希望が死んだ夜に (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 中学生が起こした同級生殺人事件。
    事件を追う刑事目線と、事件を起こした女子中学生目線で話が交互に進んでいきます。
    でもとても読みやすく、話が入ってくるので一気読みでした。
    ラストに向けてとても面白かったけど、本当のラストで肩すかしをくらった感じ。
    え?結局どうなったの?
    いや、事件の全容がわかって終わりはわかるけど、もう少し救いが欲しかったかなぁ。
    ちょっとモヤモヤ感が残りました。

  • 時間を忘れて読める本がいいと思って書評をみていてこれを見つけた。
    電子書籍KINOPPYで買って、スマホとタブレットで読んだ。
    ネガ、春日井のぞみ、そして刑事。
    ネガの実際と、仲田蛍と真壁刑事の操作が交互に書かれている。
    本当の貧困では、少ない知識でアフリカの子供より恵まれている・・っていわれたらそのまま信じてしまうのかもしれない、生活保護の水際対策っていうのも初めてしった。

    貧困の状態、最後の真犯人は今ひとつだが、ネガちゃんが殺した!と言い続けたその想いを想像するのはしっかりと練れていてよかった。
    リアルに書けていて途中から止められなかった。

  • 中田さんシリーズって言えるのかな~
    救いのない話。あの子の殺人計画と設定が似てた。貧困、虐待。

  • 序盤は貧困層の少女の現状描写に若干鬱々とすることが多くて読み進めにくさもあったけど、中盤以降、ネガとのぞみの関係性が見え始めたところからぐんと面白くなって、終盤ではそういうオチになってくるのか…!!という驚きの連続&心情描写が初期の鬱々低振動からのすごい振れ幅をみせるようになってきて、めちゃくちゃ引き込まれた。
    同じ「貧困」に身を置く(おいていた)人たちが複数登場するけど、それぞれの背景や考え方が違う点も、なかなか興味深く読めた。

  • 独りぼっちの孤独と誰も助けてくれない絶望感と先に行けばもっとひどくなるという不安感。生きていけるのが不思議なくらい。健気でまっすぐな二人がもし生きていたら幸せになる可能性はあるけど保証がないのにもういっぱいいっぱいなのに頑張れとは言えない。今貧困家庭が増えてきたのはできちゃった婚も関係していると思う。養育費を払わない場合が多すぎると思う。子供ができるってことを真剣に考えて 命の大切さはわかるが産まない選択をするのではなくて 環境が整わないのに子供を作らないことを考えてほしいと思った。

  • やるせない思いでいっぱい。幸せや希望は見渡せば身近にあると色々な本で読みましたし、僕もそれは当たっていると思います。でも反対に、不幸や絶望も身近に潜んでいるとこの著書で感じた。これらは表裏一体なのかもしれません。希望を取り上げたら絶望が押し寄せてくる。飲み込まれた時には希望はなに一つ見えない。そこまで追い込んだのは、社会なのか?僕は人だと思います。気持ち一つ変わるだけで、物語の展開は変化したのかなと思います。 ああ、やるせない。。。 色々な考えをさせられましたが、とにかく面白かった!

  • 夜中の住宅街。14歳の冬野ネガが友人を春日井のぞみ殺害した現場に遭遇し、冬野を逮捕する。冬野は友人殺害を認めるが、動機については語らない。殺害の原因とは?ミステリー。

    現在である刑事の視点と、冬野と春日井のつながりができていく過去との話が交互に語られ、少しずつ事件の全貌が見えてくる。それにより、刑事目線の思い込みや偏見に気づく。自分も色々なことに思い込みや偏見があるのではないかと思わされる。
    事件だけに幸せな展開がなく、読んでいてブルーになってくるが、2転・3転とする物語に引き込まれる。
    あまり落ち込んでないときに読むべき作品かも。

  • 物語終盤、度重なる絶望的な出来事で生きる気力を奪われる二人。
    ショッキングでわかりやすい絶望感がそこにはあったが、それ以上に印象に残ったシーンとして、物語序盤の真壁や担任の先生の考え方がある。

    苦労してきてそれでも頑張っている人はいる。だからお前は甘えている。もっと努力しろ。といった考え方。

    現代社会で使う人の多い表現、考え方だと思う。
    理解しているふり、寄り添うふりをしてジワジワと生きる気力を奪っていく。
    言われた方は、苦しむ権利すら奪われているようで、苦労している人にも理解されないのかと無力感を味わう。
    こういった言動が実際に人を殺す。

  • のぞみに発破かけて公開レッスン受けさせる所、ネガがのぞみに引け目を感じてるのがなくなった感じでよかった。
    真壁刑事変わったかと思ったけど最後まで上司からの評価は気にしていた。そんなもんだよね。

  • 初読み作家さま。
    書籍サイトで長いことおすすめに表示されて、お安くなった時にキープしていた作品。
    良作。


    同級生殺害の容疑で逮捕された冬野ネガは中学2年生。
    殺害は認めるも動機については固く口を閉ざす『半落ち』状態で捜査は停滞。
    送検期限までに真相を掴まねば。
    捜査一課の真壁と生活安全課の仲田は、冬野ネガと被害者の少女について聞き込みを始める。


    貧困がキーワード。
    中学生という年齢設定があってこそのストーリー展開だなと。
    大人のつまらない見栄で犠牲になる子供たち。切ない。
    一気読みでした。

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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