横浜駅SF(3) (角川コミックス・エース) [Kindle]

著者 :
制作 : 柞刈湯葉 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 20
感想 : 3
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感想・レビュー・書評

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  •  小説版『横浜駅SF』『〜全国版』をオーディオブックで聴いてから、コミック版全三巻を読了。当然、聴いて面白かったからさらにコミック版も読んだわけだけれど、文字情報なしで摂取した故の心許なさを解消するにはうってつけのメディアだった。文字だけでなく絵まであるんだもの。大満足。
     SuicaはSuika、ICOCAはICoCarだったのか。自動改札や超電導鉄道ってこういうものだったのか。横浜駅は、横須賀に至るまでの閑散ぶり、大都市甲府の賑わい、木曽へ向かうエスカレーターに次ぐエスカレーターの異様さ、そして空のない閉塞感。SFの未来都市として思い描いていた塵ひとつないツルツルピカピカのハイテクの街とは違い、私の知ってるすぐそこの薄汚れた横浜駅だなあというリアリティ。人物やアンドロイドたちは、そうそうこれこれと驚くほど期待通りの見た目。特にネップシャマイはおしゃべり好きな感じまで吹き出しから伝わってくる。吹き出しといえば、無人の空間に機械アナウンスの声が響く風景が小説(オーディオブックだが)では印象的だったが、マンガだとこうなるのか、と唸った。
     先に小説(オーディオブックだが)を読んでいなかったらわかりにくかったかも、と思うところも少しはあったが、それは映画化などでもよくあることだ。そんなことより一巻巻末の原作者湯葉さんのコメントがまた粋で、さて、小説家の湯葉さんが他でもない小説という形で上梓した文字の本だけを読んでいない私のこの“読書”体験はいったいなんなんだろう、なんて考えてしまう。
     マンガの形でストーリーのおさらいができたので、世界設定だけでなく物語の内容や結末についても改めて色々な感想がわいてきた。ディストピアの崩壊の始まりという時代の大きな転換は、教授の言うように「ただひとつの砂粒」が積もって砂山が崩れるがごとく自然に訪れた。しかしそれでドッカーンと悪しき何かが一瞬で崩れ去ってめでたしめでたしではなく、静かに少しずつ旧システムが死んでいくなか、また新しい砂山を築こうという思惑を持った者たち同士の戦いが始まっていく、ことを思わせるエピローグだった。名古屋で一年過ごしてから岬に戻ったヒロトは、農作物と食糧生産ノウハウを持ち帰った。このことが、ヒロト個人の人生にとっても、岬ひいては日本全体にとっても、希望というか指針というか、道を照らす光になっていると思った。
     『横浜駅SF』、読む前は「ネット生まれのネタ小説」というような偏見もあって躊躇していたが、すっかりハマってどっぷり楽しんだ。

  • そうか、これそういえば原作あったのか。
    世界観がよくあるようで考えられてて面白い。一気に読むべし。

  • 小説を読んだ後に、引き続きコミカライズ版も読んでいるというハマり具合の「横浜駅SF」です。はいはい(笑)。

    小説の最後に、コミカライズ決定、っていうお知らせがあって、その絵柄が割と好みだったし、この物語を絵で見てみたいというのもあって、早速、電子書籍で3巻セットをポチり。あっという間に読んでしまいました。

    これは何度でも読み返して楽しめそう。

    小説のほうは、続き?があるみたいなので、次はそれを読んでみようと思っているところ。

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