すばる 2019年 10 月号

  • 集英社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910054591095

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞受賞の古川真人(まこと)背高泡立草
    年に1回、島にある納屋の庭の雑草刈りに3世代が集まる話に、終戦直後の朝鮮人帰還、江戸末期の鯨捕り、少年のカヌー冒険等の互いに関係のないエピソードが挿入されている。刈っても毎年生えてくる雑草のように連綿と続く人々の暮らし?ということなのだろうか。
    芥川賞の選評を見るとこの作者の作風ということで評価されているようだが、単独の作品として特に面白くはなかった。

  • 古川真人『背高泡立草』読了。
    海外翻訳文学を読んでいるような感じがしたのは何でやろう。
    小説を読むとなんとなくその作者のことを知ったような気持ちになる。創作と現実の距離感みたいなものが寄せてきては、でもやっぱり創作されたものできっと本当のことは後ろに隠されていると思ってしまう。
    この作品は家族の繋がりと物からの過去の繋がりのことがあって、倉庫のまわりにはえた草を借りにいく家族の人たちの一日と、土地というか場所に残る吉川家の記憶みたいなものを場所が思い返しているんやなぁと思いながら読んだ。土地の記憶ってワタシたちが知ることのないことだらけだと思うし。こうしてここに立っていてこの下になにが眠っているかなんて絶対分からへんし。
    大阪は古い戦場とかたくさんあるから、余計そういうことを考えてしまっていて、この島の記憶みたいなのはワタシはするっと受け入れられる気がした。
    それから、古川真人さん、芥川賞おめでとうございます~

  • 『背高泡立草』

    福岡に住んでいる(2組の)母娘が、離島に暮らす祖母の家に行き、納屋の周囲の草刈りをする…メインの物語の筋としては、主にこれだけである。
    だが、「昼」「夕方」などの断章名がつけられた現在の時間軸の物語の合間合間に、「芋粥」「カゴシマヘノコ」といった別の時代(中には江戸時代まで遡る話もある)の物語が差し込まれている。このような過去と現在の挿話を行きつ戻りつするのは作者の古川さんの過去の作品でも用いられた表現の方法だと思われる。
    例えば、現在の時間軸の物語の中で離島の吉川家の古い自宅のことについて短い会話がされると、その後の章ではその古い自宅に戦後、朝鮮半島へ引き揚げようとして難破してしまった人たちを助け入れ、食料などを振る舞ったことがあった、そのことについて語られる。そのように、過去と現在を往復するといっても、自分たちの家族史的なものというよりもその離島全体の、その土地にまつわるエピソードといった方が良い。その点、別の古川さんの作品とは異なるように思った。
    現在納屋は特に使用されておらず、島には祖母がいるだけで、しかも内容をよく読むと、母親の美穂が養子に入った家の所有物ということだから、はっきり言って除草しなければいけない合理的理由はない、娘の奈美が何度聞いても納得のいく説明はないまま、草刈りは進められていく。だが、ここで表現されているのは、やっぱり草刈りは必要なんだということ。設定としては、離島出身だが今は福岡の都会に住んでいる50歳?くらいの母美穂、娘の奈美は会社勤めで20代くらい。私も同様の境遇なので個人的に理解できるのだけど、年老いた祖母が離れたところに住んでいる、複数持ち家があるし、納屋もある。途中奈美も思っていることだが、自分が結婚したら。祖母が他界したら。そういうことが1つでも起こったらもしかしたらその土地、その家にはもう行くことはほとんどないかもしれない、それくらいの繋がりしかないのに、それでもたまに帰りたい、ようは草刈りは口実でしかないのである。
    ただそれだけであればノスタルジックな物語に終始するが、古川さんはそれに別の時代、全くの他人の挿話も入れることによって、その土地をめぐる物語を重層化していると思う。
    本作品の良いところは、作中人物たちの内省的独白的な部分が少なく、会話と物語の進行が大部分であるのに、読了後、作者の表現したいことがしっかりと立ち現れてくると感じられる点。
    しかし、それはこれまでいくつか古川さんの作品を読んできているからこそ、何となく感じ取れたのだろうか?そうであるなら、欠点でもあるかもしれない。これまでも芥川賞候補になるたび、「吉川家サーガ」の連作短編的な1つなのだから、個々の小説としては…という意見もあった。
    けれど、これまでのような文章の読みづらさ、不必要な長さ、晦渋さは改善されていると思われる。

  • 芥川賞候補作、古川真人著「背高泡立草」読了。いつもの九州の小島にある場所に草刈りのために家族が集まる。島での昔話と、今の家族での会話が交互に語られる。少年のカヌーの話がよかった。年寄の一人語りなくなっただけで読みやすくなった印象。

  • すばる 2019 年 10月号
    著作者:集英社
    古川真人「背高泡立草」
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

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