進化論はいかに進化したか(新潮選書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 読書体力をかなり問われる本だった。言葉は平易で読みやすいが、この一冊に詰め込まれた知識量がすごい。ページを進むごとに噛みごたえのある知識を一つ一つ咀嚼しなければならない。インプット疲労。でも、それでもとても興味深く面白い本だった。

    僕らは「人はチンパンジーなどの類人猿から進化した」というダーウィンの進化論を“ざっくりと”理解している。でも、実は現代においてダーウィンの進化論は、正しかったり間違っていたりする。そして何が正しくて何が間違いかは、歴史の中で何度も変わってきた。本書はその過程を紐解いた本である。

    「進化」と聞くと、なんだか前よりもより良くなっているように感じてしまう。けれど実際はそうではない、人間がチンパンジーより優れているわけではなく、あくまで枝分かれをしたにすぎない。もっと言えば、陸上生活の適応という視点でみると人間よりもトカゲやニワトリの方が優れていると言うこともできるのだそうだ(理由は本書49ページに)。

    後半の「なぜ直立二足歩行が進化したのか」についての内容が非常に面白かった。詳細は割愛するが、直立二足歩行の進化に関連する形で、約700万年前には一夫一妻的な社会をつくるようになっていたという。
    これまで自分は、生物というものは多夫多妻が当たり前なのだと思っていた。人間が一夫一妻なのはあくまで社会制度がそうしているだけであって、本来的には多夫多妻な生物なのだと理解していた。でもそれは完全に間違いだった。一夫一妻は、進化の中で獲得されたものであり、もっといえば人類意外にもテナガザルなど一夫一妻的なペアをつくる生物はいるそうだ。

    いま自分がこうして生きているのは自然的な流れの産物に過ぎない。いまこうして感想を打ち込んでることも、誰かがどこかで落ち込んでることも、誰かがどこかで自死することも、大きな視点で見れば“自然なこと”なのかもしれない。
    人はたまたまここまで進化したし、人はたまたまミスをするし、ある日たまたまコロナがやってくるし、ある日たまたま株価は落ちる。全ては偶然だと考えると、過去も未来も気にしても仕方がなくなる。いま・ここを存分に生きるべきなのかもしれない。

  • 進化論というよりは前半2/3はダーウィンについてです。最後にかけてはダーウィン以後のタイトル通りになるところから少し面白くなりましたが、面白いページ数が短かった。
    生物学の本では人類は進化ではなく、種の地球環境の適応で今日まで生存しているという説がありますがその根拠となる考え方が載っていて参考になりました。

  • ダーウィンの理論のすごさがとてもわかりやすく書かれていて好奇心くすぐられまくり。もちろん彼の間違えている(現在の理論では否定されている)理論も取り上げられていて、そこも面白い。
    彼の進化論と、それに対する反論との闘いはまるで少年漫画のように感じた。勝ったり負けたりしながら、紆余曲折を経て現在でも偉大な功績を残す…彼の生涯の本も読んでみたいと思った。

  • 「進化」とは何か。つい最近も、ビジネス界隈で盛り上がった本論点の原点にして、実は複雑怪奇な要素を多分にはらむダーウィンという人物、そして彼とその後の研究者たちが育んできた「進化論」について。
    一歩も二歩もひいた冷静な目線でありながら、誰よりもダーウィンや知性への愛を秘めた筆者ならではのアプローチをぶちまけた一冊。
    クスッと笑いながら、気軽に読めるエッセイのような文体に、本格的な議論を忍ばせた名文の数々が、読む手を止めない。

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著者プロフィール

更科功
1961 年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。『化石の分子生物学――生命進化の謎を解く』で、第 29 回講談社科学出版賞を受賞。著書に『若い読者に贈る美しい生物学講義』、『ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか―生物の死 4つの仮説』、『理系の文章術』、『絶滅の人類史―なぜ「わたしたち」が生き延びたのか』など。

「2022年 『人類の進化大百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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