ベルリンは晴れているか [Kindle]

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  • 筑摩書房
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感想・レビュー・書評

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  • タイトル見た時は大昔に観た映画「パリは燃えているか?」を想起したけど、まるで違う小説でした☺️
    敗戦直後のドイツ ベルリンを舞台に、ナチ側とも地下活動家側とも関係のあったとあるチェロ演奏家が青酸カリ入り歯磨きで死に 殺人容疑がかかった17歳の少女フロイライン.アウグステ.ニッケルが真相探りに奔走する二日間の物語。のっけからストーリーに引き込まれて一気に読んだ。久しぶりに本格的で重厚なミステリーの醍醐味を堪能した感じです。
    連合国4ヵ国の統治下にあるベルリンでの当時の様子を同じ環境下にあった日本とシンクロさせながら読んだけど、やっぱり彼我の文化の違いもよく感じられますね。ともあれ一級のミステリー作品です♪

  • 第二次大戦後の混乱するベルリンで起きたある殺人事件を追うミステリー。
     
    歯磨き粉に混ぜられた毒が原因で亡くなったクリストフ・ローレンツという一人の男。
    戦後で物資が窮乏する中、歯磨き粉という『高価』なもので殺されたらしい。
     
    ローレンツは誰にどうして、どうやって殺されたのか?
     
    恩人であるローレンツを殺したのはないかと疑いの目を向けられたドイツ人少女アウグステ。
    警察ににらまれながらもローレンツの甥であるエーリヒに訃報を伝えるべく旅立つアウグステだったが……
     
    聞き慣れないドイツ系の名前を覚えるのは難しいものの、最後の最後にいろいろな事象が一本につながると一気に理解が深まりました。
     
    長い話ですが、読み切った時に納得感があるので、最後まで諦めずに読んでよかった~、と思える作品です。
     
    重厚なテーマのミステリーを求めている方には特におすすめ。

  • 戦後のベルリンがテーマの人気ミステリということで買ってみた。カタカナ名の登場人物多くて心配になったけどついていけた。当時もナチスに対して、ユダヤ人に対して、実際にはいろんな考えがあっただろうなと思うと身近に感じられた。

  • そこそこ良かった

  • 何かの書評で知って、この本を読み始めたのだと思う。最後まで読んで、ああ、ミステリーだったんだと思うくらい、ワイマール共和国から、ナチスの台頭、戦中、戦後のドイツの様子が克明に描かれていた。最初は、なんだか読むのが、難儀な印象だったのに、つい、のめりこむ形で、後半は一気読みだった。
    不条理で、過酷な世界、でも、人間は生きていく。このタイトルの意味を、考えたい。

    ・なぜ危険を冒してまで宗教にこだわろうとするのか?
    ・まだ、「こんな事態になるとは予想しなかった」といいますか?自分の国が悪に暴走するのを止められなかったのは、あなた方全員の責任です。
     この人は、あれが私のせいだというのか。ドイツの女性たちは父や兄や弟が他国で人を殺した代償に、凌辱されたのか。

  • 2021.11.アメリカ軍慰安用兵士食堂に勤めるアウグステは,突然ソ連軍ドブリギン大尉に捕らえられた.父が反ナチスで捕らえられて処刑され,母も捕まる前に自殺した.その際に匿っていた家のクリストフが歯磨きに入っていた毒により死んだために捕らえられたのだ.クリストフ夫婦には,エーリヒという貰い子がいたが,その子供が逃げ出し,他の家族の子供となった.アウグステは,元俳優でこそ泥のカフカと共にドブリギン大尉に言われてエーリヒを探しに行く.エーリヒは,アメリカ・イギリス・ソ連の3巨頭が戦後について話し合うポツダムの近くにあるウーファ撮影所にいることが分かった.撮影所には,カフカの友人で機材に詳しいダニーもいて,その手助けもありエーリヒを見つける.そこへ,ドブリギン大尉がやってきて,アウグステ,カフカ,エーリヒの3人を処刑しようとする.ドブリギン大尉は,彼らを人狼として処刑することにより手柄を挙げようとしたのだ.しかし,ダニーがスピーカーで大きな音声を出して処刑を阻止した.ダニーは,ドブリギン大尉がカフカに持たせた棒をソ連の最新型盗聴器であると見抜いたのであった.その後,ドブリギン大尉は,ソ連により粛清された.クリストフは,砒素により多くの子供たちを苦しませながら徐々に死に至らせてきた.そのため,アウグステは母からもらった青酸カリでクリストフを殺そうと考えたのだが,それができずに毒入りであると告げたうえで歯磨き粉を渡したのだった.それが分かったうえでクリストフは歯磨きを手に取った.戦前戦後ドイツのことが分かり面白かった.

  • 第2次大戦下のベルリンを舞台にした物語です。ナチスドイツの残虐な活動とユダヤ人への迫害は、知識としては知っていたものの、その周りをとりまく一般の市民の日常は、考えたことがありませんでした。空襲に逃げまどい、貧困や病気と闘いながら、粛清におびえる日々を過ごす主人公の凄惨な生活が衝撃的です。国外での世界大戦の悲劇を考える、よいきっかけになりました。

  • I氏紹介、二次大戦の生生戦場現場風景、臨場感一杯の迫力、ドキドキの連続

  • 2019年本屋大賞第3位の作品。第二次世界大戦後の混乱期に起きた殺人事件と戦中の記憶が交互に描かれるミステリー。ミステリーと言っても、謎解きを楽しむようなものでなく、延々と戦争の悲惨さを描いた作品という印象。文体は美しく、緻密で、その分、簡単に読み進むことはできないが、ドイツの少女が経験した戦中、戦後の状況がひしひしと伝わってくる。ストーリーに対し、結末の謎解き部分がいささか軽く終わった感があるのが残念。また、自分には暗すぎる内容でもあり、再読はしないだろう。

  • 途中までは面白かった。
    戦争直後のベルリンの様子が 描かれており
    また ナチ政権下での 市民の暮らしの描写も面白く読んだ。

    だが 肝心の ミステリーの 解決に至る部分では
    不完全燃焼。

    全く納得がいかない。

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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