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感想・レビュー・書評
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『安楽死を遂げた日本人』小島みなさんと、『一リットルの涙』の亜也ちゃんをくらべてしまいます。小島みなさんも多系統萎縮症という神経変性の難病に罹患しています。ともに運動機能が進行的に喪失していく病気です。そして、僕の妻・順子さんも小島みなさんと同じ多系統萎縮症に罹患しています。僕はこの死に方を支持しません。スイスで行われているのは安楽死ではなく、「Assisted Suicide:自殺幇助」です。「死んだほうがましだ」と難病に絶望した自殺であり、安楽死(?)は「最後の希望」ではありません。
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著者の安楽死に関する第2作。前作を読んだ安楽死希望の新潟女性がコンタクトをとり、スイスで安楽死を遂げるまでの話である。NHK特集でも扱われた。私自身はこういったことが伝えられることでだんだんと日本でも安楽死の機運が高まるのを期待している。著者は日本には合わないと考えているが、海外育ちなせいか、日本的なるものを画一的に見ている印象が拭えない。日本人の死生観は決して1つでは無いですよ。
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前作『安楽死を遂げるまで』の続編。期せずして書かれた続編。
前作が世に出たのが2017年暮れ。50代の日本人女性がそれを読んでスイスでの安楽死を考え、著者にメールを送ったのが2018年8月。そして安楽死を実行に移したのが同年11月。8月からメールでやり取りを重ねて、実際に会って、この女性の考えと人柄を知るにつれ、何か残さなければという思いで書かざるを得なくなった結果が、本書なんだろう。
安楽死をテーマにしているものの、著者は前作同様安楽死を肯定しているわけではなく、懐疑的な立場を取っている。それだけに、安楽死を決意してスイスに飛ぶことを望む人を目の前にした時の心境はいかに…著者は吐露する。「私の行動は正しかったのか。あの本を書かなければ、彼女はどうなっていただろうか。死期を早める行為を実現させたのは、私かもしれない。」
重い。重すぎてワタシには到底持ちこたえられない。仮に著者と同じ状況に置かれたとしても、それを書物にして世に出そうなどとは絶対に思わない。ワタシの神経はもっと細くて弱い。太く強くないとジャーナリストにはなれないというのなら、ワタシは喜んでならないことを選ぶ。(それ以前の問題で、なれないことはさておき。) -
NHKスペシャルを見て、そのあとにこの本が出るというので、すぐにKindleで読んだ。NHKスペシャルは衝撃的だったが、この本ではその背景までわかって、さらに安楽死と尊厳死の違い、ライフサークルなどの団体のこと、セデーションという他の選択肢のことなど、より深く考えさせられた。死というものは、個人だけの問題なのか、それとも残された人々の問題でもあるのか。「日本ではこれまではそういう議論がほとんどされてこなかった」という他人事をいうのは容易だけど、これは本当に自分事の問題なのだ。