Ank : a mirroring ape (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 研究のために引き取った一匹の猿。
    この猿の鳴き声を聴いてしまうと、8分20秒の間は、みんな錯乱状態になり、無差別に近くにいる人を襲ってしまう。
    そんな猿が、研究室から逃げ出してしまう。
    舞台は、観光客の多い京都、、、!

    京都府内で暴動が勃発して、緊急事態となる。
    警察や政府がとる対応とか、暴動についての動画を観たあとの、世間の反応などにリアリティを感じました。
    パルクールという競技もここで初めて知りました。
    京都の商店街を、パルクールしながら猿を追いかけるシャガ君が凄すぎる!

    ((個人的にココが難しかった))
    問題の暴動が始まる3日前のお話のあとで、だいぶ過去の話に遡ったりして、あちこち行ったり来たりして頭の中で整理するのに時間がかかりました。(*;´□`)ゞ 研究プロジェクトの話やロストエイプの話が難しくて理解できなかった…(汗)

  • もの凄いものを読んだ! あまりに凄くて声も出ない。よくぞこんな物語を発想し描ききるものだ。そして描写力の確かさよ。物語終盤、チンパンジーとパルクール少年の逃走追走シーンの美しさに涙が出た。もう完全に佐藤究に夢中です。鏡三部作の掉尾『テスカポリトカ』、はやく文庫になってほしいなあ。

  • クッソ面白かった
    「テスカトリポカ」から誘導されてきたが、個人的にはこちらのほうが好みですね

    「テスカトリポカ」に通じるところですが、氏の作品は「鏡」と「太陽」が印象的に描かれてますね
    「テスカトリポカ」もこの作品のリサーチ中には組みあがっていたんだろうなあ

    この作品はコロナ前のものですが、なんと緊急事態宣言について描かれてますね
    「パトレイバー2」を見ている感覚…コンビニで事態を知るゾクゾク感

    作中で起きている事象は、ウイルスが感染爆発して人同士が殺しあうゾンビ映画と変わらないのだけど、
    暴動のカギを握るのはウイルスではなく鏡像認識能力という日常では聞きなれないもの
    ウイルスといった具体的な物でなく、比較的抽象度の高いものを中心に据えると、SFとして一気にそれっぽくなるのだなあ、と

    マリーナベイ・サンズでの会話は、SFの醍醐味だなあ、と
    こういう会話を共同研究者と重ねていきたいものだ

  • 「Ank: a mirroring ape」(佐藤 究)を読んだ。
    『わぉ!』
    これは力作ですよね。
    佐藤究さんの作品を読むのは初めてなのだよ。
    SF小説として大切な(理論や技術に裏打ちされた)説得力が揺るぎなく物語の屋台骨を支えているので、読者は最後まで安心して身を委ねていられるのである。
    『わぉ!』

  • ヒトと類人猿との相違は?
    というところから進化の分かれ道で失った物と得た物。
    この作者やりますね。
    はっきり言ってオモロイ!
    自己鏡像認識能力。
    チンパンジー、ゴリラそしてボノボは持っているとは。通勤電車が短く感じる作品です。

  • 370ページまでしか読んでないのだが,この作品に対する評価が決まりつつあるので投稿します.

    まず発想は非常にいい.裏の説明文を読んだだけであまりの奇抜さにクラクラ来る.何が起きるんだろう,とワクワクさせられる.
    そして結末,つまり京都暴動に至った経緯についても科学的に説明してくれている.

    しかし瑕が多い.
    まず暴動シーンの描写があまりに長い.
    冒頭のニュースにおいて暴動の様子は簡潔に説明してくれているのだから,中盤でここまで詳細に書く必要はないのではないか.
    そして何より,京都暴動の大方の原因というのは前半で明かされるのだ.
    こうなると真相がほぼわかった時点からさらに京都暴動の様子が詳細に綴られるということになるのだ.
    これはあまりに退屈である.
    なぜなら「なんで京都暴動が起こったんだろう」というワクワクドキドキが,この本を読み進める唯一のモチベーションだからだ.

    斬新な設定に惹かれてこの作品を手に取ったが,もう少し短くまとめられたのではないかと思ってしまう.
    設定だけで衝動買いするのはあまりよろしくない,という教訓を得た.

  • 人を人たらしめているものは何か、大型猿人類との差異は何か、という研究を軸にした話。鏡像を理解できるのは大型猿人類だけでそれが意識や思考の萌芽に繋がった、というのは成る程、と思った。
    惨劇の描写ばかりでしんどいものの、取ってつけたようではあるが、最後はパルクールの描写等もあるため、映像化した際も面白いのではないかと思う。

  • 圧倒的でした。映画を観るように読みました。前半は時間が頻繁に入れ替わって、ちょっと戸惑いましたが、それも重要なエピソードなので次第に焦点があっていくようで、一種のわくわく感を増幅させている感じです。AIや類人猿研究、ゲノム、タイトルあるミラーリングまで、面白いネタがいっぱいの知的興奮が京都暴動というおぞましい世界と相まって、先を読まずにはいられない作品でした。

    ちょっと濃厚な作品読んでみたいなあって気持ちから手にした本。しかし、650頁の文庫本は厚かった。以前「テスカトリポカ」を読んだけど、その直木賞受賞作品より楽しめたし、その作品の前にこういう作品が出ていたとは驚き。

  • 表紙から伝わる不気味さとSFへの苦手意識から遠ざけていた作品。イメージを見事に覆してきた。なぜもっと早く読まなかったのか。

    Where Do We Come From?
    What Are We?
    Where Are We Going?
    我々はどこから来たのか
    我々は何者か
    我々はどこへ行くのか
    (Paul Gauguin)

    我々人間、現生人類を、我々たらししめるもの「言語」。
    その獲得に至る経緯を、遥か昔の類人猿との比較から探ろうとする。

    自分なりに気づいたことをメモしながら読み進めた。“鏡”。このキーワードに気づいた時、主人公と鼓動の速さを共有するだろう。

  • 佐藤究作品は初めてですが、600ページを超える力作!タイトルからは想像できないし、初めのどうなるのか、どうやって伏線回収するのか想像もできなかったけど、後半はノンストップで読み進められる。京都の地名にも馴染みがあるだけに身近に感じるサスペンスフィクション!

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著者プロフィール

1977年福岡県生まれ。2004年、佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、デビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。『Ank: a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞、第39回吉川英治文学新人賞を、『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞、第165回直木賞を受賞。

佐藤究の作品

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