恩田陸さんの独特の世界観が好きなので購入(50%ポイント還元に釣られたのは置いといて)。『七月に流れる花』と『八月は冷たい城』は連作となっており、片方だけ読んで終われる作品ではなかったので、両作合わせた感想をば。
『七月』の方では、主人公であるミチルという少女の目線で物語が進んでいきます。端的に言えば、「わけがわからないよ」という状態のまま、奇妙な場所で奇妙な時間を強制されると。読み進めると「はあ、そういう意味があったんですか… でもなんでそんなことを?」という感想のまま物語が終わってしまい、奇妙な世界に取り残された感…
あまりにもモヤっとしてるなあと思い、他の人の感想を見てみようとググってみると、連作の『八月』があることを知り、なるほどそういうことかということで。
『八月』では、『七月』にちらっと登場した謎の少年側の視点で物語が展開します。奇妙な場所のおおよその事情を把握しつつも、その世界に疑念を抱えた光彦少年が主人公。多少観点は違えども「この変な場所なんやねん、なんかあるやろ」という点は読者と同じ視点であり、ミチルちゃん目線よりはぐっと安心して読める… と思いきや、より謎が深まる奇妙な出来事が連続し物語に引き込まれていく…
というドキドキ感があって良かったのですが、オチが…全然スッキリしない… もはやネタバレで書きますが、
一番意味が分からんのが、水の底から新(?)みどりさんが出てくるところ。推測どおり、吃人行為があってみどりおとこが記憶を継承してようがしてまいが、子供の前にクチャクチャしながら出てこれたらあかんやろと。どんだけガバい施設なんやって話ですよ。感染可能状態の人でも簡単にくぐって入ってくる可能性あるってことでしょ?アカンがな。
まあ、その他にもツッコミどころがたくさん残って、モヤっと感が晴れずに終わったのは『七月』も『八月』も同じだったかなあと…
でもさ、よくよく振り返ってみると、こういう謎めいた部分がボロボロ転がりながら終わっていくのが恩田陸作品だったかなとも思いました。でも、今作品は、今まで読んだ他の話よりも、モヤっと感が強く、オチの納得感も弱かったなあと…
いや、自分が以前より理屈っぽくなってしまっただけかもしれない… とか考えさせられて、結局印象が深く残るのが恩田作品だったりする。だからまた読んでしまうんだ。