父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 [Kindle]

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  • 父が娘に語る経済の話、読了。後半、すごくいい。遠くからみること、そうやなぁ。

  • 皮肉屋とは、すべてのものの値段を知っているが、どんなものの価値も知らない人間(オスカーワイルド)

    ときに自嘲気味に触れられるワイルドの箴言と映画マトリックスの世界。著者は最後に経済こそ現代の宗教であると嘯いてみせる。

    彼らニヒリストを産んだ近代経済学の基礎は200年くらい前に生まれた。経験価値から交換価値への大転換。300年で家庭の法則=エコノミーは市場の法則=アゴラノミーに変わった。キーワードは囲い込み。名前だけしか知らなかったのでメモしておく。

    60p
    市場社会は、生産活動のほとんどが市場を通して行われるようになったときにはじまった。そのとき、生産の3要素は商品となり、交換価値を持つようになった。「労働者」は自由の身となり、新しい労働市場でおカネと引き換えに労働力を提供するようになった。「生産手段」の道具は専門の職人によってつくられ、販売されるようになった。そしてもちろん、「土地」も不動産市場で売買されたり、貸し出されたりするようになり、交換価値がここに生まれた。では、この大転換はどのように起きたのだろう

    大航海時代以降、英ポ蘭西各国は羊毛の価値に気づく。イギリスで羊毛を積んだ船は、中国で絹に、日本で刀に、インドで香辛料に交換し、再び英国に戻り羊毛を買う。以降繰り返し、莫大なとみをきずく。彼ら商人の活躍を見た領主たちは、農奴に土地を耕させるのをやめ、土地を柵で囲って農奴をおいだし羊を飼った。世にいう囲い込み。
    こうして放り出された農奴たちは自分の労働力を売る必要にかられる。一度は追い出された領主のもとに再び就職した。18世紀末技術革新が起こって工場産業が興り、農奴たちは今度は工場労働者になった。
    著者はこの300年の間におこった変化を、ファウストの物語の異なる2つの版マーロウ版ゲーテ版に見出している。すなわち借金は宗教的な問題であった。

    たとえ話や寓話など使って説明していてわかりやすい。ジレンマの話(皆で鹿をとるか各人がうさぎをとるか)、オイディプスの予言の自己成就、収容所のたばこがマネーのかわりになると同時にそれが実際のマネーとどう違うのか、など。

    すべてのひとに恩恵をもたらす機械の使い方として、企業が所有する機械の一部をすべての人で共有する世界について書いているが、もうすでにある程度実現できているのでは。
    最後の方で経済学の基本概念を補填する様々な理論への批判を加えている。行動経済学についてはどのように考えているのだるう。

  • ギリシャの元財務大臣によって10代の娘に向けて書かれた経済とは何かという本。簡単な言葉で書かれているため、経済や貨幣について詳しくない人でも簡単に読むことができる。

    貨幣の歴史について語る本を評価する際に、俺は「ソフトマネー」について言及しているかを一つの指標としている。この本は「ソフトマネー」という単語こそ出てこなかったけど、その本質は解説されるので合格。特に銀行は金を貸し出す際に、貸し出す金を実際に持っている必要はないというところから始めるのは偉い。お金は信用なので、こういうことができる。

    他にも「共有地の悲劇」の問題と解決方法、ビットコインの課題など、古今東西の経済にまつわる話をここまで網羅し、コンパクトにまとめているのは簡単なことではない。本当に経済について詳しいのだと思わされる。高校生や大学生にお勧めの本といえる。

  • タイトルは胡散臭いけど、市場経済の成り立ちや変遷が哲学の観点でまとめられていた。内容は3日で忘れそう。

  • 経験価値と交換価値の違いについて
    ものではなく、ことが重視されていると説明
    企業と利率と借金
    将来の価値の測り方
    そんな世界経済の話を父が娘にわかりやすく話をする
    小説のような雰囲気がある書物である一方、後半は父の話が中心となる。

  • 前評判通り、読みやすかった。
    なんていうか、ズバッと正解はこれだ!と言い切らないところがいい。まさしく娘に語るという味が良く出てます。

  • 余剰→市場→借金→金融→労働→機械→SF→政治、政治をよくしよう!

  • 語り口が優しい文体なので、一気読みしてしまった。
    これもまさに今読むべき本だ。
    経済の発達が「余剰」を発端として始まったなんて、全く思わなかった。
    もちろん社会の授業では教わった記憶もないし、自分が経済学専攻ではなかったから、尚更知る由もなかった。
    「余剰」が生まれたがために、社会が大きく変化してしまった。
    文字を生み出し、数字・計算を生み出し、通貨を生み出した。
    通貨が生まれると、今あるものを代替えするに留まらず「債務」を生み出した。
    この「債務」=「借金」こそが、経済発展の元だったなんて。。。
    こういう話は本当に社会の授業でやるべきではないか?
    お金の本質とは何なのか?考えさせて理解させることが重要ではないだろうか。
    「余剰」を持たなかった人たちは、文字も計算も通貨も必要がない。
    ほしい時に狩りや収穫するだけで手に入ったから、「余剰」する必要が全くなかったのだ。
    それはある意味ですごく幸せな暮らしだ。
    欲しい時に欲しいだけ苦労せずに手に入っていたのだから。
    オーストラリア先住民のアボリジニがそうだった。
    だからイギリス人の侵略に弱かったんだ。
    文字も計算もなければ、戦術で勝てる訳がない。
    世界は確かに今資本主義で経済で回っている。
    資本主義は完璧ではないし、格差も生み、問題は非常に多い。
    経済破綻が起こる仕組みもこの本の中で分かりやすい説明で優しく書かれている。
    今、資本主義に代替え手段がないのも事実だ。
    しかしこれからはどうなるのか?
    このまま永遠に資本主義が続くとは思えない。
    それこそテクノロジーの進化が世界を変えていく。
    さて、我々はどうなるのか?その時にどうするのか?
    (2019/04/21)

  • ピケティ『21世紀の資本』の映画は、大部分が18〜21世紀の歴史の話を概観する内容で、今後の格差是正は技術的に可能であって政治的な問題だという指摘で締めくくられていた。
    本書にも共通のメッセージがあるように思う。父が娘に経済学の要点を噛んで含めるように教える内容になっており、なぜマオリ族がイギリスに攻め込むという逆の流れが生じなかったのかという問いについて、原因は〈余剰〉にあるという話から、経済を回すには借金が必要だということ、労働力というのが特殊な商品であることなどをギリシャ神話などに例えて説明している。
    一読はわりとすんなりできるが、その内容を十分に理解するには再読が必要だ。

  • 12.10


    対話形式でタイトル通り簡単に経済の話を理解できる。
    少し噛み砕きすぎな点はある。

    ◯ポイント
    ・マネーサプライの調整により債務とバブルと経済成長の行き過ぎを防ぐ。また同時にデフレと景気後退も防げる。
    →だからこそ通貨の民主化必要
    →そのためには国家の民主化必要
    ・全てのものは所有されることによって搾取を制限できる
    →しかし封建制となにが違う?
    実際に自然を守るために自然が商品化されている。具体的には炭素の排出権が売買されていることが挙げられる。
    ・全てを民主化or商品化 正しいのは?
    ・アフリカは南北に長く、ユーラシア大陸は東西に長い。東西で気候は似るが、南北は違う。農耕やそれに付随する技術などが伝わりやすい。
    ◯感想
    些細な日常の中の経済学的要素にハッと気づかせられる。

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著者プロフィール

1961年アテネ生まれ。経済学者。2015年1月に成立したギリシャの急進左派連合政権(チプラス政権)で財務大臣を務め、国際債権団(トロイカ)との債務再編交渉を担当した。政権入りするまで長年にわたり、英国、オーストラリア、米国の大学で教授職を務めた。大臣職を辞任した後は、民主主義の再生に向けて活動し、世界中の聴衆に語りかけている。2016年からは欧州の草の根政治運動、DiEM25(Democracy in Europe Movement)の顔役を務め、2018年11月には米国の上院議員バーニー・サンダース氏らとともに革新的左派の国際組織、プログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げた。著書は、Talking to My Daughter About the Economy: A Brief History of Capitalism (Bodley Head, 2017)〔関美和 訳『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』(ダイヤモンド社、2019)〕、And The Weak Suffer What They Must? (Bold Type Books, 2016) など多数。

「2019年 『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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