- Amazon.co.jp ・電子書籍 (197ページ)
感想・レビュー・書評
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人間に対するリスペクトを捨て去り、感情や思考に対する描写をこそぎ落としたちょっと不思議な文体から物語が始まる。登場人物は形骸化し記号化された”女子高生”として描かれる。「女子高生の記号が非合理的な選択をすることによってもたらされるエンターテインメント」それが〔少女庭国〕であり、「百合作品」や「デスゲーム作品」に対するアンチテーゼみたいなものとして読むこともできるだろう。(題名についた括弧は、「少女庭国という王国」を上から(=ページを見下ろして)観覧している読者=デスゲームの主催者というシャレかな?)
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「私は何を読ませられているのだ?」
が読んでいる最中の素直な感想.
矢部作品を読んでいると、大体これだけど、本作品も同様、かなりエキセントリックな内容に仕上がっている.
アニメ「ポプテピピック」並に中毒性が高いように思う.
卒業式に向かっていたはずの15歳の少女たち。目覚めると奇妙な貼り紙が貼ってある石の部屋と前後2つのドア。卒業試験「ドアの開けられた部屋の数をn、死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ」
隣の部屋には、横たわる1人の卒業生と、また奥の部屋へ続く扉があった…….
映画「キューブ」や「ソウ」みたいな脱出系殺人ゲームかと思いきや、そこは天才矢部嵩.一筋縄ではいかない物語を紡ぐ.
少女は卒業試験のルールに抗い、開けられるだけのドアを開け、卒業生を増やし、反発勢力を粛清し、限られた資源を集め、情報をまとめ、共有し、話し合い、協力して、巨大な帝国を築き上げる.
巨大な帝国の繁栄から衰退まで.どこかの国の壮大な叙事詩を読んでいる気分になる反面、
限られた資源や制限されたルールの元、先に起きたというだけでヒエラルキーの上位にくるというなんとも理不尽な運命は、今自分が置かれている、一部の人間が地球上の富を独占している社会を投影したものではないかと気づいて戦慄する.
ここらへんの風刺が矢部嵩作品は非常にクセのある表現で、私はとても好きだと感じる.同作者の「保健室登校」も面白かったけど、こちらもおすすめしたい. -
謎に少女庭園だとタイトルを勘違いしていてなかなか出会えなかった。
完全にタイトルと表紙で買った。
まだ序盤しか読めていないけど描写がなんとなく雑で、それでいて余計な装飾語が多い気がした。