つまずきやすい日本語 NHK出版 学びのきほん [Kindle]

  • NHK出版 (2019年3月25日発売)
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  • 本 ・電子書籍 (98ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 辞書編集者の飯間浩明さんのNHK出版 学びのきほんシリーズ「つまづきやすい日本語」を読みました。

    このシリーズは、数時間で読める程度の分量で興味深いテーマを取り上げてくれていていいんですよね。

    この本で語られていたのは、私なりにざっくりとまとめると、

    ・言語はどんどん変わっていくもの
    ・人それぞれに言語の辞書を持っている
    ・なので、言葉に「間違い」ということはない

    ・それでもコミュニケーションにおいて誤解(この本では「つまづき」と表現)が生じることがある
    ・その「つまづき」はどんな場合に起こるのか、
    ・そして「つまづき」を少なくしていくにはどうしたらいいか

    という感じでした。

    それほど新しい知見はなかったけれど(飯間さんの本を何冊か読んでいるし、発言なども時々見ているから、という意味で)、この本で新しく知ることができた情報もありました。


    なぜ、新語や新しい言い回しに、「間違いだ!」という意見が言われるのか。それは、日本では、「言葉は変化していくものである」という感覚が薄いからなのではないか、という考察が書かれていました。

    変化しなかった?
    そう、平安時代から明治時代まで、「書き言葉」はあまり変化してこなかったのだ! と。


    あーなるほど!

    日本では、書き言葉と、話し言葉を、別物として考えてきた歴史があり、話し言葉はどんどん変化しているけれど記録にも記憶にもあまり残らず、定型的な昔からの「書き言葉」はあまり変化せずにきたから、

    「言葉は変化しないもの」→「変化しているのは『間違い』」

    という感覚になってしまうのだな、と。


    書き言葉があまり変化していない、というのは初めて知りました。

    興味深い!

    日本語母語話者なのに、日本語について知らないことがたくさんありますね〜。面白い。




    関係ないけれど、最近、YouTubeの「ことラボ」を一気見しました。いろいろな新しい知見を得られて面白かった。

  • 言葉は、どういう所で「つまずく」のか。自分が発した言葉を誤解されたり、分かってもらえなかったりすることはある。分かってもらっていると思っても、後から分かってもらっていないと気づくこともある。

  • 普段日本語を使っていて、この言葉は正しいのか正しくないのかという見方をついしてしまうけど、言葉の使い方はどんどん変わっていくものだというのが面白かった。
    辞書に載る意味も変わっていく様に自分の中にある辞書も柔軟に言葉を広げていきたいと思った

  • なぜ私たちは使い慣れているはずの"言葉"でつまずくのか。
    その理由の探求と回避策をまとめた本。


    序文を読んだ時点で「あ、するする読めるわかりやすい本だ」と悟った。
    徹頭徹尾平易な単語を使い、日本語でつまずく具体例を挙げ、本の主旨をはっきり提示していたからだ。著者が国語辞典編纂者であることを鑑みれば「さもありなん」だが、世の中には職業と仕事の成果物が釣り合わない人も多々いらっしゃるので、ここは当たり前と流さずに敬意を表したい。

    本の内容はまず『言葉の解釈は人それぞれ異なること』ことを説明し、その理由として『世代による言葉のギャップ』、『方言や専門の違いによる言葉の意味のずれ』を著者の体験談なども交えながら説明している。
    その解決策は最終章にまとめられている。

    全編通して、序文同様に文章はわかりやすい。
    また本の構成も素晴らしかった。

  • 昨今の仕事は、メールが占めるウェートが大きい。最近もコミュニーション不足が原因でミスをしたが、なんとなくきっかけに気付かせてくれる本だった。

  • 話し方の本を探すとほとんどがいわゆるビジネスシーンでの会話を前提にしていて、知りたいことはこれじゃないのに、と思っていた。
    この本は話し方そのものの本ではないけれど、話す・聞く時の心構えとして、この本で読んだことが自分の中にあると、慌てたり不安になる瞬間が少し変わるかもしれない。

    『言葉はなぜ変化し意味をたくさん持つのか』というすれ違いの根本部分をかなり優しく解説してくれている。
    例として掲載されている会話とそのすれ違い内容も文字で読むことで、どちらが間違っている、ではなく『確かにどちらの意味もその言葉には含まれているな。でもこの流れだとこっちの意味なのかな』と落ち着いて考える事が出来て、この"落ち着いて考える"事が会話のすれ違いを少なくするコツなのかなと思った。

    第4章には「つまずきを避ける方法」という直球な題が付いている。もちろんこれさえやればオールオッケーという訳は無いけれど、話す・聞く・書く・読む時の工夫やコツがわかりやすい。
    『「自分のことばは相手に伝わらないかもしれない」という危機意識』は自信が無いから持ってしまっている、のでなく、不親切な言葉選びをしないためのブレーキとして持っていたい。

    そしてなにより、著者の書く文章が優しくてわかりやすい。こういう風に話せたら良いなと思った。

  • 言葉が時代によって変わることがよく理解できた。自分の思ってたよりも言葉はコロコロ変わるようだ。自分より年上の人や年下の人と話す時、自分の言葉の意味が相手に違った意味で捉えられてないか、またその逆はないか、意識を向けることが必要だと感じた。相手に伝わりやすい。つまずきの少ない言葉選びを心がけていきたい。

    「言葉って伝わらない」本当にその通りである。

  • 書く人に、巻末の文献リストはおすすめできる。

  • 言葉はなぜ伝わらないのか、さまざまな歴史的背景や要因をわかりやすく書いている本でした。
    著者自身が言葉は伝わらないものと深く理解しているからこその読みやすさなのかなと思いました。

  • 誤解を生みやすい言葉や語法に関する指南書。NHK出版の「学びのきほん」シリーズ(1テーマをわかりやすく、がコンセプトらしい)の一冊だという。

    世代間、地域間、時間(時代)に伴う変化、専門用語など、コミュニケーションがつまずきやすい要因は枚挙にいとまがない。そこで生まれる誤解やすれ違いの事例を挙げ、どうしたらそれを少なくできるかを説く。

    よく本を読む、声を出して読む、二度言う、他人の言葉に寛容になる、などが解決案。

    まあ、そりゃそうだなあ。

    言葉はすべて比喩で、しかもなんの比喩かと言えば個々人の内心のことので、誤解やすれ違いが生じるのは当たり前。まずは伝えたい、受け取りたいという真摯さが大事なんだろうな。

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著者プロフィール

香川県生まれ。国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。新聞・雑誌・書籍・インターネット・街の中など、あらゆる所から現代語の用例を採集する日々を送る。著書に『辞書を編む』(光文社)、『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『辞書には載らなかった不採用語辞典』(PHPエディターズ・グループ)、『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』(PHP研究所)、「日本語をつかまえろ!」シリーズ(金井真紀・絵 毎日新聞出版)など。

「2023年 『けいごって しってる?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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