- Amazon.co.jp ・電子書籍 (448ページ)
感想・レビュー・書評
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DVシェルターで働くイ・ソンの章の
「いちばん軽蔑すべきものも人間、いちばん愛すべきものも人間。その乖離の中で一生、生きていくだろう。」というフレーズが印象的だった。
日常生活の中で突如頭を擡げる悪意や、なんてことない巡り合わせの結果起きてしまった悲劇が、それぞれの短編に落とす暗い影にギュッと胸が締め付けられる。しかし複雑に交錯し合う人生の中で、その影から誰かを救い出そうと手を伸ばす人、知らず知らずのうちに誰かを救っている人が同時に存在していることも提示してくれる。
最後の章は、まだまだこの世の中に希望を持っていたい、と思わせてくれた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キョンキョンがラジオで「おもろかった」と言ってたので読んだ。
冒頭20-30ページ、中盤、終盤、大ラストと吸引力が違う感じ。 -
病院を基点に50人の人生が交差し、ある共通体験へと向かっていく。
誰しも明日が来るのが怖い夜や、
なんてことない小さな幸せを感じる瞬間、
人が恋しいときや、誰かと比べて落ち込む日がある。
手を差し伸べ通り過ぎた誰かのやさしさが、心の重しを軽くする。
ひとつひとつの短編が、誰かの1日を、誰かの一生の一部を。悲しみを、喜びを、心浮き立って踊る瞬間を描きとる。
すごい幸福な話なんて、ひとつもないのだけれど、
50人(正確には51人)の中に
寄り添える誰かの瞬間と感情があって、
心が少しだけ前を向ける。
韓国で実際に起きた事件が誰かの人生のどこかにあらわれ、その非情さを知らしめる。
一気読みしてほしい一冊。