八月は冷たい城 (講談社タイガ) [Kindle]

  • 講談社 (2018年10月24日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 最寄りの駅に迎えにきてくれた人物は、髪から爪先まで全身緑色の不気味な雰囲気を醸していた。
    現地に案内され、重々しい扉が開かれて入場すると同時に緑色の人物は扉を閉めて去って行く。
    4人が宿舎となる建物の方へ進むと、入り口のカウンターに首から折られた4つのひまわりの花が並べられていた。
    この宿舎内の敷地内には四人の少年しか存在しない筈なのだが、誰がこのような意味の分かりかねる出迎えをしたのか、不穏な空気が漂う。
    そして幸正に向かって大きな石像が崩れ落ちてきたり、天井から縄に結えられた鋭い鎌がまたしても幸正に飛んできたりする。
    幸正は何とか難を逃れるのだが、誰の仕業なのか、4人は疑心暗鬼に駆られる。

    何故に4人は夏流城での林間学校に参加しているのか⋯
    全身緑色の人物の存在⋯
    幸正に向かっての攻撃に意味⋯
    読み進むに連れて夏流城に集められた理由が判る筋書きだ。

    200ページ弱の短い物語だが、存分に摩訶不思議な恩田ワールドを味わえる一冊だ。
    読む順番は間違ってしまったが、先に発刊された『 七月に流れる花 』も読んでみようと思う。

  • 七月と対になるお話。こちらは少年。
    しかし最後の「みどりおとこ」の正体が、私には理解不能。気持ちの良い答えでもないし、世界観の設定もイマイチ納得できなかった。
    ただ恩田陸の新刊で、2冊が対で、美しいカバーだった魅力は強い。

  • 2024/06/26-2024/07/03.

    あっという間に読了。
    恩田陸が作り上げる「現実では無い、けれどもどこかには存在しそう」な際のユートピアがとても好きだ。
    ずっと漂う薄ら暗い空気の中、ひと夏、数日間の、少年たちが過ごす不思議な悲しい物語。いや、童話に近い感覚。
    蘇芳ちゃんがとてもすきです。恩田陸が描くああいう美しく聡明で正しい女の子がすき。

    7月~は未読なので読まねば、と思っていたら読んでた。読み返すか…

  • 少年たちが家族の死に向き合って過ごした夏の物語

    自分は最後のセリフに鳥肌が立ってしまった。
    これが怖くてなのか感動したからなのかはわからないんだけどね。

  • 序章を思い出して、ゾッとした。辛いことを扱うための、儀式は大切。

  • 対になっている七月はミステリとしてもダークファンタジーとしても正直物足りなく感じていたが、八月を読んだら全体が完成された。私の好きな恩田陸ワールド。

  • 初読。kindle。『七月に流れる花』の隣の物語。同じ設定で違う謎をつくるのは大変そう。設定もさらに進化させていて、ますます「九月」ができるといいな。少年と少女の対比もいいが、混合チームならまた違った物語ができそう。

  • 実質「七月に流れる花」の続編。
    前作の世界観、時系列を引き継ぎつつも
    新たな疑念にもやもやする話。

    ラストのみどりおとこの真相については、
    賛否はともかく一応クローズしているのですっきりした。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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