何様(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  『何者』のアナザーストーリー。『何者』で就活をしていた登場人物の高校時代、家族、一緒に就職試験を受けて合格した人物のその後など。
     「何者」かであろうとしてもがいていた就活を経て、就職したものの、「心の中は全然変わっていない」。その仕事のその役割に着けば、その役割の人物に「なるしかない」ことに気づく。自信を持って仕事をしているように見える人も「自分がこんなことしていいのかわからない。」という弱気な心を抱えている。
     「誠実であること」という言葉が何度も出てくる。100%でなくても、「誠実への一歩目も誠実のうちに入れて」やっていけばいい、と思えばいいのかなと思った。
     光太郎が就職後、どこかで夕子と再会するアナザーストーリーも読んでみたい気がする。

  • あるあるな感情から、少し深掘りした感情まで、普通流してしまうようなものを切り取るのが上手く、どれかのエピソードには共感してしまう。
    「何者」に関連するエピソードもあり。

  • 短編6話。
    オードリーの若林さんの解説が自分の感想に近いなと思いました。
    だいぶ年下の世代のことで、登場人物が物語でどれだけ苦悩していようが、キラキラしているように見えました。
    若いときの葛藤やもがきは厄介で思い出すと恥ずかしくなるようなことばかり。大人になるとそうしたキラキラ厄介から距離を置けるようになり、安全なところに身を置けるようになるのかなと思います。それでも、たまにキラキラしてない厄介は顔を出すのはどうしようもないけど。

    高校生、大学生、社会人、どの世代にも言語化するのが難しい心の奥にあるチクッとした棘のような部分があって、それを上手く表現されているなと思いました。

    最後の「誠実への一歩目も誠実の中にいれてあげて」という一文が素敵だなと思いました。年齢に関係なく、本気の一秒を大事にしたいなと思いました。

    何者は未読なので読んでみようと思います。 

  • 『何者』の登場人物の後日談や前日談を六編収録した短編集。
    とはいえ、私は『何様』を読むとき『何者』のことをすっかり忘れてたし、関連しているということすらこのレビューを書くまで知らなかった。
    最初の短編である『水曜日の南階段はきれい』を読んだときは、キラキラ青春恋愛小説なのかな?と感じたぐらいだ。
    それ以降の短編では朝井リョウらしい抉るような若者特有の葛藤、悩みの描写がふんだんに出てくる。特に本のタイトルでもある『何様』では、普段蓋を閉じて目をそらしている、「当事者になりきれてない自分が何を偉そうに語るのか」という問いに、面接官ともうひとつの立場から思う存分悶々している。
    『何様』も良かったが、この短編集のなかで何が一番印象的だったか、と言われると、私にとっては芸人若林による後書きだった。同年代の自意識過剰系めんどくさいおじさんが、この小説をどう読み、どう消化したのかがとても面白かった。
    「本気の一秒を守る為だったら(もう言っちゃおう)本気じゃない仕事も本気でやる。不誠実を自覚しながら、本気の一秒を守ろうとする時。それも『誠実のうちに入れてあげてよ~』と、わたしの心の中の君島が叫ぶのである。」

  • 面接官は一体何を考えているのか。
    就活生だけでなく、面接官の葛藤についても考えさせられる。
    表題作以外にも学生の青春や社会人の葛藤を体験できる作品。

  • 『何者』の続編という位置づけの作品かと思っていたが、両作品のリンク度合いは非常に弱い。同じ登場人物も出ているが、あくまで 脇役となっている。『何者』を読んでいないとストーリーがわからないということはない。期待のハードルを上げすぎていたせいもあるかもしれないが、『何者』に比べて内容が薄いという印象を持った。

  • 何者の別バージョン
    何者は読んでいないが短編で若い人の抱えている葛藤の描写がうまい

  • 読む前に「何者」をおさらいしてから読みました。何者を知らなくても楽しめますが、知っていると何倍も面白くなると思います。 朝井リョウさんの作品には生きづらそうで、苦しそうで、でもどこか憎めない登場人物が多いなと思いました。 同年代の作家さんなので感覚も近いなと個人的に思っているので、今後も読んでいきたいです!

  • 「何者」が面白買ったから勢いでKindle版を購入。つっても続編じゃなくてスピンアウトかあーって思ってあまり期待せずに読んでたけど、普通に連作短編として面白かった。特に本編にはあんまり関係のない人物の話ほど面白かったな。マナー講師の話と人事部の新入社員の話が深く印象に残った。この人は人間の心の襞を描くのがとてもうまいなあ。しかし俺はこの話に出てくる誰ほども何も深く考えずに仕事してるなあ。作者は少し会社員に対して妄想が強過ぎないか?w

  • 特にめちゃくちゃなオチがあるわけではないですが、本編をしっかりと補完してくれる短編集という印象でした。

    誰しも深い思考があるんだろうなと思います。決して表に出ていなくても。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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