ウインド・リバー [DVD]

監督 : テイラー・シェリダン 
出演 : ジェレミー・レナー  エリザベス・オルセン  ジョン・バーンサル 
  • Happinet
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953211674

感想・レビュー・書評

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  • ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ボーダーライン』の脚本家として知られるテイラー・シェリダンが、初めて自ら監督した(もちろん脚本も)映画。

    『ボーダーライン』がそうであったように、これも暗く重い映画だ。

    本作のヒロイン――FBIの新人女性捜査官を演じるエリザベス・オルセンは、『ボーダーライン』のヒロイン(エミリー・ブラント)とオーバーラップする。
    どちらも「陽の当たるアメリカ」からやってきた異邦人であり、アメリカ社会の闇を目の当たりにして愕然とする役回りなのだ。

    この映画で描かれるアメリカの暗部は、「リザベーション」――先住民(ネイティヴ・アメリカン)居留地の無残な現実だ。

    「ウインド・リバー」とは、ワイオミング州の雪深い山間地に作られたリザベーションの名。そこで、先住民の娘・エミリーが、雪の荒野で遺体となって発見される。
    エミリーは裸足で、足には凍傷。死因は、氷点下30℃の中を走ったことによって肺が凍りついて破裂したことだった。
    なぜ、彼女はそのような死に方をしなければならなかったのか? 派遣されたFBI捜査官が、地元のハンターであるコリー(ジェレミー・レナー)と協力して謎を解いていく。その果てに、リザベーションの荒涼たる現実が浮かび上がる。

    先住民女性と結婚したコリーの娘はエミリーの親友だったが、3年前、同じように荒野で遺体として発見された。その事件は、いまだ解決されていない。
    リザベーションの息苦しい人間関係をタテ糸に、事件の謎解きをヨコ糸にして、やりきれない悲劇が紡ぎ出されていく。

    コリーのハンターとしての技量・経験を駆動力とした、アクション映画としてもよくできている。終盤の銃撃戦の迫力もすごい。だが、エンタメと呼ぶにはあまりにヘビーな物語た。
    テイラー・シェリダンが作る物語には、人間の暴力性の根源に迫るような凄みがある。

    それでも、雪山の風景は美しく、深い余韻を残す傑作である。カンヌ映画祭で「ある視点」部門の監督賞を得たのもうなずける。

  • ウィンドリバー保留地で見つかったインディアン出身の少女・ナタリーの遺体。殴られ強姦された彼女は−20℃近くで吹雪く中を裸足で10km以上も走って逃げ、肺を凍らせて死んでいった。第一発見者のハンター、コリーはFBIのジェーンとともに事件の真相を追う。
    コリーは同じような事件で自らの娘も失っており、ナタリーは彼女の親友でもあった。
    陰鬱な光景と、そこで苦しむインディアンの人々にスポットがあたる。

    主演コリーを演じるのはジェレミー・レナー、役によく合っていますね。ハードボイルドで、厳しい環境で生き、悲しい過去を抱える強い男という感じがよく似合う。ギル・バーミンガム演じるナタリーの父・マーティンとのシーンは、娘を無くしたもの同士共通の深い悲しみが漂う。寡黙なマーティンが死に化粧をして、ポツポツと語るラストシーンは心を打つ。こんな過酷な場所で、人間としての強さを語るコリーの姿も印象的。
    事件の犯人たちは酔っ払ったクズなのは間違いないが、事件の根底には、政治的失敗とされるインディアンの保留地問題があり、『雪と静けさしかない』と評されるウィンドリバー地区の過酷な環境がある。犯人にコリーが制裁を下すシーンは、晴れた空に光る雪の美しさと、どこへも逃れられない残酷さが対照的。

    すごくうまい映画だと思うし、保留地問題も知れてよかった。

  • とても面白かった。
    舞台はほかの映画にはない極寒冷地。
    その中で生きるアメリカンネイティブやそれを取り巻く仲間と思える人達と、そうでない人達。
    この地では強い人が生き残る。
    最初に犠牲者として出てきた女性はとても強かったが亡くなった。
    そこに送られてきた若い女性のFBIエージェント。
    住人たちが守ってる暗黙のルールを知らず、あくまでFBIのルーフに従おうとする。
    しかし、周りの人達と接していくうちに段々理解を示すようになる。
    特にランバートがとても頼りになることに気づく。この2人を中心に事件を解決していく。
    実話ということだが舞台設定の表現方法が素晴らしい。
    とても厳しく人間一人で放り出されたら直ぐに死んでしまう環境なのだが、美しい映像でこの映画の全体を包み込む、と言うよりも画面の外に拡がっているように思える。
    いくつもの心に残る言葉があった。
    娘を失ったことに対して「乗り越えようとすると忘れてしまう。苦しむことを受け入れることで心の中に残る。」
    「ここでは運はない、鹿は運が悪いから死ぬのではなく弱いから死ぬ。生き残った君(ジェーン)は強かったからだ。」
    そして、ジェーンはこう言う。
    「亡くなった少女は6マイルも裸足で走り続けたのか」と。
    映画全体にわたる各シーンの表現も素晴らしいし、出演者の演技も素晴らしい。
    コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)かっこいい。

  • ウィンドリバー

    主演がジェレミー・レナーとエリザベス・オルセン。アベンジャーズで共演してた二人だ。画面映えするふたりが揃ってる。
    あれはヒーローものだったけれど、今回の主題は凄惨な殺人事件。ジェレミー演じるコリーは忍び猟をする地元民だが、ある時少女の凍死死体を発見する。
    現れたのがFBIのジェーン。露骨なレイプ痕、しかし死因としては凍死になってしまうので死因から他殺とは断定できなかった。
    広大な土地に対して圧倒的に少ない捜査要員。
    インディアンの保留地として残された雪と静けさしかない閉鎖的な土地で一体何があったというのか。

    犯人たちには吐き気しかない。酔っ払いのゲス野郎どもから逃れるために、少女は薄着のまま裸足で、雪の中10キロも逃げ回るしかなかった。
    最後には制裁を与えても「哀れみ」しか残らない。

    泣きながらら10キロも裸足で逃げた女性に涙するジェーン。実際には凍りついた空気を吸い込むことで肺が傷ついて死んでしまうらしい。ウィンド・リバーには行方不明になるインディアン女性が多数いるが、その総数まではわかっていないらしい。
    過酷な環境だからこそ危険が伴ってしまうのか、自然の美しさは変わらないのに、血みどろの黒さと汚さと、人々の苦しみの足掻きや嘆きが際立つ。重厚な背景と凄惨なサスペンスではあったが展開も早く飽きさせない良作。


  • 広々とした平原と森は深い雪をかぶり、晴れた夜空には煌々と輝く月が浮かぶ。誰しも美しい景色と思うだろう。しかし、住めば「この土地は凍った地獄だ。あるのは雪と静寂だ」という希望のない世界だと知る。この町の住人は強制的に連れてこられた。殺されたナタリーは頭が良くても未来はない。彼女に罪があるとするなら、外に出ることを渇望したということだ。アメリカは今も冷酷な人種差別主義者の国という別の顔を持っている。

  • めちゃくちゃ面白かった。
    うちの教養の不足でもあるけど、インディアンの人たちがアメリカの雪深い地域に追いやられて生活しているという事実を知って驚き。
    そしてそこで住むインディアンの女性が行方不明となる事件が起こり、それが統計も取られずにいることにも驚き。

    雪深い場所での娘の死を克服できず、苦しさを受け入れて苦しみ続ける主人公。そして同じ境遇に陥ることになる男性。そこにやって来る捜査班のFBI。
    都合のいいストーリーではなく、事件の無惨さと救いようのない虚無感を捉えていて、それでいてしっかりと回収もある。

  • 雪に閉ざされた町が、人の意識にどのような影響を与えるのか
    殺人事件捜査から、そこに住む人たちの屈折した感情を垣間見た時
    ゾクッとする怖さがあります。
    ラストの展開がまた怖い。最後まで目が離せない展開です。

  • 間違いなくジェレミーレナーくんの最高傑作です!
    レナーくんが雪原でライフル持ってるのって「ボーンレガシー」を思い出しちゃうね。
    割と若々しい彼だけどもう40代半ばだったかな〜ちょっとオッサンの役も板について来た。自分の子供に馬や銃の扱いを教えるってどんな感じだろうね。日本じゃそうそう出来ない教育だな。でもまだ刀を帯刀してた頃の日本なら真剣での剣術や弓や馬術も教えていたんだろうから、今でもそういう知識や技術を教えられる国は少し羨ましく感じる。
    奥さんがネイティブだったし居留地で起こる犯罪が題材の作品ってたまにあるけどそう見ないですね。居留地に入って行くところでのあの星条旗…なんか重い話だと暗示してます。
    ピューマなんて大型のネコ科の動物が北米に居るんだなにわかに信じられない。バッファローとかコヨーテもいるんだからおかしくはないんだけどね。アメリカって国の広大さを感じます。マイナス30度の世界って冷気を吸いすぎると肺が破裂するんだって…凄まじい環境なんですね。まさに極限の世界なんですね。
    泣き出したお父さんを受け止める時のレナーくんの表情がとても素晴らしかった。あんな哀しみを湛えながらも相手を思いやる優しい複雑な顔、同じように娘を失った父親の顔…役柄だからといってそうそう出来るとは思えない。やはり役者さんってスゴイです。
    この日本にいれば、子育ては忙しくはあれど、子供たちの日常から病気や交通事故でもない限り、その生死を心配することなんてそうある訳じゃない。でもこの居留地やその周辺では、自然環境の他にそこに住む住人の生活環境や精神状況まで斟酌しなければ子供を守れないなんて、なんと過酷な話なんだろう。そんな世界で最愛の娘を失うことは一生拭い去れない傷になっても仕方ないんだろう。キツすぎますね…
    何とも刹那的で衝撃的な撃ち合いでした…ここは見所ですね。
    しかし何と言っていいのか、悲しい物語過ぎですよ。ちょっと悪ふざけが過ぎたにしては度を越しているし、その後の行動も酷いですね。ネイティブ・アメリカン達が置かれる過酷な環境には夢も未来もなく、ただただ生き抜く強さが必要とされるんですね。そんな中、それ以上に苛酷な運命を若い女性が負うなんて…それって辛いですね。
    全然違うんですが、何故か「ハードロマンチッカー」を思い出しちゃいました。
    しかしジェレミーレナーくんの最高の演技!素晴らしかったです。良い顔です。優しくて強くてほんと良い顔でした。

  • ストーリーとしては 静かで淡々としているように見えて
    ネィティブアメリカンの保留地とされる場所を舞台に アメリカの闇を垣間見た気がした。
    アメリカの辺境を舞台に現代社会が抱える問題や現実をあぶりだした「ボーダーライン」「最後の追跡」で、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前2作に続いて辺境の地で起こる事件を描いた自らのオリジナル脚本をもとに初メガホンをとったクライムサスペンス。主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーと、「アベンジャーズ」シリーズのエリザベス・オルセン。ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナー(オルセン)が現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバート(ジェレミー.レナー)に協力を求め、共に事件の真相を追うが…
    容疑者を追って 事件の鍵になる物証となる建物の部屋をノックしたところから 事件の回想シーンに切り替わるのは 面白い味を出していた 殺人だけど他殺にならないという そこに本当の闇を感じた。

  • リアルにありそうな事件
    ネイティブアメリカンと白人の土地の間
    寒い場所だと気持ちも暗くなるのかも

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