ハロー・ワールド [Kindle]

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感想 : 11
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感想・レビュー・書評

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  • 主人公はIT技術者の文椎(ふづい)泰洋。名前がどことなく著者と似ているのは偶然だろうか。なんでも屋を自称し、インターネットの自由を愛する彼が遭遇する5つの短編で構成されている。個人的には「行き先は特異点」が好き。

  • 「ハロー・ワールド」(藤井太洋)「Kindle版」を読んだ。
    あいかわらず藤井さんの作品に出てくる男たち女たちはみんな爽やかで格好いいよなぁ。
    守るべきは『矜持』ってやつかな。
    「私ももう少し押し通すか。」みたいな活力が湧いて出てくる(ような気がする)のである。
    あー面白かった。

  • なんでも屋エンジニアの文椎を主人公に、数年先の近未来を描いた連作短編集です。
    作中に登場する技術は、現在の技術の延長線上にあるもので、とても興味深かったです。

  • 現在IT分野でトレンディなトピックを題材に,1,2年先を舞台にした短編集.別々に出された作品だが,登場人物や世界設定は共通なので,1つのストーリーとして読める.表向きは普通のエンジニアとしてドローン開発に関わる傍ら,言わば趣味で作った広告ブロックアプリが外国政府の監視を暴いたことをきっかけに,インターネットの自由をめぐる政治的なあれこれに進んでいく様を描く.SF小説と紹介する向きが多いようだけど,あまりサイエンスな要素はなく,どちらかというとテクノスリラー・サスペンスに近いような.知り合いが推していたので読んでみたが,それほど絶賛する内容かどうかは何とも…ストーリーはいいのだがあまり起伏のあるプロットではないので,面白いかと言われると微妙.個々のトピックについてその都度丁寧に説明があるのは教育的にはいいのだけど,文学的な美しさはそれで削がれてしまっている面もありなかなか難しい.実際にここで起こっていることは必ずしも現実に可能なことではないはずなので,これをそのままのリアルとして読むのは間違いかと思うが,それぞれのトピックをざっと知って,調べるきっかけになるという意味ではいい本だと思った.GPSの週の計算が原因で起こる2019年問題は知らなかったので勉強になった.今般主要な暗号通貨に欠陥があり,管理者がおらず機能が分散しているという暗号通貨の本質的な性質上,後になっての仕様変更が難しいことから,今後問題を克服した新たな暗号通貨が台頭するという見立ては,これまで私自身何となく持っていたが,著者も同様の視点に立っているようである.

  • この本はほんと面白く、ドキドキしながら読んだ。ここに書いてあることが、本当に来年や再来年に起こりそうで。

  • 普段ネットやスマートフォンを使っているが、ネットやITについて、あまり知らなかったのだなと自覚した。
    IT技術で世界が広がったような気がした。面白い世界があるのだなと思った。

  • 明日この世界の出来事が起きてもおかしくない。
    未来なようで意外と近い、この距離感が絶妙。

  • 以下のような短編集となっていますが、主人公・文椎は共通しています。
    ・ハロー・ワールド
    ・行き先は特異点
    ・五色革命
    ・巨象の肩に乗って
    ・めぐみの雨が降る
    著者の作品を好んで読む方々には、ご存じのテクノロジーがふんだんに組み込まれていますので、うたい文句の「未来が体験できる静かで熱い革命小説」というよりかは、むしろ今、この世界にあってもおかしくない内容と受け取れる。
    とくに今作においては、西海岸IT企業がそのままの固有名詞で登場しているため、その感を一層強くする。

    法学部出の私には、ネット思想と現実の法適用に関する話(詳細は省略)がとても印象的であった。
    現実世界において、今年は、海賊版対策の一環としてブロッキングに関する公の議論がなされた。
    海賊版への対策はなされて当然であって、だが一方でその対策のためには個々のユーザーのプライバシーと衝突する。
    ネットが治外法権ではないのはもちろんだが、かといってネットで何をしているか、アルゴリズムによってではあるものの、逐一チェックされていると思うと、それが我々の求めてきた社会であるのかはわからない。
    確かに、現実世界において極めて多数の監視カメラが設置されていて、例えばある駅で乗り換え時に数えたことがあるが8台があってエスカレーターの乗り降り部分にあって回避不可能だし、車両にも設置されているものもある。
    「安心のため」ということらしいし、そういわれるとそういう気がしないでもないけど、顔認識と組み合わせられると、著者のビッグデータ・コネクトの世界である。

    さて、短編(の組み合わせ)であるがために、登場人物が限定されてしまうことや、時間経過、場所移動などに制約が生じてしまうのは十分予想されることであるが、本作においてはうまく処理されていると感じた。
    それでもやはり、過去の長編作品のほうが、いろいろな面で深堀りされていて刺激的であった。
    本作も読んでいて全く退屈することはないのであるが、オービタル・クラウドのような突拍子のない、だけどありえなくもない(つまりSF)作品と比較してしまうと、本作はだいぶ身近である。

  • なかなかにハードな近未来SF小説。
    そもそもコンピュータやインターネットの知識がないと読み進められない。
    あまりSFが得意ではないが、それでもなんとか読み通せたのは、ストーリーテリングのうまさか。

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著者プロフィール

藤井大洋:1971年鹿児島県奄美大島生まれ。小説家、SF作家。国際基督教大学中退。第18代日本SF作家クラブ会長。同クラブの社団法人化を牽引、SF振興に役立つ事業の実現に燃える。処女作『Gene Mapper』をセルフパブリッシングし、注目を集める。その後、早川書房より代表作『Gene Mapper -full build-』『オービタル・クラウド』(日本SF大賞受賞)等を出版。

「2019年 『AIが書いた小説は面白い?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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