ミライの授業 [Kindle]

著者 :
  • 講談社
4.23
  • (29)
  • (25)
  • (10)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 312
感想 : 35
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (290ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 旅先で知った起業支援家 瀧本哲史さんの訃報。
    著書に感銘を受けたし、自分と同い年代の人と認識があったのでショックだった。働き盛り、まだこれからなのに。

    瀧本さんを偲んで、急遽電子書籍を購入。

    この本は、瀧本さんが全国の中学校を訪れて開講した特別講義「未来をつくる5つの法則」のエッセンスをまとめたもの。これから生きる14歳に向けたメッセージが詰まっている。

    人は未来をつくるために生きている。
    「思い込み」を排除して、知を蓄え、力をつけて「新しい世界をつくろう」と呼びかける。
    そして、未来をつくる5つの法則を変革者20人の人生から学んでいく。

    法則1 世界を変える旅は 「違和感 」からはじまる
    法則2 冒険には 「地図 」が必要だ
    法則3 一行の 「ル ール 」が世界を変える
    法則4 すべての冒険には 「影の主役 」がいる
    法則5 ミライは 「逆風 」の向こうにある

    「課題解決」できるかではなく「課題発見」できるかなんだよなぁ…いい歳こいて心に響いてる自分がしょうもない、とも思うが、また明日から少しでも未来をつくっていきたい、と決意を新たにした。

    瀧本さん、ありがとう。
    そして、おつかれさまでした。

  • 著者である瀧本氏の魂の言葉だ。
    どの著作にも共通しているのは「若者への叱咤激励」だ。
    未来は若者が創るのだ。
    だからこそ大人たちが決めた常識を疑え。
    壮大な目標を掲げるんだ。
    それは他者が目指さないものの方がいい。
    敢えて空白地帯を目指せ。それが冒険だ。
    冒険には仲間が必要だ。あなたは冒険についていくだけでいいかもしれない。
    その中であなたにしかできない事があるはずだ。
    必ずしも先頭に立ってリーダーとして突き進まなくてもいい。
    自分の役割で、自分の特長を活かせばいい。
    ただし単に流されるだけでは駄目だ。
    きちんと真実を見る事。
    もし今小さな違和感があるならば、その感覚はすごく大事だ。
    その感覚に蓋をして生きていくことが大人になること、なんて迷信だ。
    それは「くだらない大人になること」を示しているだけなんだ。
    世界を変えるために、きちんとした大人になれ。
    壮大な目的地に向かって、仲間とともに邁進しろ。
    くだらない大人になった今だからこそよく分かる。
    未来を創るのは、本当に若者なのだ。
    我々大人はそんな若者たちを全力でサポートしろってことだ。
    自分たちの常識を押し付けるんじゃない。
    偉ぶるんじゃない。本当に常に心に留めておきたい。
    本書では数々の偉人が出てくるが、個人的に好きなのはナイチンゲールの話。
    この本を読むまで、ただの「白衣の天使」というイメージしかなかった。
    しかし彼女の本当の姿は、「信念の人」であり、「真実を見た人」だ。
    「戦場での死者はほぼ感染症」ってことを、今まで誰も説明できなかったのか。
    いかに人は、常識の前では盲目になってしまうか、というエピソードだ。
    これらの常識は、ほとんど根拠がなかったりする。
    あくまでも誰かの噂話であったり、印象であったりということだ。
    その「違う」という根拠を示したのがナイチンゲールなのだ。
    単に大人たちを批判するだけでなく、明確なファクトで示した。
    APUの出口学長も言っている。
    「縦横など様々な角度で考察して、ファクトで示せ」
    この21世紀の会社内でも、これだけ数字に溢れているのに、経営判断が印象で行われるのはどういうことか。
    大人たちの慢心があるとしか思えない。
    「自分たちが今まで行ってきたやり方で正しいはずだ」
    前例主義を踏襲し、深く考えないままに判断をしてしまう。
    これこそ最も恐ろしいことだ。
    リーダーに限らず、大人なら誰でもこの点は注意すべきだ。
    前提を疑え。ファクトを見ろ。
    そして真実を見極めろ。
    大人になるとこれらが本当に出来なくなっていく。
    だからこそ意識して。
    心のそこから常に意識していることが重要なのだ。
    これが瀧本氏の魂の叫びなのだ。
    瀧本氏は病によって47歳の短い生涯を終えた。
    しかしこの魂は語り継がれる。
    私も一つの信念を貫き通したい。
    そんな人生を送りたい。
    くだらない大人と言われないように。
    そんな風に思っている。
    (2021/4/11)

  • 14歳向けに書かれていますが、大人が読んでも面白いし、むしろ大人も読むべき本です。

    学校で学んでいるものの正体は「魔法」。「魔法」を学んでいる。「魔法」の力で未来を変えるために学校に通い勉強しているという。なるほど、視点を変えれば、今現実に出来ている技術は過去の時代から見たら、まったくの魔法そのモノだろう。学校は未来と希望の工場なんだなあ。

    「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」って言われているのに大人になるととかく経験で意見したくなるものです。過去に成功を収めた方ほど経験に縛られるかもしれない。経験を否定して未来を語れるかどうかは、多くの人が賛同しない真実を見つけられるかどうか。それもうまく行った人の結果論かもしれないけど、それでもバットを振らないとボールには当たらないからね。

    それにしても、14歳のころの私にこの本は響いたかっていうと、いっぱい???です。それだけ凡人なんですね。その当時からこうしたことを意識できる人材こそ、未来の魔法を作るのかもしれません。でも、私も、箒にまたがって空を飛びたい!(笑)

  • 積読解消。
    14歳に向けて書かれた本。親戚の子に薦めたくなると同時に、自分が14歳の時に素直に読めたかは疑問。

    本当に惜しい人を亡くしたと思いますが、こうやって後世のために残してもらえたことに感謝。

  • 何のために生きているのかと、誰かが「何のためでもない」と言っていたことを思い出しましたが、瀧本さんは「学ぶために生きている」と言っていたように感じました。特に日本人は大学入学までの人口は世界と比べても多いらしいですが、大学院生、修士、博士までは至らなく、社会人になってから学ぶ人が少ないようです。まさに学び続ける大切さを教えていただきました。瀧本さんは早くから日本の危機に気づいていたのかもしれません。だからなのか、あれから日本は衰退しているように感じます。今からでも頑張りたいです。

  • 偉人から学ぶ世界の変え方

  • これから先をより良く生きるために、5つのテーマに分けて過去の偉人たちがどう発想しどう成し遂げてきたかを授業する。
    テクノロジーの発展で課題の解決が昔より”は”簡単になり課題の発見がより重要になってくる。が、課題が大きいほど解決は困難であることは違いない。本書は何をもとに課題を見つけ、どう解決に至るかを過去の事例から一般化している。
    よく引き合いに出される人物ではなく、それでいて大きなことを成し遂げた人を取り上げており、話としては新鮮で興味が尽きなかった。

  •  著者の熱い思いが伝わる一冊だ。
     最近のナショナリズムや今年の新型コロナウイルス禍、どうも内向きな意識になりがちな昨今、そんなご時世に、ぜひ若い人に読んでもらいたい一冊だ。
     いや、若い人だけではない、次世代を育成する立場の諸兄にもぜひ読んでいただきたい。そして未来のため志のある若者に次世代に向けその取組をサポートしたい。未来は見据えることが難しい、だから次世代を導くのではなくサポートするということだと思う。

  • ■感想
    ・大人が読んでも勉強になるし、モチベーションにつながります。
    ・中学生向けなので、すぐに読むことができます。
    ・難解なことを簡単な言葉で伝えるとはまさにこういうことだと、生まれて初めて実感しました。

    ■要諦
    ○ガイダンス
    ・いま、みんなは「魔法」の中に生きている
    ・学校は「未来」と「希望」の工場だ
    ・ニュートンが発見したのは引力ではなく「数学」だった
    ・ニュートンは数学という「あたらしい言葉」で世界を説明した
     -万有引力(質量が大きければ大きいほど引力が強くなる)を微分積分で説明した
    ・一番大事な言葉「知は力なり」
     -観察と実験によって思い込みを回避する
    ・人間は「思い込み」に支配されている
     -種族のイドラ
     -洞窟のイドラ(個人の思い込み;ポジショントーク)
    -市場のイドラ(言葉の思い込み;伝聞)
    -劇場のイドラ(権威の思い込み)→誰が言っているかより、何を言っているかを重視すべき
    ・思い込みを抜け出して「あたらしい世界」をつくろう
     -愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ(ビスマルク)

    ①世界を変えるたびは「違和感」からはじまる
    ・日常にある「小さな違和感」を掘り下げ、冒険の扉をあけよう
    ・課題をこなす人より、課題を見つける人になろう
     -ヘンリー・フォード:馬が早く走るのではなく、自動車を安く普及
     -ナイチンゲール:何によって戦死しているか?
     -森鴎外と高木兼寛:脚気、伝染病説、栄養不足説、白米中心、帰納法的解決
    ・ナイチンゲールは旧世代の男たちを「データ」で動かした
    ・エリートほど「思い込み」の罠にハマりやすい
    ・未知の課題には「論より証拠」で取り組もう
     -コペルニクス:証拠を集めるために、30年。ローマ教皇庁は1992年に地動説を認めた
    ・人を疑うのではなく「コト」を疑う

    ②冒険には「地図」が必要だ
    ・冒険は、仮説という名の「地図」がなければ始まらない
    ・まだ誰も手をつけていない「空白地帯」に仮設の旗を立てよう
     -「空白地帯」が世の中を変える人の鉄則
    ・競争の少ない動物用医薬に目をつけ、2億人を救った大村智さん
     -大村方式で、メルクから研究費取得。成功報酬で、北里大学にその後200億円。
    ・パソコン用ソフトに「旗」をたてたビル・ゲイツ
     -パソコン本体はIBMに勝てないと見込んだ。1台のパソコンも作らず、業界を制した。
    ・エジソンは蓄音機の「仮説」を間違えていた
    ・自分の仮説を修正する勇気を持とう
     -エジソンはベルの誘いを断った。ベルが、コロムビアレコードを作り、音楽用蓄音器を普及。

    ③一行の「ルール」が世界を変える
    ・柔道は「スポーツ化」によって国際競技として普及した
     -嘉納治五郎:体で覚えろの柔術に疑問を感じた。あたらしいルール=柔道を作った。
    ・あたらしい考え方は「ルール」をつくって伝えよう
    ・男女平等の原則は、一人の女性がルール化させた
     -ベアテ・シロタ・ゴードン
    ・あたらしい女性像そのものをデザインしたココ・シャネル
    ・自分の思いを、目に見える「かたち」にしよう
     -自分が守りたいルールは何か、それを形にしよう

    ④すべての冒険には「影の主役」がいる
    ・個性豊かな仲間たちと「パーティー」をつくろう
    ・自分の個性を知って自分の人生の主人公になろう
    ・変革者の背後には「影の主役」たちがいる
    ・伊能忠敬の夢を支えたのは、19歳も年下の病床の天文学者(高橋至時)だった
     -天文学、暦、農業に生かすという幕府の大義名分に乗っかった。蝦夷地の地図を作ること。
    ・「鉄の女」サッチャーを支えるため「情けない夫」を演じたデニス
     -サッチャーの親「他の人がやっているから、ということだけで何かを決めてはならない。自分んで決め、自分の決断についてきてくれるよう、周りの人を説得しなさい」
    ・自分の才能におぼれ「仲間」を得られず失敗したメンデル

    ⑤ミライは「逆風」の向こうにある
    ・世界を変えるのは、いつの時代も「新人」である
     -JKローリング
    ・大人たちは変わらない。「世代交代」が時代を変える
     -歴史学者トーマス・クーン
    ・ハリー・ポッターの価値を見抜いたのは8歳の女の子だった
    ・シロウトだからこそ「常識」に振り回されなかった緒方貞子さん
    ・迷ったときには「基本原則」に立ち返れ
    ・大人たちが反対するとき、きみは「大切な真実」を語っている

  • 著者が未来にかける思いや著者の優しさが伝わる内容でした。

著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀧本哲史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
瀧本 哲史
デールカーネギ...
ベン・ホロウィッ...
リンダ グラット...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×