紅蓮館の殺人 〈館四重奏〉 (講談社タイガ) [Kindle]

  • 講談社 (2019年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・電子書籍 (405ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 刻々と迫りくる炎。忘れていた、いや、忘れたかった光景が燃え上がる。

    阿津川辰海さん著『紅蓮館の殺人』の概要と感想になります。ようやく読む気になりました(^_^;)

    概要です。
    探偵と助手。一度は憧れる才能と関係を、葛城と田所は持ち合わせているのだろうか。
    高校生の二人は山頂に建つ有名作家の館を目指して合宿を抜け出すが、館に辿り着いた時には引き返すことが許されない状況に陥ってしまう。果たして未熟な探偵と助手は、火の海から無事に脱出することが出来るのか?

    感想です。
    以前読んだ市川哲也さん著『名探偵の証明』にも似た印象を受けました。
    理想と現実のギャップを人は、どこまで縮めたら満足できるのか?
    本当にゴールの姿は見えるだろうか?
    そんな少し哲学的な一面もあり、読み進める中で読者も解きやすい難易度でもある本作は、《館四重奏》とシリーズを称することで彼らの成長の過程とゴールを示す序章なのでしょうね。
    なら次作も読まねば!!です♪

  • 初めての著者&シリーズ
    猛炎迫る山中の館で起きた少女の圧死
    その後も次々と寄留者が毒牙にというのを予想していたのが過去を絡めて深掘りしてゆく展開で図らずも居合わせた二人の探偵による名推理を心ゆくまで堪能
    ただ一部誰の発言かが判りにくいのが気になったところ

  • 大好物の館ミステリー
    なんでそんな行動するの?ってところは多々ありましたが
    若さゆえの無知ということで納得しました

    探偵役の葛城とワトソン役の田所がまだまだ青く
    未熟なところがたくさん露呈し、
    人格的にも完璧な探偵ではないので
    好き嫌いが分かれると思います
    もうね、高校生が自分で「探偵だ(キリッ)」と言ってしまうところが
    可愛いけれども痛いのです
    ワトソン役の田所も、仮にも探偵に憧れてたんならもっと察しろよ
    とイラっとするところがありすぎました

    物語は絶対殺人事件が起きるじゃん!という王道のクローズドサークル館モノ
    爪の正体は割と早くから消去法でわかったんですが
    その他の人物についてはわからなかった

    私は飛鳥井さんの忠告、嫌いじゃないです
    未熟で覚悟が足りない2人に喝を入れた感じ
    経験者だからこそ、叱れるんですよね

  • 高校生探偵の葛城と助手の田所は勉強合宿を抜け出し、山中にある文豪 財田雄山宅を訪ねる。
    運悪く山火事に追われる形で。

    色々な要素が詰め込まれ過ぎていてお腹いっぱいになった。
    少し苦くてすっきりしない読後感だった。

  • 評価2.9
    kindle 405ページ
    audible 12時間41分

    こだわりの強い名探偵といかにもな助手が館へと導かれる。コテコテの展開も嫌いではない。当然のように外界との連絡も立たれる。名探偵という職業があるかのような話。もはや潔いほどの展開。これで殺人が起きなければ、そのほうがおかしい。 
     そうは言っても最初に最も悪人の要素がない女子高生が無惨な死に方をするのはちょっとセンスを疑う。女探偵の昔話も理解に苦しむ。話が進むうちにこの昔話との関連が明らかとなる。いくらなんでもとは思うし、火事など関係ない気もしてしまう。登場人物も皆んな大概な感じでありよく集めたとおもうが、もはやもうどうでもいい。何か散らかすだけ散らかした風呂敷を雑に畳んだ感じで特に感動もどんでん返しもない。
     最後の女探偵の持論は受け入れられる。ここばかりはかつらぎ君が若すぎる。被害者を増やさずに皆を生還させた女探偵の行動に一票。

  • プロットや犯人当てあの論理などは良かったが、文章、特に会話がキツくて読むのがしんどかった。登場人物たちの世界観と作品全体の雰囲気の位相がずれているような感覚。名探偵という概念にこだわり、ここまで探偵論をぶつのなら作品世界全体をもう少しフィクション寄りにした方が馴染むと思う。

    葛城の最後のセリフ「それでも僕は謎を解くことしか、出来ないんです」は、ブラックジャックの「それでも私は人をなおすんだ 自分が生きるために!!」という場面を思い起こさせたが、前者はなぜここまで響かないのか。それは上記の問題故に、このキャラクターがこのセリフを発することに納得感がまるでないからだ。
    特異なキャラクターというのは、単に世界から浮いているというわけではなく、作品世界全体を引っ張っていけるほどの引力を持っている。だが葛城及び田所、飛鳥井はただ浮いているだけで、存在自体が滑っている。この作品は探偵作りに失敗していると言えるだろう。

  • 孤島モノになるための孤立状況は色々あるが、”山火事”というのは「月光ゲーム」などに近いか?
    自然災害の場合、犯人に殺人を仕込む時間や動機が見当たらないことが大きなポイントとなるが…。

    山火事が迫る中、成功した推理作家の金にあかして作られたギミック満載のお屋敷に避難することになった、訳ありそうな人々に、屋敷に住む家族。そこで起きる殺人事件…。

    と、本格感満載。後半はまるまる探偵の謎解きとなる。
    様々な謎が明かされて行く過程は伏線の回収も出来ていて構成はしっかりしている。

    が、しかし、面白くない。
    どうでもいい心理描写が多いうえに、あまりにも面白味のないキャラ設定、無駄で魅力のない退屈な会話が多すぎて読んでてきつい。ダラダラとしたラストの長さも蛇足以外の何物でもない。

    作者の筆力というより、テイストの問題かもしれないが、残念な一作。

  • ★3.9くらい
    面白い…平積みされてるのを見た時から気になってたけど何故か中々手が伸びなかったけどとても面白かった。主人公たちが高校生だからか爽やかな雰囲気なのに犯行内容は残酷で、さのアンバランスさも良かったです。

  • 綾辻行人のデビュー作『十角館の殺人』は偉大なミステリー作家のデビュー作というだけではなく、いわゆる新本格ブームを起こした一冊として、日本ミステリーの歴史に残る作品となった。全十作になるとされているこの「館シリーズ」は、現在のところ最終作となる『双子館の殺人』はかなり進行が難しい状況のようだが、それでも一応は完結に向かって進んでいるらしい。

    新本格はムーブというよりも、一つのメインストリームとなったために今では言及する批評家もそれほど多くはないが、”館もの”というジャンルはしっかりと生き残った。館という言葉は使っていないが、例えばゾンビとの組み合わせで大ヒットした『屍人荘の殺人』も館ものと言ってもいいだろう。

    本作もその館ものに正面から取り組んだ作品の一つで、著者の阿津川辰海にとってはデビュー作になる。パズルのキレで勝負したいと考える作家にとっては、館ものという極めて人工的に作られた環境は、自分の実力を示すいい舞台なのかもしれない。


    いわゆる”館もの”というのはどういうジャンルかを説明すれば、「何か不思議な仕掛けのある館の中で怒る殺人事件の謎をとくミステリー」ということになるだろう。例えばミステリーの一ジャンルである警察小説がなるべくリアルな雰囲気を描きだそうとするのとは対照的に、先にも書いたように館ものというのは知的パズルの極地のようなジャンルであり、舞台になる館には普通では考えられない仕掛けが設定されていることが多い。そういった設定を嘘くさいと感じる人は、そもそもこのジャンルには向いていないので、ミステリー好きからは評価が高くても、そうでない人からは見向きもされないという作品も結構多い。

    またこの館ものでは、館の中で事件が発生し解決するまでを描くという構造上、外界から隔絶される必要がある。昔は電話線を切って仕舞えばそれでOKだったが、今のようにスマホが当たり前になると、その設定にも一工夫が必要になる。前述した『屍人荘の殺人』ではゾンビの大群が襲ってくるというのがその設定だった。本作の場合は”紅蓮館”のタイトル通り、山火事によって発生した迫り来る業火がその役目を担っている。

    本作はその業火に包まれつつある館の中で発生して、奇怪かつ陰惨な殺人事件の謎を高校生探偵と「かつては探偵だったもの」が解くことになる。ただし本作の場合は発生する殺人事件は1件だけで、こういったジャンルの中ではかなり少ない方になる。通常は複数回の殺人が発生する中で犯人が意図せずにヒントを残してしまい、解決に向かうということが多い。

    それでは、本作は殺人が少ないが故にミステリーとしての噛み応えがないかというと、それもまた違う。論理展開をしっかりしているし、いかにも本格もののという感じの背景もバッチリだ。発表年のミステリランキングでベスト10入りしたのもわかる出来だ。


    ただパズルとしては十分に水準に達している本作も、全体の作品としてはまだまだ改善の余地はある。せっかくの本作の特徴である「館に業火が迫ってきている中で殺人事件が発生し、館が燃え落ちる前に解決しなければならない」という緊迫感もイマイチ伝わりづらいし、伏線があからさまにわかりやすく、ミステリー慣れしている人であれば答えは簡単にわかってしまうだろう。

    また本作で主人公となる高校生探偵と、元名探偵のやり取りもやや言葉が軽い感じがして、あまり面白いとは感じられなかった。劇中でも高校生と20代後半という設定なので若さが滲み出るのは仕方ないが、セリフが心の底から出てきているような緊張感がなく、著者の頭の中でだけ物語が完結している感は否めない。

    とはいえ、繰り返しになるが本作はデビュー作であり、ミステリーとしては十分に及第点に達している。きっと書くことでよくなる部分も多くあるだろうから、もう少し著者の作品には付き合ってみるつもりだ。

  • 葛城と田所は高校の勉強合宿を抜け出して憧れの有名作家の館を探しているうちに山火事に巻き込まれる。
    名探偵とは?名探偵の生き方、名探偵はどうあるべきか?問う場面が多々出てくる。
    周りを犠牲にしてまでも真実を追い求める葛城には少々辟易してしまったが、これもキャラクター。
    名探偵だって完璧では無いし、人格者でもない。粗があるのが人間。
    解決編では全体に散らばった伏線が回収されてスッキリ。最後はやはり問う。名探偵とはどうあるべきなのか?

  • ミステリー好きが好みそうな要素をこれでもか!と詰め込んだうえ、10年前の関連のなさそうな事件まで絡む。現役高校生探偵と、かつて高校生探偵だった2人の探偵の邂逅。なんとも贅沢な一冊…と言いたい所だけど、そのせいか、偶然に頼りすぎたり都合が良すぎる所が多々気になって残念な感じ。あの設定もこの設定もいらないし、なんなら山火事で絶体絶命設定もなくていいんじゃ…(山火事で館の消失のカウントダウンをしてるけど、あんまり緊迫感なかった)。面白くないワケではないので『蒼海館』に期待大。

  • 王道ミステリー
    別のキャラを主役にしたサブストーリーが出たら読んでみたい

  • 展開がまだるっこしいし,探偵役の少年がうじうじしているのが嫌。

  • 探偵という存在の意義に踏み込んでいてビターな雰囲気
    謎を解明するのはいいけど、ひとさまの内面に踏み込んでそのあと責任とれるの!?という……
    ひとの嘘がわかってしまったり、名探偵の資質を持っていたとしても、それが人の幸せにつながらないなら、「もうやりたくないー」と思ってしまっても不思議ではない。
    そこで、自然災害がからみ、探偵がもう一度立ち上がらざるをえないシチュエーションにもってくる手腕がお見事。
    作品の中心は「名探偵となってしまった人の苦悩」だと思うけど……
    それは幸せな資質ではない。探偵として生きるしかない人が、その運命を受け入れるかどうかはまた先のお話へ。
    大団円とはいえビターな後味を残す骨太ミステリでした。

  • やたらとYouTuberにおすすめされてるから気になった1冊。Kindle Unlimitedに入ってたから次巻も含めて積読してみた。400ページ超えの長作なので心して読んだけど、後半の怒涛の展開に一気読み。
    こういういわゆる『館もの』って、間取り覚えられないしありがちな仕掛けとかもほわ〜っと理解半分で読み進めてしまうのだけど、そんな状態でもなかなか面白かったと思えた。
    探偵とは職業じゃなく生き方という新しい考え。この話のホームズとワトソン役は高校生2人組。そして元名探偵までいて最初はなんだそりゃだったけど、真相まで読んでなるほどねとなった。
    1巻目が面白くなかったら幅とるだけだし読まずに返却かなと思ってたけど、なかなか面白かったから続けて読もうかなと思う。

  • 設定は面白いけれど、なんというか、大変微妙。
    論理は分かる、でも登場人物の感情が良く分からない。
    映像で見たら楽しめるのかも、という感じ。

  • 黄土館読了後に再読。
    作品としては相変わらず面白かった。
    けど黄土館読了後に目立つのは、飛鳥井の幼稚さ。
    「爪」の犯行を暴くタイミング、最後の彼女の決断はいいとして、つばさが吊り天井の上の隠し部屋に行った理由を伝えて葛城に追い討ちをかけるのは大人としてどうなのとも思う。
    爪は遅かれ早かれ飛鳥井の前で人を殺していただろうし、山火事の度合いを舐めていたあの状況かつターゲットは女性となると、被害者はつばさであったはず。それを葛城が死なせた的な話をしてくるのは自分の鬱憤晴らしでしょ。
    こんなことしておいてよく黄土館で助け求められたなぁって感じ。

    シリーズは好きなんだけど、この人たちどういうメンタルしてるのとは思う。

  • 山火事が迫る館の中で少女を殺したのは誰か、あるいは単なる事故なのか。解決したはずの連続殺人事件も不吉に見え隠れし、それにはどんな意味があるのか。
    そこここに伏線となる描写が散りばめられ、探偵の推理を聞くと、なるほどと思う。
    登場人物にもあっと驚かされる。

    ただ、今一つ面白いとのめり込めないのは、主人公と新旧の探偵が好きではないからだと気がついた。
    とにかく嘘が嫌いな葛城の目的は真実を明らかにすること。他の探偵物では犯人を見つけるために嘘を見破るが、葛城の場合は逆になっている。
    田所も、抑えきれない好奇心のまま人の部屋に入り込んだりしてイラっとする。アガサ・クリスティーのポアロも盗み聞きなどしているが、それは犯罪を憎み犯人を捕まえるという目的のためであって、自分の欲求のためではない。
    過去の飛鳥井は、親友でありたいと思う相手に対し、自分は探偵としての能力以外に何もないとつらつら思い悩む。

    探偵やワトソン役とはいえ、1人の人間であれば、自分の能力に不安を持ったり人間関係で悩んだり、欲求に抗えなかったりすることもあるだろう。
    そんな今回の探偵たちをどうも好きになれないのは、自分にとって探偵やワトソンとは、能力に絶対の自信を持ち、信念が揺らぐことなく、探偵やワトソン役に徹する事ができるスーパーマンであって欲しいと願ってしまうからだろうか。

  • とにかく好き。
    高校生コンビの青さに若干ゲンナリしながら、しかし事件が起こり物語が動き出すとめちゃくちゃ好きになっていった。
    館に集まっている人間たちの仮面を暴き、過去と未来を名探偵という生き方で見せた作品。阿津川さんの中で自覚的に<名探偵>を扱ってる。
    とにかく楽しく面白く読めて満足です。
    あと、このシリーズの二作目と短編集二作で阿津川さんコンプリートだ。

  • 2019年。
    山火事に囲まれた状況で名探偵が謎の館にたどりつく、という冒頭がクイーン『シャム双生児の謎』を思わせる(作中にもそれが暗示されている)意欲作。

    館に様々な仕掛けがあり、実は館の住人のほとんどが詐欺師、8年前の連続猟奇殺人事件が絡んでいるなどの要素は、盛りすぎとは思えるものの楽しめた。

    ただし細かい部分で「その推理はそれほど妥当か?」「そんな状況ある?」というものも散見され(口紅を「使い切って」捨てることがこの世にあるのだろうか等)、世間で褒められているほど「緻密」かはわからなかった。

    また若い人の書くものがそうなりがちなのはわかるが、「探偵とは~~べき」などの議論が、キャラの葛藤描写などを超えて説教臭く感じ、読みづらかった。

    小出という職業泥棒のキャラはさわやかで良かった。

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著者プロフィール

1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年、新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により『名探偵は嘘をつかない』(光文社)でデビュー。以後、『星詠師の記憶』(光文社)、『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)、『透明人間は密室に潜む』(光文社)を刊行し、それぞれがミステリランキングの上位を席巻。’20年代の若手最注目ミステリ作家。

「2022年 『あなたへの挑戦状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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