- Amazon.co.jp ・電子書籍 (103ページ)
感想・レビュー・書評
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平成28年上半期 芥川賞候補。村田沙耶香さんの「コンビニ人間」と賞を争う。僕はこちらの方が好きかも。
短編集。達観というか、ある種の感情が欠落しているというか、奇妙な語り口で物語が進んでいく。
僕のような感性の鈍い人間には、読んでいる最中はあまりピンと来なくて、読後にじわじわと様々な感慨が込み上げてくる。いろいろ空想が広がっていく。
あひる
あひるを飼ってからの家の変化を淡々を描く。
あひるを弟の赤ちゃんのメタファーとするホラー的な読み方をしたくなるが、書かれたまま読んでも十分怖い内容。
自らの望ましい生活を維持するために淡々と生命をすげ替えていく夫婦…
おばあちゃんの家
森の兄妹
重要な要素で繋がっている2つの短編。表裏の関係と言えるかもしれない。
おばあちゃんがどんどん元気になっていったのは、モリオが訪ねるようになったからか。とすると、物語後のおばあちゃんはどうなっちゃうのかな...
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不気味。違和感。ゾクゾクする。ミステリとは違うゾクゾク。前に0時の森で若林さんがこの作品の話してて、気になってた作品。
アヒルが病気になるたびに戻ってくるけど、特徴が違う。でもみんなのりたまだと信じていて不気味。そして、寂しさから書い始めたアヒルののりたま。のりたまのおかげで子供たちが集まり、子供たちもだんだんアヒル目当てではなく家に入り浸るようになり、、、人もものも変えがきく。そんなことを表してるのかな。怖
「おばあちゃんの家」と「森の兄弟」は繋がっていて視点が変わるんだけど、視点が変わるとよりおばあちゃんの不気味さが際立つ。
今村夏子さんの作品はどれも、え?なんで?どういうこと?って思う瞬間が多いんだけど、日常にありふれてる人間の狂気な部分が不気味に書いている。疑問が残るし誰か教えて〜ってなるけど、読者に考えさせる感じ、いろんな意見、見解があっていい。インスタとかでいろんな人の見解読むのがまた楽しい。 -
今村さんは初読です。何だこのお話は……??
ありそうで、かなり不気味で、結末もなんか不思議。世界観が独特すぎる。
国語の教科書に載っていそうというか、文学科の授業で取り上げられそうというか、センター試験で出て来そうというか、とにかく深く深く読みといて解読しなきゃ分からないような、そんな作品群。
独特すぎて私にはまだ早かったかな……^^; -
薄い本で読みやすく、難解な言葉もないのですいすい読み進められました。
児童文学といってもいいようなわかりやすい内容ではありますが、この中の「あひる」が、もし夏休みの読書感想文の指定図書になったとしたら、本当になんと書けばいいのか頭を悩ませるに違いありません。
難解な言葉もなく
内容もわかりやすく
でも感想が思いつかない
つまらない話ではなく、かと言って面白いかと言われるとそうでもない。
でも何度でも読める気がする(薄いし)
少なくとも何度でも読む気になる。
なんとなく根底に怖さを感じる
という、ある種魅力のある本でした。 -
不穏な雰囲気があり、何か起こるのかと思いきや、何も起こらない。でも、何か起こったのかもしれない。ぼんやりとした怖さはあるものの、よく分からない。難しかった。
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あひるが来てから笑顔が絶えない
幸せな家庭の日常が始まった
物語は概ねハッピーなのに
不気味さを感じるのはなぜだろう
「代替可能」という枠組みの中に
自分が入ってしまう事の恐ろしさを
心のどこかに感じるのかもしれない
でもみんな取り替えながら生きている -
どこにでもありそうな日常風景の中に、毒を盛り込んだような作品。