私小説とか、純文学とか、なんであんなに暗いのか?
そういう日本の独特な小説の歴史をしりたいと思って読んだ。坪内逍遙の「文学は美学(芸術)である」という主張からはじまって、芥川龍之介の自殺までが書いてある。
興味深かったが、よく分からないところもある。どうも江戸までの伝統が小説の中に生きていたのは尾崎紅葉らの硯友社までで、国木田独歩とか田山花袋らがこういう芝居じみた?「洋装文学」を批判して、フランス文学の自然主義を取り入れたのだが、これが日本では単なる科学主義でなく、なにか奇妙にロマン主義とくっついていたようなのだが、これが一体どう言う話なのか、まだよくわからない。
「飾りたてずに赤裸々に作品で自己を告白している科学的態度をとる自分はほかの偽善者とはちがう特別な存在だ。たとえ、世間から落伍者とあつかわれても」
ということなのか?
自然主義のインパクトをうけて、永井荷風・谷崎潤一郎の耽美派とか、武者小路実篤・志賀直哉・有島武郎などの白樺派がでてくる。
田山花袋の「布団」は読んでみたが、ああいう「真摯な告白」みたいなものよりも、自分は債務者に首を絞められる『金色夜叉』みたいな小説が好きだけど、私小説というのも、いろいろと悩んでいるんだなと思った。