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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988013258617
感想・レビュー・書評
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アクが強くて自分勝手な人たちの話とも取れるし、周りの環境に振り回された女性の、悲運の話とも取れる。事実っていうのは、本当に色々な見方があるものだよなあ。
映画のモデルとなったのは、実在の人物トーニャ・ハーディングという、元女子フィギュアスケート選手。この映画はそのトーニャ・ハーディングを始めとした関係者のインタビューを、映画のドラマの中に交え、彼女の半生や実際に起こった事件を再構成していきます。
先にも書きましたが、主要な登場人物がまあ強烈。中でもトーニャの母親は凄い存在感。実際の彼女のインタビュー映像を観るだけで、忘れがたい印象が残ります。この母親、映画でもそこまで出番は多くないのですが、その存在感はずっと映画中に残り続けていたように思います。だからこそトーニャの無軌道な性格も、母親の影響を感じさせられ、なんとなく受け入れられます。
そんな母親からスケート漬けの厳しい教育をさせられ、トーニャは徐々に頭角を現しオリンピックの候補選手になるほどに。しかし現実では、気性の激しい夫との度重なるトラブル、スケート協会との軋轢、そしてトーニャ自身の激しい気性も災いし、なかなか思うような評価は得られず……
トーニャに感情移入できるか、と聞かれるとなかなか難しいところもあると思います。夫のこと、母親からの教育の影響と、同情できる部分もあるとはいえ、一方で「トーニャ自身、もうちょっと考えて行動しろよ」と思った部分もあることは事実です。
ただ自分は、彼女を嫌いになりきれなかった。インタビューの部分で、トーニャが自身のスケート選手だった時代を振り返り、涙ぐむところがあります。そのシーンを観たとき「色々あったのだろうけど、少なくともスケートへの想いだけは本物だったのだろな」と感じました。そう考えるとオリンピック演技直前のメイクシーンや、その後の裁判シーンも色々な見方ができるように思えます。
最後の台詞も印象的だったなあ。自分は事件当時の報道については、何も知らなかったのですが、映画だけ観てると「確かにこれは騒がれるだろうなあ」と思います。トーニャの悪役としてのキャラクターのちょうど良さは、インタビュー映像からも、ストーリーからも伝わってきます。
マスコミが創り上げた「悪役」を無批判に信じ込み、叩いたあげくに正義面をするのは、自分も含めて多くの人が当てはまるのではないでしょうか。そしてその傾向はSNSの登場で、より強まってすらきています。トーニャの物語は、そんな世間や自分たちへの姿を、見つめさせるものでもある気がします。
でも、少なくともトーニャはたとえボコボコにされても、それでやられっぱなしで泣いている女性、という印象も受けないんだよなあ。監督も実際にインタビューをして、そんなイメージを持ったんじゃないかな、と作品を観終えると感じます。
ラストシーンは、世間に対しつばを吐き中指を立てながら、また立ち上がる彼女の強さを表しているようにも思えます。そして、ドラマ部分だけでなくインタビューなどを交え、作品をメタ的な創りにしたのも、フィクション以上に強烈な本物の人間たちの存在を、浮かび上がらせるためではないかと思います。
多分トーニャと実際に会ったら、自分は苦手なタイプだとは思うのです(笑)それでも、どこか遠くから応援せずにはいられない人のような気もします。トーニャという圧倒的なキャラクター性を持つ女性を、ドラマとインタビューで再現するという面白い作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
構成がいい。インタヴューと回想をシームレスでつなぎ、それぞれの真実を伝えます。マーゴットはくせのある役が続きますね。存在感が際立ったのは、毒親ドディです。ロープ一本でマスコミを遠ざけたり、とても迫力がありました。名演です。スケートに身を捧げてきたのに、結局、取り上げられて、おぞましい環境から抜け出せなかった悲劇です。
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今も昔もフィギュアスケートの採点は政治的で作為的で碌でもない、というのが根底にある。
この時期は私個人的には女子シングルにスターがいない時代で、男子がキャンデロロやウルマノフと入った王子様が華やかなのに対して女子は地味で興味が薄かった印象がある。
そんな中ハーディングは今見ても確かに技術力は高い選手だったが、本人の振るまい生まれ人となりがアメリカ国民の求めるヒロイン像に当てはまらないという理由で点数を下げられる。これが今見ても胸くそ。
確かにプレゼンテーションは低いかも知れないが3Aを含めた全ジャンプ成功してるんだからテクニカルメリットは6.0を出すべき選手だった。(今だに「技術」と「演技」が変に連動してるのが本当に嫌)
映画としても面白いし、トーニャ・ハーディングという選手の再評価、フィギュアスケートという競技の不透明性を考える上でなかなかの良作。 -
フィギュアスケート界の世紀のスキャンダル、ナンシー・ケリガン襲撃事件に関わったトーニャ・ハーディングの人生を映画化。
事実と多少違うところもあるようだが、ハーディングが底辺ではないが底辺っぽい環境にいて周囲の人々が暴力的だったり短絡的だったりというのは実際そうだったのではないかと思う。ケリガン襲撃もまさにバカが起こした事件だったのだろう。
マーゴット・ロビーは強いハーディングにピッタリ。音楽も良い。
ハーディングが靴紐が切れたことを訴えた後に普通に最初から滑り直したことをすっかり忘れていた。やっぱりこういう出来事が映画になって再度日の目を見ることって大事だなぁ。。。 -
実話ベースのフィギュアスケートの話って事だけの事前情報で見ました。
なんか闇が深いなぁ。小さい頃から鬼のような親に育てられ、DV男と結婚し、波乱万丈すぎるよ。
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こどもの頃からフィギュアスケートが好きだったので、
もちろんこの事件のことは覚えている。
今となれば、
エキセントリックでアグレッシブなパーソナリティは、
それを形成する幼少期の外傷的体験があるのだろうとすぐに想像がつくのだが、
当時のメディアによるセンセーショナルな扱いでは、
この作品で描かれるような心の景色は、
まるで見えてこないのだと思う。
現在だって、同様だ。
なにひとつ変わっていない。
本当のことなど、大衆は欲していないのだ。 -
映画にするために脚色されているのはみてとれる。それをふまえても、ハードで、ある意味ピュアな人生だ。事件後の人生も破天荒。強い人間の姿はなんのかんのいっておもしろい。
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当時詳しくは知りませんでしたが、あのケリガン事件の真相がこのようなものだったとは・・・。子供は育つ環境を選べないとフロリダ・プロジェクトでも思い知らされましたがこれは悲しいせつない “現実” ですね。
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スポーツマンシップって、ゆーて一定の層を対象にした言語みたいなとこあって、通じない奴を排除したいみたいのあるよなww特に金持ちしかできないやつ。そういうとこにフォーカスした伝記映画。
母親・夫によるパワハラ・モラハラ・暴力のオンパレードで疾走感あった。殴られて当然て思ってる女の子って何なの?その主人公トーニャも相当強いが、強いが虐待児だからな…
夫の親友の実家住みデブがなかなかキワってて好きなキャラ。親にスタトレ録ったビデオにCNN上録りされてるの根に持ってる。みんなに見下されてるの意識して脅迫相手の華奢な女の子の膝を棒で殴るなんてクズの天辺かな。
なんも爽快なところはないけど、クズ展示会かつそのクズどもがみんな自己利益に突っ走ってるところが面白かったです。 -
靴紐切れて泣きながら訴えてる場面はうっすらと覚えている。が、襲撃事件については全然知らなかった…ので、観ました。強烈だ。
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別途
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事件として記憶にあるけど、トーニャ・ハーディングが悪役でしかなく終わってた。
自分がいい大人になってこの映画を観た時に綺麗ごとじゃないし、世論で書き換えられた物語があったんだということが痛いほどわかる。
幼少期の環境は本当に大事。なんで!と私が思うことが普通ではないという事実を認識しなければ。
事実は結局なんだったんだろ?と思うけど、当事者達にとってはどーでもいいのかな。 -
「アイ、トーニャ」https://www.imdb.com/title/tt5580036/ … 観た、覗き見リアリティとして上出来。本人含む当時の関係者へのインタビューを元にトーニャハーディングの半生とスケーター襲撃事件を紐解くんだけど、こういうの見ると生活環境や人間関係は選べるなら選ばなきゃと思う。あとやっぱり知性って大事(おわり
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そりゃ私はおっさんですから、ナンシー・ケリガン襲撃事件のことはよく覚えてますよ。有名な「Why?」と泣き叫ぶニュース映像も再現してくれてて嬉しくなりました。当然あの事件の真相を知りたかったわけですから、克明に描いてくれて満足です。悪いのはあのデブだよな~。
映画としては、主人公の特異なキャラクターの描き方がうまかったと思います。母親の虐待や夫のDVを受け続けた彼女は気の毒ですが、常に「自分が悪くない」という彼女の他責的な態度も気に食わず、「かわいそう」と「自業自得だろ」の間で、見ている我々の感情も常に揺れまくります。さすがに最後に「私からスケートを奪わないで」と訴えるシーンでは同情してしまいますが。転んでもただでは起きない彼女の幸福を願うのみです。
マーゴット・ロビーは「フォーカス」を見て「次代のスター、間違いなし!」と思ったのですが、もうオスカーを掴みそうなレベルまで来たんですね。彼女のスケーティングも素晴らしかったです(どこまではCGがわからない)。 -
劇場にて
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