Ank : a mirroring ape (講談社文庫) [Kindle]

  • 講談社 (2019年9月13日発売)
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  • 本 ・電子書籍 (522ページ)

感想・レビュー・書評

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  • ロストエイブから、人類に進化するまでの話が
    分かりやすく、小説を通して理解できたし、引
    き込まれた作品だった。
    パニックもののジャンルで、前回作品よりはら
    はらした場面が多くて面白かった。

    アンクの意味が、そこが由来かと納得。
    京都暴動が起こった経緯を現在や過去に目まぐ
    るしく、エピソードを重ねていくにつれて、主
    要キャストの内面も掘り下げられていく。
    暴動化に至らなかった理由も、エピソードにあ
    った伏線があってこそ。
    今年読んだ中でも、トップかな。

  • 研究のために引き取った一匹の猿。
    この猿の鳴き声を聴いてしまうと、8分20秒の間は、みんな錯乱状態になり、無差別に近くにいる人を襲ってしまう。
    そんな猿が、研究室から逃げ出してしまう。
    舞台は、観光客の多い京都、、、!

    京都府内で暴動が勃発して、緊急事態となる。
    警察や政府がとる対応とか、暴動についての動画を観たあとの、世間の反応などにリアリティを感じました。
    パルクールという競技もここで初めて知りました。
    京都の商店街を、パルクールしながら猿を追いかけるシャガ君が凄すぎる!

    ((個人的にココが難しかった))
    問題の暴動が始まる3日前のお話のあとで、だいぶ過去の話に遡ったりして、あちこち行ったり来たりして頭の中で整理するのに時間がかかりました。(*;´□`)ゞ 研究プロジェクトの話やロストエイプの話が難しくて理解できなかった…(汗)

  • もの凄いものを読んだ! あまりに凄くて声も出ない。よくぞこんな物語を発想し描ききるものだ。そして描写力の確かさよ。物語終盤、チンパンジーとパルクール少年の逃走追走シーンの美しさに涙が出た。もう完全に佐藤究に夢中です。鏡三部作の掉尾『テスカポリトカ』、はやく文庫になってほしいなあ。

  • クッソ面白かった
    「テスカトリポカ」から誘導されてきたが、個人的にはこちらのほうが好みですね

    「テスカトリポカ」に通じるところですが、氏の作品は「鏡」と「太陽」が印象的に描かれてますね
    「テスカトリポカ」もこの作品のリサーチ中には組みあがっていたんだろうなあ

    この作品はコロナ前のものですが、なんと緊急事態宣言について描かれてますね
    「パトレイバー2」を見ている感覚…コンビニで事態を知るゾクゾク感

    作中で起きている事象は、ウイルスが感染爆発して人同士が殺しあうゾンビ映画と変わらないのだけど、
    暴動のカギを握るのはウイルスではなく鏡像認識能力という日常では聞きなれないもの
    ウイルスといった具体的な物でなく、比較的抽象度の高いものを中心に据えると、SFとして一気にそれっぽくなるのだなあ、と

    マリーナベイ・サンズでの会話は、SFの醍醐味だなあ、と
    こういう会話を共同研究者と重ねていきたいものだ

  • 高野和明氏の「ジェノサイド」を読んだ時と同じくらいの衝撃。

    まずはなんとも言えない不吉な表紙が印象的だ。
    中身はそれを体現するミステリであり、バイオレンス小説だ。
    読み始めるとあまり読んだことのないタイプの小説だと分かり、驚きと戸惑いがあった。
    それというのも時間が前後することによる様々な伏線、スピード感溢れる生々しい暴力描写が併存することが不思議でならなかったのだ。

    大型類人猿の遺伝子と鏡を結びつけるのは面白い発想だし、科学的根拠の有無はともかく、まあ悪くない。しかしアラートのくだりはさすがに無理がありすぎでは?と思ってしまう。結局AIの開発の顛末はどうなったのか不明だし。

    素晴らしい作品だが、圧倒的な暴力シーンに加えてミステリとしての詰めの甘さにより少し消化不良を起こしてしまったので星4。

  • 「Ank: a mirroring ape」(佐藤 究)を読んだ。
    『わぉ!』
    これは力作ですよね。
    佐藤究さんの作品を読むのは初めてなのだよ。
    SF小説として大切な(理論や技術に裏打ちされた)説得力が揺るぎなく物語の屋台骨を支えているので、読者は最後まで安心して身を委ねていられるのである。
    『わぉ!』

  • ヒトと類人猿との相違は?
    というところから進化の分かれ道で失った物と得た物。
    この作者やりますね。
    はっきり言ってオモロイ!
    自己鏡像認識能力。
    チンパンジー、ゴリラそしてボノボは持っているとは。通勤電車が短く感じる作品です。

  • 370ページまでしか読んでないのだが,この作品に対する評価が決まりつつあるので投稿します.

    まず発想は非常にいい.裏の説明文を読んだだけであまりの奇抜さにクラクラ来る.何が起きるんだろう,とワクワクさせられる.
    そして結末,つまり京都暴動に至った経緯についても科学的に説明してくれている.

    しかし瑕が多い.
    まず暴動シーンの描写があまりに長い.
    冒頭のニュースにおいて暴動の様子は簡潔に説明してくれているのだから,中盤でここまで詳細に書く必要はないのではないか.
    そして何より,京都暴動の大方の原因というのは前半で明かされるのだ.
    こうなると真相がほぼわかった時点からさらに京都暴動の様子が詳細に綴られるということになるのだ.
    これはあまりに退屈である.
    なぜなら「なんで京都暴動が起こったんだろう」というワクワクドキドキが,この本を読み進める唯一のモチベーションだからだ.

    斬新な設定に惹かれてこの作品を手に取ったが,もう少し短くまとめられたのではないかと思ってしまう.
    設定だけで衝動買いするのはあまりよろしくない,という教訓を得た.

  • 謎解き設定面白かったが、やや暴動の描写など、くどかった気もする。ここから『テスカトリポカ』に進化していったと考えると興味深い。

  • 血腥い京都。土地勘があるので面白かった!「鏡」をモチーフにヒトとサルの分岐点を探るようでいて、ヒトと”ヒトを超えた存在”の話になっていた。

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著者プロフィール

1977年福岡県生まれ。2004年、佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、デビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。『Ank: a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞、第39回吉川英治文学新人賞を、『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞、第165回直木賞を受賞。

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