目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 (ワニの本) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • これ、かなりヤバいです。背景にあるのはMMT(現代貨幣理論)らしい。これはMMTを本気で勉強しなくてはいけないと思いました。巻末にまとめがあるので、本当にポイントだけなら巻末を見るだけでも良いのだけど、中身を読まないととても信じられない。やっぱり一番感覚的に理解しづらかったのは「機能財政論」のところかな。

    ポイントは整理しておこう。
    ・平成日本は、デフレ下にあったのに、新自由主義のイデオロギーを信じ、インフレ対策(財政支出の削減、消費増税、規制緩和、自由化、民営化、グローバル化)をやり続けた。だからいつまで経っても景気は回復しないし、経済は成長しない。
    ・量的緩和(マネタリー・ベースの増大)では、貨幣供給量は増えない。貨幣供給量を増やすのは、借り手の資金需要というのはその通り。今まで金融緩和を主張してきた経済学者の説明で、一番疑問に思っていたこと。紐は引けるけど押せない。
    ・財政に関する正しい理解=機能的財政論
    ・政府は、自国通貨発行権を有するので、自国通貨建て国債が返済不能になることは、理論上あり得ないし、歴史上も例がない。政府は、企業や家計とは違う。ここがやっぱり理解するのに時間が掛かる。
    ・財政赤字の大きさ(対GDP比政府債務残高など)は、財政危機とは無関係。これもかな。
    そのために、MMTを勉強する必要性を感じた次第。連休最後にこの本を読んで良かった。

  • 全国民に読んでもらいたいです。貨幣とはモノやサービスの交換手段ではなく、負債の一形式であること。銀行は手元にある預金をもとにではなく、借り手の需要があれば、預金という貨幣をつくりだせることには衝撃を受けました。また、日本がデフレにも関わらず、インフレ対策をして景気が回復しないということが本書を読めばいとも簡単に理解できるでしょう。自作の「戦略編」も楽しみです。

  • フワッと理解していた知識・認識ほぼ全て、日本の経済政策がいかにおかしいのか?を、ほんとに目から鱗が出るくらい文書化してくれてる1冊。ちょっと久しぶりに時間忘れて読みきってしまいました。
    頭の良い人。仕事の出来る人ほど、国家が必要とする経済政策を正しく運営できないことが分かりました。合成の誤謬って恐ろしいですね。買って読み直そうかと思いました。それぐらいの1冊です。

  • MMT(現代貨幣理論)を支持する著者の立場からすればという前提はあるものの、日本がバブル崩壊以降、低迷するデフレ経済からいつまで経っても脱却できないのはなぜか、国がこれまでに講じてきた政策がなぜ悉く失敗に終わったのか、とても分かりやすく解説されている。

    著者の主張が真実ならば、私が貨幣や経済について持っている概念も知識も大きく誤ったものということになる。同じように感じた読者はきっと多数いるはずだ。その意味で目からウロコが落ちるというタイトルに偽りはなかった。

    イギリスには、「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできないと」いう諺(ことわざ)がある。本書では「紐を引けるが押すことはできない」と表現しているが、正にその通りだと思う。

    続編の「戦略編」を読了次第、またレビューしたい。

  • タイトルに偽りなし。
    MMT理論として、通貨を発行できる国は借金をし続けられるという過激な箇所ばかりが注目されがちですが、
    「インフレにするには、需要を創出するために大きな政府にするべき」というような基本的なことが丁寧に説明されている。
    日本はインフレ政策と逆のことばかりをやっていることなど、全国民が知ったら本当に日本は良くなるはず。

  • ■ひとことで言うと
     財政赤字拡大→消費需要=資金需要拡大→デフレ脱却

    ■キーワード
     ・日本の不況の原因は「デフレ」
      →要デフレ対策(減税・財政支出拡大・金融緩和・産業保護)
      ※デフレ対策ではなく「インフレ対策」を続けてきたことが長期不況の原因
     ・合成の誤謬=個人の合理的行動が全体で見ると悪影響となる現象
     ・貨幣は負債の一種
     ・貨幣=現金通貨+預金通貨
      →銀行は貸付によって貨幣を「創造」する(信用創造)
     ・MMT(現代貨幣理論):通貨は「納税義務を解消できる手段」であることで価値を持つ
     ・通貨発行能力がある限り、財政赤字は無限に増やせる ※ハイパーインフレにならない範囲で
     ・財政赤字拡大(財政出動)→需要喚起→資金需要拡大→通貨量増加→デフレ脱却
     ・財政悪化なくして景気回復なし
     ・税=物価調整手段≠財源確保手段

  • 中野氏の本はTTP亡国論で読んでいたのである程度の基本情報はあった。しかし改めて読むとやはり目から鱗。多くの人に読んで貰いたい。

  • 自身の不勉強が原因だが、私は経済に非常に疎い。本書を読む限り説得力があるが、本当なのか検証してみたい。
    日銀・政府含めて様々な対策を実施したにも関わらず、実際に日本経済は低迷したままだ。
    モノの物価は上がっているが、経済自体が上向いている訳ではないし、消費者の生活が豊かになっているという実感がない。
    MMT(現代貨幣理論:Modern Monetary Theory)について全く不勉強であったが、本書の解説で多少概要が理解できた。
    もうちょっと突っ込んで、自分でも勉強してみたいと思う。
    確かにこれらの主張だけを聞いていると、今までの政府の施策は全て間違っているとしか思えない。
    自分に前提の知識が圧倒的に足りていないから、つい鵜呑みにしてしまいがちだが、逆に反対の意見もきちんと聞いてみたい。
    政府は、どういう論理で正しいと考えて、今までの施策を行ってきたのか。
    それでも日本経済が改善されていないのは、何が原因だと思っているのか。
    どうすれば、この状況が改善すると思うのか。
    知識が足りていないために、私自身が判断できない状況であるが、個人的には財政政策以外にも、根本的な原因があるような気がしてならない。
    当然、原因は様々あって、複合的な要因が複雑に絡み合っている。
    ・急激な少子化で、働く若者が減り続けている
    ・少子化の影響もあり、同年代の競争意識が薄いため、ガッツがない
    ・とにかくデジタル化が進んでいない。デジタル化しなくてもなんとなっているという一面もある。
    ・製造業主体のビジネスモデルがすでに限界にきている
    ・日本の経営者の能力不足
    ・そもそも日本人の労働生産性が低すぎる(経営者だけの課題ではない)
    ・法律や規制が厳しくて、イノベーションが起きにくい
    ・国際競争で優位な産業が減っているのに、次の一手が打てていない
    などなど。素人考えで上げてみたが、本当に経済低迷に影響を与えていないのだろうか?
    本書内では、上記に関係なく「経済の低迷が続いているのは、デフレから脱却できないことが原因だ」と明確に回答している。
    それでは、なぜデフレになるだけで、経済成長が滞るのか。
    なぜデフレから脱却できないと、経済は成長できないのか。
    デフレから脱却する方法は何なのか。
    本書で解説されているが、確かにテレビなどでよく報道されている内容とは異なっていた。
    もっと深掘りして専門家に聞いてみたいところだ。
    本書では「グローバル化が進むと、デフレになる」と説いている。
    「海外貿易を規制して、国内で産業を回した方が、景気がよくなる」とも書いている。
    私が在籍している会社では、確かにグローバル化の波は大きく影響している。
    小さいながらも儲かっていた業界が、今は窮地に立たされている。
    今までそれなりに利益が出ていて、甘え過ぎていたという側面もあるかもしれない。
    よくよく考えると、外資系企業が日本のある産業を根こそぎかっさらっていくのは、日本国全体にとってプラスになるとはどうしても思えない。
    インターネットだって、検索だって、スマホだって、外資規制して、日本国内で閉鎖していたら、産業として大きな進化を遂げたかもしれない。
    現に中国は、GoogleもYoutubeもFacebookも規制したために、BATHが台頭した。
    そして今、次の世代のベンチャー企業もドンドン生まれている。

    この論理からすると、著者の考え方は合っている気がする。
    デフレ脱却のためには、規制強化し、公共投資を増やせばいい。
    やるべきことは見えているのに、なぜ出来ないのか?
    ここがまた日本人の気質を感じるのだが、不思議なものである。
    とにかく考え方としては、非常に面白い。
    他の金融施策も勉強してみて、見比べてみたいと思った。
    (2023/12/31日)

  • 経済は難しい!専門家ですら意見が違うなんて。デフレの時は増税やグローバル化推進は、やってはダメ。なぜならそれはインフレ対策だから逆効果。うーん、いろんな視点の本を読んでみたいと思う!

  • すごくよかった。自民党議員のセンセイ方にぜひとも読んでもらいたい1冊。選挙で自民党に入れている人にも。デフレ脱却ほんとにやる気があるのならこの1冊!

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著者プロフィール

中野剛志(なかの・たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。九六年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ベストセラーズ)など多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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