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感想・レビュー・書評
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30代半ば過ぎ、将来のことも考え<私>が一大決心して購入した中古マンションに前住人の幽霊が……。相手は<私>の存在に気付いておらず、コミュニケーションは存在しないけれど、ていねいに暮らしていたことがうかがえる部屋や、“判で押したような”きまじめな立ち居振る舞いから、前の住人・大江さんの人となりが少しずつ伝わってくる。この感じは、古本の中から映画の半券など前の持ち主の痕跡を見つけた時、その人を勝手に想像してちょっとうれしくなる感覚と似ているかもしれない。もしかして空気のような存在との共同生活って一つの理想では?。ふっと気持ちが開かれてゆくような読後感が今の季節にとても合う。(2019 シングルカット作品)
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とても読み心地のいい短編。
亡霊でも生き霊でもない、ふしぎな幻影といっしょにくらすことになってしまった「私」。この幻影のありかた、ちょっと宮内悠介さんの「ディレイ・エフェクト」を思い出す。話はぜんぜんちがうけど。
でもって、この幻影が本人にしか見えないとかいう話だと、わりとありがちなんだけど、ふつうに誰にでも見えるのが、異常なのにとてもふつうっぽくていい(笑)。
そんな、ゴーストともいえない幻影をめぐって、「私」の人となりやまわりの人たち、そしてゴースト本人(?)のことも少しずつ描かれていく。その自然な語り口が心地よかった。
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