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Amazon.co.jp ・電子書籍 (192ページ)
感想・レビュー・書評
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「巡礼」と言いつつも禁足地に関する感想と申し訳程度の民俗学的考察が述べられるにとどまる。
書籍全体として特に骨格を形成してるわけでもなく、後書きで「タブーに対するワクワク感」を描きたかったと述懐しているが、それならばブログでいいだろうという厳しい評価になってしまう。
書籍として精製するにあたって何か骨格となる流れがあれば評価が変わるような面白い見解はいくつか見られたので、箇条書きで記す。
- 大神神社や湯殿山は最も有名な禁足地だが、口外を禁ずるタブーは意外なほどに守られている。これは秘密の共有が楽しいから、と考えられる。つまりリテラシーの高い人間だけの遊びなのではないか?
- 将門の首塚に恐ろしいイメージが付与されたのは明治以降。大蔵省での怪異が新聞を賑わせたことにより人口に膾炙した。千葉にある八幡の藪知らずについては起源がはっきりしていないが、何もない空間ゆえに関東では将門というフィクションが注入されがちである。
- 何らかの理由で禁足地となった場所は結果として人の手が入らない森となり、それゆえに聖性を帯びる。理由が分からない場合はそこに人死にという理由がフィクションであっても挿入される。この構図は心霊スポットにも言える。
- 対抗呪術は怪談が膾炙したときに救いとして生まれる。口裂け女に対するポマードなどが代表例であるが、インターネット怪談の代表例であるきさらぎ駅でもその存在は見られる。 -
「禁足地」と呼ばれる場所が日本には数多く存在している。数々ある禁足地を実際に著者が訪れ紹介している本。
宗教的な理由、伝統的な理由、心霊的な理由など理由は様々だが、そこを人々はなんとなく足を踏み入れては行けない場所として認識している。中には入ってはいけない理由がなくなったのにも関わらず禁足地として存在し続けているところもあるらしい。
著者も言及しているが、日本人は無宗教だと言われるが、霊的な存在・不可思議な存在をいっさい否定して意に介さないほどのラディカルな唯物論者にはなっていない。
神道と仏教が混ざりあった混淆宗教の土台があり、大らかな多宗教ともいうべき独自の宗教感を持っている日本人。神の存在は信じないけれども、higher powerは信じるような微妙な感覚。これらが伝統的にも心情的にも禁足地を生み出しているんでしょうかね。
まあ良くわからなくなってきたところで、この本は深く掘り下げるのではなく入門編としてこんなものあるよ?的に紹介されているので「禁足地ってロマンあるよね」程度の知識の私にとっては面白かったですが、詳しいことを知りたい人にとっては物足りないものかと思います。
いやぁ、オカルトはロマンを感じざるをえません
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