- 本 ・電子書籍 (290ページ)
感想・レビュー・書評
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筆者は、事実について書かれた短文を正確に読むスキルを検証するために6つの分野からなるリーディングスキルテスト(RST)を考案。本来、このテストは長文読解が苦手なAIのスキルを図るために考案されたのだが、多くの中高生や大人もRSTの成績が芳しくない、つまり読めていないということが判明した。その事実を危惧した著者は、本書で読解力向上のためにできることを提言している。
まず、なるほどと思ったのは、読解力が低いとされている子どもは長文読解ができないどころかツイッターほどの短い文でさえも正確に読めていない可能性が高いということ。それゆえに抽象概念を扱うことが増える中学校以降の教科書を読んで内容を理解することが難しい。著者いわく、本来なら日本の大学入試は教科書さえ読めれば突破できるようになっているので、国語では小説や古文を扱うばかりでなく理科や社会といった他教科の教科書を読める力をつけさせることが重要とのこと。
読解力が低い人の特徴として、キーワードだけを拾って修飾語や文節の繋がりを正確に捉えきれていないAI読みに陥っているという指摘もあった。これは学校にパソコンやコピー機が導入されて、先生たちがよかれと思って穴埋め式のワークシートを作成して授業で使っていることがどうやら原因となってしまっているらしい。一コマの授業の中で板書をノートに写す能力を鍛えなければならない。スマホの普及もそうだが、私達は便利さの代償として自らの能力を退化させてしまっているということだ。
筆者は読解力を養うための算数の授業案も紹介している。これも大変ためになったのだが、できれば国語の授業案も提示してほしかった。まあこれは自分で考えろということか。
文明の進化を憂う必要はないけれど、本来は身につけられるはずだった技術を知らず知らずのうちに手放してしまっていることが恐ろしい。写真や動画で今を共有できるSNSの時代に生きる私たちは「イイネ」のボタン一つで他者との繋がりを見いだしてしまう。そういったツールに満足することなく、自分の興味関心に応じて新聞や書籍からも積極的に情報を得られる人を育てるための授業作りに励んでいきたい。 -
うちの子、それなりに勉強しているのですができるようにならない…薄々感づいてはいたけれど…。この本を読んで原因がよく分かった。何となく分かっていたことが体系立てて整理された。
原因は分かったが…親が付きっ切りで勉強をみるわけにも行かず、結局どうやったら自立的に本質的な学習ができるようになるのかが最も難しい。 -
Kindle Unlimitedにて。前作の「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」に続く本。
リーディングスキルテストのサンプル問題があったことと、読解力向上のヒントになる説明がなされていて、良かった。前著では、読書好きを自称する人でも読解力が低いこともある、と書かれていて、じゃあどうしろと?という気持ちになったのを覚えている。
会社の後輩や上司に、RSTを解かせてみたい。
私自身は絵に描いたような前高後低で、具体例同定問題だけは辞書も理数もボロボロだった。物理とか数学とかに苦手意識があるのはこの辺のせいか、と納得。 -
(電子書籍ではありません)
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