方丈記 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 日本史や古文の授業で取り上げられる方丈記だが本書で初めて全文を読んだ。こんなにも短い文章だとは知らなかった。
    やはり面白いのは(魅力とも言えるが、)出家して俗世と縁を切っと言ってもそもそもこんな随筆を書いたりして未練が感じられるところだろうか。

  • 鴨長明は、大火事、地震、竜巻、飢饉、ありとあらゆる天災を経験した。そして本人も記しているが、ある面ではとても運がなかった。そのような800年も前の著者の随筆が現在の私たちにとって、共感しこれから生きていく励みにもなる。東日本大震災の際にもよく読まれたと聞いているが、現在のコロナの状況下においても必読の書であるかもしれない。

  • 感銘を受けるかどうかは読んだ人個人の体験にもよるのかなと思って私は別に今刺さる感じではなかった 世の無常に対して疲れた人が自分自身を慰める分には世俗を離れて自分自身のことだけに尽くす生活はいいだろうけど、これが例えば「政治のことなんて考えずに暮らす」ことへの肯定として使われると「は?」ってなるだろうな…。

  • 無常観に基づいて書かれているくらいは知っていたが、意外と世の中の雑事や音楽等の「数寄」に対する執着がある鴨長明の姿については初めて知った。

  • 「日本最古の災害文学」の名を聞いて読んだが、災害文学というカテゴライズは、内容の理解のためには足りず、むしろ鴨長明の俗世間を離れた生き方を描いたエッセイという方が近い。人生は思い通りに行かない、得たものは失われる、豊かさの中でも心の平穏は必ずしも満たされない、などの経験を語り、俗世から離れた生活を志向する鴨長明の口ぶりは、21世紀から見ても全く違和感なく、今と同じような苦しさを人が感じてきたのだと思わされる。

    また本書の解説にて、鴨長明という人の俗っぽい人間味が語られている。俗世から離れた生活をしながらも、俗世への未練をただよわせる鴨長明の正直なところ、迷いを見せるところが、共感を呼ぶこの本の魅力だと思った。
    まさに彼のこの迷い方は親近感を覚えるが、迷うなかで俗世に残って頑張る人というのはどんな人なんだろうとも思う。

  • 短いので、読みやすい。
    訳文の後に原文も載っているし、注も図が有って分かりやすかったです。

  • 「もし念仏をするのが面倒になり、読経に気持ちが向かない時は、思いのままに休み、なまける」
    「都に出かけることがあって、そんなときは自分が落ちぶれたと恥じいるとはいえ、帰宅し、ほっとして落ち着くと、他人が俗塵の中を走り回っていることが気の毒になる」
    1000年前の人も今と大して変わらなかったんだなと思うと、ふっと心が軽くなる気がしますね。

  • どこに拠り所を求めるでもなく放浪する鴨長明の名文。短いのですぐに読める

  • 堀田善衛経由だが、なぜもっと早く読まなかったのか後悔。これはまさに自分だと思う人は多いのではないだろうか。才能や家柄に恵まれながらも下鴨神社河合社の禰宜になれなかったこと、実朝の和歌の指南役になれなかったことなど不運が重なり、それならと新古今和歌集に関わることからも降りて半ば隠遁生活に入る。いつの世であっても人がとりそうな行動ではないか。私記折々の自然の中での生活を味わい、近所の子供と散歩するのを楽しみ、この生活で満足としつつも、たまに都で人と会うと引け目を感じるところなども共感を覚えない人はいないだろう。
    蜂飼耳の現代語訳はこちらの知識の足りないところを補いつつ、流れるように自然な文章で、こうやって読めたことがありがたい。解説も、新古今和歌集に収録されている鴨長明の和歌も「発心集 貧男、指図を好む事」も併せて読むことができ、興味深かった。

  • こんなレビューは巷にあふれているのだろうけど、それでも言う。
    これは「ツァラトゥストラかく語りき」だ。

    年代的前後関係を捉えるならば、「ツァラトゥストラかく語りき」は「方丈記」だと言ったほうが正しいか。

    俗世を離れながらも、その価値観を共有できる人を求めてチラチラと俗世に目と見やるような鴨長明の晩年の生き方がにじみ出ている文は私にそのような念を想起させた。

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著者プロフィール

平安時代末期から鎌倉時代にかけての日本の歌人・随筆家。建暦2(1212)年に成立した『方丈記』は和漢混淆文による文芸の祖、日本の三大随筆の一つとして名高い。下鴨神社の正禰宜の子として生まれるが、出家して京都郊外の日野に閑居し、『方丈記』を執筆。著作に『無名抄』『発心集』などがある。

「2022年 『超約版 方丈記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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