なめらかな世界と、その敵 [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
4.33
  • (21)
  • (12)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 171
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (331ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 伊藤計劃が好きなので「美亜羽に贈る拳銃」
    は楽しく読めた。「シンギュラリティ・ソヴィエト」や「ひかりより速く、ゆるやかに」もAIやSNSを使っていて最新のSFとして楽しめた。

  • この著者は、SF世界でしか体験できない場景、空間の広がりの描写がとてもきれい。
    この作品集では、表題作と「シンギュラリティ・ソヴィエト」、「ひかりより早く」がその感じで、ここぞという時に花が開くように情景が広がっていく美しさ、読んでいて脳が拡張するような、これぞ読書の醍醐味という感じでとても好き。
    まだ本になっていないけど、SFマガジンに載っていた短編もとても良かったので、早く次の本がでないかな。

  • *2020年1月27日、全部読めたので感想を追記。
    『美亜羽へ贈る拳銃』が一番好きだった!人工と生身のはざまの葛藤がこれまたエモく「きみ」の仕掛けも映画『メッセージ』のラストでぶわっと押し寄せたあの感情にも似て、とくにマニアではない自分だが、だからSFは良い!と改めて思った。作中小道具的に登場する前世紀末から今世紀初頭の脳科学フィクションを集めた『聖書』なるアンソロジーに、先日読んだばかりのテッド・チャンより「美醜失認処置(カリーアグノシア)」が出てきたときにはテンション上がりました。『シンギュラリティ・ソヴィエト』も、歴史は苦手ながら、たまたま以前した仕事であの時代の米ソの競争について扱っていたのもあって、これまたテンション上がって嬉しく読めた。
     全体的に女の子の話し言葉とか担う役割とか、ジェンダー的もろもろがかっこよくアップデートされているのだが、それが昨今の風潮に押された配慮、とかではなく、ときめきを追求したら自然とこうなるよね!って感じなところが、いいぞいいぞとなりました。(追記おわり)


    今年はネトフリでまどマギとハルヒをbingeしたこともあり、「誰もが無数の並行世界を自在に行き来する力を持つ世界で、ひとつきりの時間線を生きる少女をめぐる学園小説」(ミステリマガジン掲載、大森望さんの2019年SF総括より)というあらすじに惹かれて読んでみました。
    どれもそう来るかあ!という感じで面白かったけど、設定を理解するのになけなしの頭を使うため、寝る前に読む向きではなかったような。現時点で最もじわじわきてるのは意外にも『ゼロ年代の臨界点』だったりする。感情を抑えた雑誌記事やルポルタージュみたいな文章なのになんでこんなにキラキラしているの?そして、垣間見えるエモ。
    学園ドラマの表題作と『ひかりより速く、ゆるやかに』(同じく大森さんの紹介――「修学旅行の帰路の新幹線でありえない”災害”に巻き込まれた級友たちの運命を、旅行に参加しなかった”僕”が見守る」――を読んだ時点でもう買いだと確信しました)はラストの主人公の決断等がわたしにはじゃっかんエモすぎた。歳のせいか。映像化に向いてそうな小説っていうのはよくあるけど、それとは逆に、精細なアニメーションを文章にしたような描写が喚起力抜群で圧巻だった(卒業証書の筒がにょきにょきするようなイメージとか)。
    あとの2篇も楽しみです。

  • 好き

  • 結構面白かったはずなんですがだいぶ忘れてしまってるので、また読みたいです
    光より速く、ゆるやかにははっきりと覚えてます。最高に面白かったです。

  • 今年読んだSF短編集は20冊ほどありますが、その中でピカイチでした。
    表紙とは裏腹に内容は本格的SFで、短編でありながらも話としてちゃんとまとまっていて、ジュブナイル的な甘酸っぱさで締めくくる力のある若手作家さんです。
    SF短編集を読んだ時のアイディアだけのまとまりのなさからくる物足りなさがありません。
    他の作品も追ってみようと思います。

  • 新世代若手のSF短編集。なめらかな世界とその敵、ゼロ年代の臨界点、美亜羽へ贈る拳銃、ホーリーアイアンメイデン、シンギュラリティ・ソヴィエト、ひかりより速くゆるやかに。

    賢くて、SFが大好きで、たくさん本を読んでいる作家さんなんだと思いました。図書館のティーンズコーナーに置いてあったのに最初は違和感がありましたが、ティーンをなめていたと反省しました。

  • 少し不思議系、なSF
    今時な感じだな、ってなんとなく思う。
    どの短編も、角が立っていて上手いと思う。

  • SF好きの後輩に勧められて購入。完成度がすごい。
    表題作:ラストで主人公が見る色々な世界線の幻影の美しさがやばい。雰囲気だけでも読めるが、複数の世界線の間での知識のやりとりの法則性とか、よく考えられている。相手が別の世界線に行ってしまう=自分を切り捨てられるという恐怖感が、架空の感情なのにすごくリアル。
    ゼロ年代の臨界点:作り込みがすごい。作中作の伝奇小説を読んでみたいなあ。
    美亜羽へ贈る拳銃:ハーモニーの内容をほとんど忘れてしまったのでコメントしづらいが(ハーモニーはまた読もう)、意識の不確かさというテーマが共通なのかな。思考実験としてはとても面白かった。
    ホーリーアイアンメイデン:外的な力で人の意識を変えるというアイディアは「美亜羽へ」と似ている。
    シンギュラリティ・ソヴィエト:脳の一部を巨大AIの計算リソースとして提供しているというアイディアが面白い。それを夫に話したら、「会社で働いているのも結局は同じようなことなんじゃない?」と、なんかうまいことを言われてしまった。ちょっとニュアンスが違う気もするけど。主人公と叔母の関係性にはまんまと驚かされたが、「女性がやるとは普通思わないことを女性がやっていた」というギャップ萌えや叙述トリックを安売りされると、もやっとするな。
    ひかりより速く、ゆるやかに:アイディアは面白いがキャラがいまいちだったかな。主人公のうじうじした感じとか薙原の粗暴なキャラとか、二人の天乃への崇拝っぷりとかがラノベっぽいというか…作中作のラストは、理屈はもう気にしなくていいのかな。情景はものすごく綺麗だったが。

  • 思っていたほと…。好き嫌いが分かれる本だと思う

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

’88年生まれ。’10年「遠呪」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、受賞作を改題・改稿した『少女禁区』でデビュー。編書に「日本SFの臨界点」シリーズなど。最新作は『なめらかな世界と、その敵』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伴名練の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
テッド チャン
劉 慈欣
テッド チャン
劉 慈欣
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×