ではなく、「今ここ」で感じられると考えています。子どもや孫と共にいることで生の充実感を持てるのは、彼らに成長を見るからではありません。「今ここ」に共にいることが喜びをもたらすのです。』(ブックス特別章“ありのまま”の価値)

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著者プロフィール

岸見 一郎(きしみ・いちろう):1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。著書に『アドラー心理学入門――よりよい人間関係のために 』(ベスト新書)『エーリッヒ・フロム――孤独を恐れず自由に生きる』(講談社現代新書) など多数。共著に 『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)がある。

「2025年 『自省のすすめ ひとりで考えるレッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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