insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力 [Kindle]

  • 英治出版
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感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりにビジネス書っぽいものを読んだ。

    いわゆる自己啓発に入るが、なんかぼんやりした概念ではなくて、自己認識(Self Awareness)に関する科学的な本である。

    自分のことを本当に自分が理解しているのか?という疑問は、大人になればなるほど失っていく質問なのかもしれない。なぜなら、大人になるほど自分のことをわかっている「と思って」しまうからである。

    しかし、本書ではいかに人は自分が何者であり、他人からどう見られ、世界に適合しているかを理解していないかということを明らかにし、どうすれば理解を深められるかを説く。

    ソフトスキルともいわれる、仕事に必要な能力を挙げると、例えば共感力・影響力・コミュニケーション力・協調力などがある。これは筆者によればすべて自己認識がもとになっているため、「自己認識は21世紀のメタスキルであると言う。(loc. 160)

    自己認識はそれ自体を認識することが難しく、他人の認識不足はすぐにわかるが、自分の認識が欠けていることに自問することがまれである。たとえばあるアンケートで「自分の脳力が平均以上である」と答える人が95%に昇るという結果が端的に自己認識の難しさを表している。

    自己認識は内的・外的に二分される。内的自己認識は、自分の形感や情熱、行動などに対する内的な理解であり、外的自己認識とは周囲が自分をどう見ているかだ。研究では、これらに実は相関関係がない(たとえば内的自己認識はあるのに外的認識はない)らしい。

    本書の中では「自己認識ユニコーン」と呼ばれる人々が、いかに自己認識を会得し、人生を向上させてきたかというケーススタディが多く載せられている。(著者の研究助手がそう呼び始めたらしい。)多くのケースでは、それぞれの人が自己認識について気づきをえたイベントに関するエピソードが語られている。自分の認識を変える気づきをインサイトと呼び、またそういったインサイトを与えるようなイベントをアラームクロックイベントと呼んでいる。必ずしも何か大きな出来事がインサイトを呼ぶわけではなく、日常から気づきを得られる場合もあり、それらは日々のインサイトと呼ばれている。

    なぜインサイトを得て自己認識を高めるべきなのか?それは自分自身を客観的に捉え、自分自身の情熱に沿う行動をするとともに、自分自身の足りないところを認識して成長に繋げられるからだ。

    しかし、「自己認識を築く努力をしなければ、普通の人間は歳をとってもほとんど自己認識は高まらない。」 (loc 1246) 本書の序盤には、建設会社でマネジメント職についている優秀だが部下に厳しい態度であたるために仕事がうまく行っていないスティーブという人物が出てくる。著者のコンサルティングにより、自己認識を高めるという「意志」を持ち、具体的にアプローチするための「スキル」が解説される。


    自己認識は難しい。いわゆるナルシシズムと言われる自己陶酔とは異なる。かといって、自分自身を常に批判する内省が必ずしも自己認識につながるわけではもない。著者はこの辺りを具体的に説明し、自己認識を高めるための間違った考え、たとえば「なぜを考える」や「日記をつける」が実は効果を発揮しないことを説く。

    そして、自己認識を高めるための方法として、マインドフルネスの効用やフィードバックの適切な受け方を伝授する。

    本書の終盤では、主に仕事でのマネジメントを前提としたチームの自己認識についても議論されている。


    おそらく、自分はまだ認識できない自分の部分はきっとあるだろうし、それを本当に認識すれば行動が変わるはずだ。自分の成長を捉えなおすために、自己認識が足りてないという自覚をもつところから始めなければいけない。その点で、本書は学術的にもきちんとしているが、ワークシートなどが充実しており実践的でもある。

    自分の成長がくすぶっていると感じる大人の人こそ読むべき一冊である。

  • 最近で1番面白かった本!目鱗が沢山。折を見て読み返す。以降は本からの引用です。//自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力。現在の世界における成功にとって極めて重要な各種の力──心の知能指数、共感力、影響力、説得力、コミュニケーション力、協調力など──は、すべて自己認識がもとになっている。内的自己認識、外的自己認識.2つに相関はない…。自己認識をひとつの旅と捉えるなら、インサイトはその道中で起こる「アハ」体験だ。ビジネスでも、家庭でも、人生でも、成長の最大の機会は気づきにあるんだ。「価値観」(自らを導く行動指針)、「情熱」(愛を持っておこなうもの)、「願望」(経験し、達成したいもの)、「フィット」(自分が幸せで存分に力を尽くすために必要な場所)、「パターン」(思考や、感情や、行動の一貫した傾向)、「リアクション」(自身の力量を物語る思考、感情、行動)、「インパクト」(周りの人への影響)。基本的には、自分を明確に理解することを妨げる障害物を知ればいい。自分のなかの前提を知る。自分の能力や行動に対するフィードバックを求める。労力をかけて真実と向き合うことには間違いなく価値がある。自尊心と成功のあいだの相関関係は実質的に皆無である。「インフォーマー」になること、謙虚さを養うこと、自己受容に励むこと。人が無意識を知ることは不可能だと研究で明らかになっている。内省というプロセスに重きを置くのではなく、インサイトを得ることに焦点を置いたアプローチ。絶対的な真実への欲求を手放すことこそが、自己認識に向けた下地となる。いる。「なぜ」の質問は自分を過去に閉じ込め、「何」の質問はよりよい未来を作り出す手助けをしてくれる。「なぜ」という問いは基本的に自分の周りを理解する際に役立ち、「何」という問いは基本的に自分を理解する際に役立つ。日記をつけてインサイトを得るための最初のポイントは、ネガティブな出来事は検証し、ポジティブな出来事については考えすぎない。うまく学ぶというマインドセット──つまり、パフォーマンスではなく学びに焦点を合わせること。マインドフルネスは、その正反対のものだ。判断を下したり、反応したりすることなく、ただ自分の思考、感情、行動に気づくこと。新しい物事に気づき、既存の考えを手放し、(中略)新たな知見をもとに行動していくプロセスのことだ。
    リフレーミングだ。これはシンプルに、自分の状況や、振る舞いや、関係を新しく違った角度から眺める。比較、対比。Xは、過去と比べて何が同じで、何が違うだろう? Xの変化に伴って、ポジティブなものでもネガティブなものでも、自分の気分に何らかのパターンはあるだろうか? Xについての感情は、過去の状況のどんな感情に似ているだろうか? Xに関する過去の感情に比べて、今日はXについてどれほど満足、あるいは充足感を抱いているだろうか? 自分の人生におけるXを振り返ってみて、物事は良くなっているだろうか、悪くなっているだろうか?私たちが経験から学ぶことができない理由のひとつは、自分が発見したことをじっくり振り返ることがほとんどないからだという。このせわしなく、気が散ることの多い世界において、自分自身を定期的に点検する時間を取るのは驚くほど難しい。しかし日々のチェックは、時間を取らない。批判的な第三者の立場になって、こう問うんだ。『今日の自分はどうだった? 今日の過ごし方を自分はどう感じる?」何を学び明日からどう賢くなれる?問題ではなく解決策を掘っていく能力を増すための、シンプルかつ強力なツールとは奇跡の質問。望ましくないメッセージについて沈黙を保つ。マム効果。耳を傾けない言い訳は主に三つある。そしてそれらは現実を見ないで居心地よくいることが目的。勇気とは恐れがないのではなく、恐れがあろうが、他にもっと大切なものがあると判断することだ。過去の回想は実際に自己肯定の効果的な方法である。集団的インサイトの五つの基礎、目的、進捗、プロセス、前提、個々人の貢献。(他の人の)心理的安全性を生むのに最も大きく貢献する要素は、弱さを見せること、つまり自分の欠点を進んで周りに認めることだ。『本当の勇気は「弱さ」を認めること』。チームの自己認識から組織の自己認識へ。すべての利害関係者(従業員、組合員、消費者、株主、卸売業者、コミュニティ、議員など)から積極的にフィードバックを求めて市場の現実と向き合い、ニーズの変化に自社がいかに適応しているかを利害関係者たちに知らせ続ける事だ。変えられない部分を受け入れ、変えられる部分を変える。思いやりを持って向き合えば、相手の人生と幸福度を向上させるだけでなく、こちらの人生や幸福度も向上させる大きな変化へといざなうことが可能。

  • 自己認識を21世紀のメタスキルと呼び、鍛えることが可能としたところが印象的。しかし、これは必要条件で十分条件ではない。インサイトは役立てないと無駄なものだからだ。

    思い込みに囚われている人、ストレスなど外部要因により自身の能力/性格/行動に疎くなっている人、変えられることから変えたいと考えている人にはお勧め。

    終盤の7日間インサイトチャレンジは、インサイトの健康診断的に定期的に行いたい。

  • 自己認識にまつわる啓発本。面白かった。人は自分の事を無根拠に高く評価しがちというのは実感に反さないし、リスペクトを伴う前提だけどネガティブフィードバックが自己成長の起点といのも納得がいった。ちょいちょい読み返したい。

  •  自己認識の重要性を説く。おのれを知ることがすべての基本だということだ。ただ、いわゆる自分探しでは目標は達成できない。それを多くの自己認識の達人(本書ではユニコーンという)の実例を挙げて説明している。
     自分を知ることは自覚的な内省も必要だが、それ以上に自分が社会、組織の中でどのような位置にあるのかを適確に把握することが必要だという。それも単に市場調査をするのではなく、信頼でき、有益と思う評価者を選ぶことが必要だともいう。
     全体を通して特に目新しい知見というものはない。ただ、わかっていてもできないことが並べられている。それができた人の成功をケーススタディとして生かせということなのだろう。
     多くのページに首肯することができたが、問題は分量の多さだ。たっぷりと読まされることで自分の無力を痛感させられてしまう。できることから始めるしかあるまい。

  • 詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=15228

  • 凄い。
    この手の自己認識の本は結構たくさん出ていますが、これほど視野が広く、厳しいながらも現実的な道が見えてくる本は初めてでした。
    ずっと隣に置いておき、向き合いたい本です。

  • 自分自身を理解できない存在だと認識し、向き合い続けることがプロフェッショナルであると言うことを突きつけられる本。

    詳細は下記。
    https://note.com/t06901ky/n/ne365076c2c2d

  • 自分を過小評価する人や過大評価する人がいる。過去した予測と実際の結果を比較検証することがリーダーとしての能力を養うようである。

  • 自己認識について、かなり詳しく書いてある本。

    自己認識とは、自分のことを正確に理解すること(
    自分は何者で、他社からどう見られ、世界にどう適合しているか)

    インサイトは自己認識を得るためのアハ体験
    自己認識は終わりのない旅であり、継続していく必要がある。

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