牙 ~アフリカゾウの「密猟組織」を追って~ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • アフリカ象が象牙取引によって絶滅の危機にある。いやそこまで深刻など本書を読むまで思いもかけないんじゃなかろうか、普通の人は。日本は象牙取引の恥ずべき主要国。頼むからこの印鑑文化が廃絶されて欲しい。

  • 21世紀になっても加速が止まらない、環境破壊や動植物の絶滅。
    その中で、保護活動が進んでいるという認識だったアフリカゾウの減少が、深刻な状態になっていると知りました。
    その原因は、随分前に禁止されたはずの、「象牙取引」とのこと。
    その闇に迫った本があると知って、電子書籍版で読むことにしました。
     
    著者は新聞記者。
    ゾウの密猟問題に興味があった彼は、アフリカ特派員になったことを契機に、この問題の取材を始めます。
     
    どのような形で取材するか、現地で活動する日本人獣医師に相談したところ、「密猟組織の内側に切り込んでみたら?」という答え。
    すでに数多くの取材が行われていたこと、そして自分の身に降りかかるかもしれない”危険”を防げるのか?というマイナス面も検討した上で、マサイ族出身の助手とともに、取材を始めます。
     
    著者は取材を進めるにつれて、密漁には複数の根深い問題が絡んでいることを、理解していきます。
    ・誰が買っているのか
    ・なぜ供給を止められないのか
     
    現在のアフリカで、酷いことが起こっていることを、認識することができました。
    そして残念ながら、この問題には日本が、非難される側に立っていることも理解しました。
     
    個人でできることは限られますが、象牙製品を買わないこと、ありがたがらないことは、意識していきたいと思います。
    アフリカの国々の現状を知るという意味でも、読み応えのある一冊でした。
     
    同じ「ノンフィクション」カテゴリーの本;
    『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す』
    エドワード・O・ソープ
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B07PPS1RWZ
      
     .

  • 前提となる問題として、著者は、アフリカゾウが急速な勢いで減少し絶滅の危機にあること、それが象牙目当ての密猟によるものであり、死後硬直が始まる前にチェーンソーで顔面をえぐるという残酷な手段で為されていること、さらに象牙によって得られた金銭がイスラム原理主義テロリストたちの資金源にもなっていることを明らかにします。

    そのうえで著者はケニアの国立保護区管理施設で野生動物の獣医として従事する滝田明日香氏のアドバイスに従って、すでにありふれている密猟の現場への取材ではなく、密猟組織の調査に着手します。調査を進めるうちに著者は中国人組織の存在に行き当たり、それも単に民間人によるものではなく中国政府が積極的に関与している疑いを強く持つようになります。しかし、そんな中国政府がらみの密猟の実態に迫る著者にとっては急転直下の展開が、ワシントン条約締約国会議によってもたらされます。そこで著者はひるがえって、アフリカゾウ絶滅危機における祖国日本政府の対応の姑息さにうろたえることになります。

    結果として密猟組織の解明には失敗していますが、アフリカゾウの密猟問題を通して、現地の貧困、政府や警察の腐敗、テロリズム、中国の政府がらみの大規模犯罪への疑惑、現状を変えようとしない日本政府の対応などを伝えており、ルポとしては大きな成果を上げていると思えます。また、本作で登場した獣医師・滝田明日香さんの著作に興味を持ちました。

  • 象牙の密輸の為に絶滅の危機に瀕しているアフリカゾウ。現地で密漁の実態に迫らんとした著者の渾身のルポタージュ。著者が言う通り、日本人の「無知」というか「無関心」が問題の一因たることを認識すべきだ。恥ずかしながら、僕自身「無関心」な人間であったわけだが。本書を読んだからといって、じゃあ今後特別にこの問題に関心を寄せ続けるかといえば否だ。でも、何かで話題に上がった時に考えられる基礎は持てたと思うし、象牙のものを買おうと思うこともないだろう。本書内で紹介されていた『晴れ、ときどきサバンナ』が読みたいな。

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