新章 神様のカルテ [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • 読んでみてあらためてこのシリーズは大好きな作品だと思った。

    生と死に向き合う過酷な医者という立場で、悩み、葛藤しながらも真摯に患者と向き合う主人公に毎回感動させられる。

    松本を舞台にし、時折挟まれる山々や街並み、季節の情景を言葉巧みに現していて、その美しさにも引き込まれる。

    「真面目とはね、真剣勝負の意味だよ」主人公が敬愛する夏目漱石の言葉らしい。

    終わるとわかっている命でも諦めることなく真剣に向き合うこと。そこには患者の命だけでなく、その家族の心をも救う優しさに溢れている。

    命の儚さと切なさに自然と涙が溢れ、しかし、登場人物達のふと垣間見せる優しさで温かくなれる作品。

  • やっぱり…いいよね、このシリーズ。イチさんも、その周りの人も!ハルさんも小春ちゃんも…。患者のことを考える医者…人生の最後に出会えたら、生きてきた事に感謝をして逝けるのかもしれない。このシリーズ、まだまだ読みたいなぁ。

  • 表紙を見て、子供がいる!とびっくり。

    大学病院に行った一止先生の話。
    後輩を指導しつつ、実験もして患者も見るという、あいかわらず多忙です。

    そんな多忙な中、住んでいるところの解体話が出てきます。

    最後の方は、泣きながらよんでました。一止先生の変わらないで欲しい部分が変わってなくて良かったです。

  • 大学病院という大きな役割を持っているからこその、歪や矛盾や問題に、向き合い迷い奮闘する栗原先生。
    懸命に自分の命に対して手綱を取って生き抜こうとする患者と、その家族。

    素敵な物語でした。

    全ての方にお勧めの一冊。

  • イチさんってこんな面倒くさい奴だったんだっけ?~品の大学医学部病院で勤務する栗原一止は月給手取り16万円で授業料5万円の大学院生だ。しかし四内の診療班の副班長も任されている7年目の意思でもある。休業中のカメラマンの妻と股関節に障害を持って生まれてきた2歳の小春という娘がいて、その装具がやっととれたところで、生活は楽ではない。潰瘍性大腸炎の40台の男性と百円玉を飲んで内視鏡で取ったものの胸痛を訴える少年、一番の気がかりは29歳の膵癌の若い母親だ。潰瘍性大腸炎の患者が大量の血便を出し、CTで膵癌が見つかったが、准教授の宇佐見は海外出張中の柿崎に画像をメールで送り、自己免疫型膵炎2型であるとの診断を引き出していた。大学病院は患者より医者の数が多く、常にベッドは不足している。その一方で、最後の時を家で過ごしたいという29歳の女性の希望は叶えられない。一止は地域医療関連部との軋轢の中で退院させる方法を考え出すが、医局おける立場は悪くなる一方だ…~漱石好きの西国出身の信州の内科医で、PCR検査で学位を取ろうとしていて、飛ばされるのも覚悟の上。余程、大学病院というのは変なところなのでしょうね

  • 相変わらず面白かったし、泣かせてくれました。

  • 本庄病院から信濃大学の大学病院に移った栗原一止。身分は大学院生だが、九年目の中堅内科医として臨床をこなし、後輩医師や研修医を指導しつつ、博士号取得に向けて自ら研究もこなさなくてはならない。月給は十八万円と薄給な上、授業料を月五万円支払うため、傘下の病院で外勤したり土日に日当直のアルバイトをして生活費を稼がなくてはいけない、というなんとも理不尽に過酷な環境に甘んじて身を投じている。

    半人前の後輩医師の新発田(利休)は、実直だが融通が聞かない熱血漢で、患者の治療より病院内のルールやベッド数の管理を優先する冷徹な宇佐美准教授(御家老、パン屋)に睨まれてばかり。その板挟みになる一止も、大学病院の矛盾にやりきれなさを募らせる。そんな一止のストレスを忘れさせてくれるのが、ハルとの間にできた二歳の娘、小春。

    本作では、大学医局という白い巨塔の中で、患者に寄り添う姿勢をひたすら貫こうとして悪戦苦闘する一止の姿が描かれている。

    一止が退院カンファレンスで切った啖呵「それが我々の仕事です」、二木さんの御主人に思いやりを持って告げた「大丈夫でないことはたくさんあると思いますが、それも含めて大丈夫です」、宇佐美准教授に吐いた暴言「私は患者の話をしているのです」が格好よかった。

    本作、癖になる。続編も出たら読みたい!

    本作には、病理研究医 双葉の愛読SF小説が何冊か登場する。スタニスワフ・レムの「完全な真空」「ソラリス」、レイ・ブラッドベリの「華氏451度」、ル・グウィンの「闇の左手」、ホバート・チャールズウィルスンの「時間封鎖」、ハル・クレメント。「ソラリス」以外読んでないなあ。こちらも気になる。

  • 安定した面白さ。これからも読んでいきたい。

  • 『神様のカルテ』シリーズの新章。
    24時間救急受け入れを目指す本庄病院から大学病院へと活動の場を移した内科医栗原一止の物語。
    読み始めてすぐに違和感を覚えた。一止、本当に同一人物なの?って。
    本庄病院時代からすっかり変わってしまったのかと思ったら・・・

  • 様々な医者に関する小説や漫画があるが、一番心に響く小説。特に心に残るセリフがおおい。この小説を読むと、言葉の大事さを感じる。どうやったら、人に自分の気持ちが伝わるのか。ほんと日本語って難しいですね。
    また、キャラクターたちがさりげなく優しく、こころが救われる。

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同作は10年に本屋大賞第2位となり、11年には映画化もされた。著書に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『新章 神様のカルテ』『本を守ろうとする猫の話』『始まりの木』『臨床の砦』『レッドゾーン』など。

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