異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考 (NewsPicksパブリッシング) [Kindle]
- ニューズピックス (2019年10月2日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (333ページ)
感想・レビュー・書評
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考え方は決して目新しい訳ではないが、むしろ真理と言える。既存勢力をぶち壊せるのは新参者や異能な者だ。
当たり前のことなのに、どうしても同質性の高い組織にいると安心感が生まれてしまう。
人間とはとにかく安心安全を求めてしまうものなのだ。
これが生物の本能なのだからしょうがない。
しかしそこを突破しなければ、新しい発想は生まれてこないし、同質な人間だけでいたら、いつかその組織は滅びてしまうことは自分たちでも分かっているはずなのだ。
結局は「安全を求めるのが本能」だと分かっているのだから、そこは敢えて逆をついて飛び出す発想をしなければいけない。
はみ出して、外に出て、さらに世代の違う人と接して、外の人を中に連れてきて。
組織の中では軋轢を生むかもしれないし、揉め事が起きるかもしれない。
しかしそれを上手くかわして、結果を出すというのが大切なのだと思う。
よくリーダーシップとか、カリスマ性とか言うが、結局最も大切なのは「コミュニケーション能力」という気がする。
異能の側だってその組織に馴染むためには警戒するはずだ。
そこを上手く誘導し、既存勢力と融合させ、それぞれの能力を引き出して掛け合わせる。
これは相当に高度なテクニックと言えるのではないだろうか。
よく「人たらし」など、悪い例で使われるが、相手を乗せて能力を引き出しているという点では、これはポジティブに考えた方がよさそうだ。
結局、「この人と一緒にいると、なぜか上手くいく」という人には、人材が寄ってくるはず。
たった一人ではイノベーションは生むのに限界がある。
そう考えると人と人とを繋げられる編集思考を持った人が持てはやされるのは確かだ。
本書では、ネットフリックス、ディズニー、WeWorkを例に編集思考を解説していたが、これら企業は何となく別格な気もする。
戦略も緻密な気がするし、トップが安心安全を求めずに邁進している気がする。
そういう意味ではトップ自らが編集思考を体現しているのだから、例として解説してもそこは異論はないのだが。
問題は、比較的安定していた業界で、更に組織内が縦割りで、トップもサラリーマン社長の場合の「編集思考」の実践方法についてだ。
サラリーマン社長はどうしても「自分が任期の内は、トラブルなく過ごしたい」気持ちが出てもしょうがない。
これは社長に限らず取締役でも「リスクを負ってでも拡大したい」などと思える人は相当な野心家だ。
逆に野心をむき出しにして目立ってしまえば、安定を求める人たちが全力で足を引っ張って、その人を引きずり落とす。
これも人間の本能と言えば悲しい性であるが、ここをどう掻い潜って編集思考を発揮するかということか。
異質なものの掛け合わせは面倒くさい。
既存勢力との軋轢を必ず生み出すが、それは生みの苦しみであって、イノベーションのためには必要なものなのだ。
組織の中では、この考え方そのものを文化として根付かせるのが鍵なのだろう。
イノベーションを起こし続けないと、逆に組織の中から浮いてしまうような。
そのような人事制度とも言える仕組み作りは、GAFAMが本当に上手い。
ベンチャー企業がその後発展し、大きな組織になった時でも、同質性に偏らず縦割りにならずにいられるか。
かつてはSONYだってHONDAだってベンチャー企業だった訳だ。
例えばNewsPicksが発展し、組織が階層化していく際にどうなっていくか。
編集思考が大切なのはアタマでは理解出来るが、それを今の組織の中でどう体現していくのか。
結局はそういうことなのだと思う。
(2022/12/4)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
セレクト、コネクト、プロモート、エンゲージ
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んー。自分流に考え直すのは、わかるけど・・。
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グッド
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『異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考』(佐々木紀彦著/NewsPicksパブリッシング)vol.524
https://shirayu.com/blog/topstory/skill/8761.html