ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

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  • 早川書房
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  • 小川哲天才。前作『ユートロニカのこちら側』を読んだ時、これは伊藤計劃の再来か?と思った記憶があるけど、それが確信に変わった。

    日本のSF史における新たな時代の到来よ、おめでとう。

  • 上巻の終わりは1978年、ソリヤとムイタックの決別で幕を閉じましたが、下巻では一気に2023年に飛び、野党第一党の党首となったソリヤが演説を行うシーンから始まります。上巻と違って下巻では時系列が入り組んでいますが、おおむね2022年以降の近未来が描かれており、カンボジアを「ゲームの王国」に生まれ変わらせるべく権力の頂点を目指すソリヤと、村の大虐殺から生き残って大学教授となり、開発した対戦型ゲーム「チャンドゥク」で世界を変えようとするムイタックを中心に描かれています。
    時系列の構成だけでなく、下巻では物語の色合いが上巻と比べて大きく変わっています。下巻は完全に「ゲーム」を軸としたSFの世界で、ポル・ポトっていう強烈な時代背景に乗っかっていた上巻に比べると、正直迫力不足の感は否めないかなあと思いました。相変わらず国家警察や殺し屋といった分かりやすいヒール役も出てくるし、すっとぼけた精神科医のシーンなんかも笑えるんだけど、何しろ上巻が凄すぎたので期待値が高くなりすぎたかも。でもまあ、ゲームと人生を巡るリアスメイとムイタックのやり取りは面白かったですし、上巻のちょっと不思議な出来事が下巻の伏線になっている点なんかも興味深く、もろもろを含めた全体としての満足度は高いです。直木賞候補作になった『嘘と正典』もなかなか良かったので、次の作品も楽しみになりました。

  • 上巻のクメール・ルージュ時代から大きく飛び、2023年のカンボジア近未来を主な舞台にした下巻。フンセンが「元首相」として扱われているのが意味深。勿論、実際には本書刊行後の2018年の選挙でも、直前に野党を解党して勝利しており、2023年でも本書のような事態にはならなそう。下巻で漸く「ゲームの王国」の意味が明らかになる。個人的には上巻の方が面白い。下巻はだんだんと意味が掴みにくくなるし、カンボジアが舞台であることと結びつき難い。ただ、大作で、秀作で、読み応えがあった。

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