年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで [Kindle]
- 徳間書店 (2019年10月31日発売)


- 本 ・電子書籍 (263ページ)
感想・レビュー・書評
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DDTファンとしてはどうしても「前作」とも言える『俺たち文化系プロレスDDT』と比較してしまう。『俺たち』の刊行は2008年。それから10年が経ち、DDTは毎年のように両国国技館で興行を打てる業界2位グループの団体まで成長した。『俺たち』との重複はどれくらいあるのかと不安に思いつつ読んだが、ほとんどが新規に書き起こされた「現在のDDT」の話だった。
『俺たち』でも語られていたが、現代プロレスとはキャラクタービジネスであるという主張は変わっていない。しかし厳しい目線で見れば、ケニーの退団後はディーノやササダンゴの次に現在のDDTを引っ張る「らしい」キャラクターは生まれていない。各レスラー、非常にキャラは立っているがDDTファンの裾野を広げていけるほどのクリエイティビティがあるレスラーは残念だがまだ出てきていないのが現状だ。立場上言いにくいのかもしれないが、そこに対する危機感や対策(ひらがなまっするはまさに「対策」だっただろう)が書かれていなかったのは消化不良感。
『俺たち』との差分としては東京女子プロレスの発展も見逃せないだろう。最近では白川、万喜の参戦終了があったがTDC大会を成功させるなど勢いが上がっており、山下、坂崎、中島、発刊当時はフリーだった瑞希をはじめとしたトップ層はどこに出しても恥ずかしくないレベルまでプロレスのレベルが上がっている。
東女についてはそれだけで一冊書いてほしいところではあるが、内容が非常に面白かった。全女やジャパン女子の系譜にない団体だからこそ書ける内輪の不条理が書かれていると、なるほど東女は鎖国を敷いているのだなと感じるし、レジェンドでは珍しく東女のビッグマッチによく呼ばれるアジャ様は理不尽を若手にやらないから呼ばれるのかもしれないとも思った。東女を統括しているのがNEOの出身である甲田哲也でなければならない理由もよくわかったし、全女に始まる女子プロレス史を他の本で得ていると対比としての東女が輝いて感じる。
DDTファンが読めば高木大社長の考えがわかるし、プロレスに興味のない人が読んでも「老舗のいる業界でベンチャーがどう戦うか」という視点で楽しめる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
期待以上に面白かった。
社長の賢さや柔軟さ、DDTという団体の魅力が観たことのない自分にも伝わった。
「路上プロレス」「ヨシヒコ」等、DDTならではの興味を引かれるコンテンツがあり、YouTubeでいくつかの試合をチェックしたがどれも面白かった。 -
既存の価値観をどう打破していくか、そのスタンスと実践が大変興味深かった。
自身もある種のキャラクタービジネスに身をおいているので、身につまされるところも多々ありました。 -
特異な存在で注目されるプロレス団体DDT。考え方や方法論はベンチャー企業のそれと同じであることが興味深い。エンタメに振り切る(大手と異なるポジション)、選手の意見の尊重や自由な風土(フラット組織、エンパワーメント)、新日を超える気でやる(Big think, do small.)、などなど。サイバーエージェントとの連携が活発になれば、さらに飛躍するような予感。
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対談の箇所が多かったが、内容は面白い。
ただレッスルワンは潰れてしまったが。 -
「ビジネスもわかるクレバーなレスラー」として、男色ディーノ、ササダンゴマシン、竹下幸之助の名前が何度も挙がるのが印象的だった。サイバーエージェント・藤田社長についての書きぶりがよく、彼の印象が変わったな(立場的に悪いことはかけないだろうけど)。東京女子プロレスについて、一人のコーチが教えることの重要性を書いているのがおもしろい。誰がコーチをしているか書いていないのは、わざとなんだろうなあ。誰なのか、気になる。
著者プロフィール
高木三四郎の作品





