息吹 [Kindle]

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (420ページ)
#SF

感想・レビュー・書評

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  • 新しい技術のリスクを指摘しつつも、最終的には受け入れて、よりよく生きられるよううまく活用していく、みたいな話が多かったな。完成度は高いけどやや説教臭い気も。
    商人と錬金術師の門:どのエピソードもうまくまとまっていてさくっと頭に入ってくるので、完成度が高いのか陳腐なのかよくわからなってくる。
    息吹:意識が空気の流れのパターンというイメージがおもしろい。
    予期される未来:未来予知ができる→自由意思は幻想→無気力という構図はわかりやすいがほんとにそうなるかなあ。快不快等の感覚は現実なんだから、むしろ身勝手な行動が増えるというならわかる。というか「不安は自由のめまい」も似たような話題じゃないか?自分の行動選択により分岐した世界が見られることで、自由意思の認識が揺らぐという。でもこっちは未来は固定されていなくて分岐が無限に増えるという設定か。
    ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル:人間とAIの違いというテーマはよくあるけど、法人格を与えるかどうかとか性や暴力とどう折り合いをつけるかとか、そこまで具体的に考えたことがなくて新鮮だった。ラストはアナがデレクの決断に反対しつつもただ乗りしている感じで、ちょっともやっとした。
    デイシー式全自動ナニー:研究者の男が子育てを理論化しようとして失敗するがそれを認めないというのがわかりやすくダメダメで笑えた。先天的な障害があったと言ってしまえばいくらでも言い訳できるもんな。ルソーの「エミール」を連想。
    偽りのない事実、偽りのない気持ち:最初はライフログへの懸念を提示しつつ、その後口承文化圏に文字が入ってきたときのエピソードと対比させて、実は相対的な違いでしかないと思わせるのがうまい。客観的事実とその時々の判断や感情はどっちが正しいくてどっちが間違いということはなくて、事実は事実として認めた上で、判断や感情を大事にすべきでしょという、色々考えさせられた上でなんか当たり前の結論に落ち着いてしまったなあ。
    大いなる沈黙:なぜオウム…??あまりよくわからなかった…
    オムファロス:主人公の語り口が独善的な感じでよかった。創造論が科学的に証明されているというアイディアがおもしろい。でも地球以外にも知的生命体がいるからって、そんなに信仰が揺らぐもんなのだろうか。そのへんの感覚はよくわからない。
    不安は自由のめまい:ライフログよりもこっちの方が嫌だな。実際こっちの方が社会的に普及していない設定になっているけど。自分の判断に自信が持てなくなるのが容易に想像できる。最後はなんかやけにいい話で締めていたな。

  • 話の仕組みが高度で、読むのが難しかった。「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」がとても面白かった。人間がAIのことを動物と同じようにペットして認識し、それがだんだんと対等的な立場になっていくのが良い。アナのティジェントのプラットフォームが終わる時、潰れる動物園と同じ気持ちになったいうのが印象に残った。
    恋愛、ビジネス、SF. 、人間関係が縦断的に盛り込められていて、傑作。
    ティジェントの選択という話も心に残った。彼らは経験を積んでことで成長していくが、いつ彼らの選択権を認めるのか、そしてそれは倫理的に危ういけど、いいのか。重要な問題点だと思う。
    最後にアナはティジェント達を選び、デレクはアナのことを選んだというのはこの話の面白いところだと思う。機械といくら仲良くなっても、最後には人間を選んでしまう人も多いだろう。

  • 一回では到底理解出来ない。
    しかし癖になる世界観。これ程、心を揺さぶられる小説があるだろうか。

    全ての話に通底する、「人間に自由意思はあるのか?」。そして、もしそれが"ない"としても、自ら選択することを選択するか?

    生きることの意味を問われ続ける、大事な体験。

  • テッド・チャンの待望の短編集。どの話も面白かった。AIを育てる話の「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」や機械仕掛けの体を持った人々の話の「息吹」、扉を開けて時間旅行をする話の「商人と錬金術師の門」、創造説の話の「オムファロス」、ライフログでいつでも以前の記録を振り返ることが出来る世界の話の「偽りのない事実、偽りのない気持ち」、特に量子論の多世界解釈の世界間を通信できる装置であるプリズムが存在する世界の「不安は自由のめまい」が面白かった。

  • 息吹 Kindle版 古いような新しいような変わった感じのお話が続く。古い感じがするのは邦訳の為か?

  • 一つ目の短編読んだだけだけどやられた。訳がすごい。日本語としての肌触りが昔読んでいた福音館のハードカバーのようで、ペルシャを思い浮かべてた。まあしかし世の中妻がなくなる物語ばかりだよね。
    最高でした。読み終わっちゃった。じゃあ今度はメッセージだ!

  • 傑作。科学技術が人々の生活をどのように変えるか、そのとき人間はどうあるべきかを洞察豊かに掘り下げ、かつストーリーテリングとしても一級品。正に現代SFの最高峰。

  • 話題になっている様子なので軽い気持ちで読了。

    短編一つ一つの世界で、人が生きている様子を感じられる。良いSF体験ができた。

  • 17年振りって、余りに待たせ過ぎですが、期待を裏切らずの作品でした。短編SF集ながら、ひとつひとつのテーマが深遠。個人的には、「あなたの人生の物語」は超えていないと思いますが、それでもやはり流石。

    バーチャルで育成した子供が感情を持つようになり、さらにAIBOみたいなロボットにその魂を移植できる世界。

    人生の分岐点で別の選択肢をとった場合の自分と、コミュ二ケーションできる機械が発明されたあとの人々の行動。

    ありえないような設定が、読み進めるうちに現実感を帯びてきて、空恐ろしくなる発想と筆力は、この作家ならではです。

  • 100点満点のSF。
    なぜテッドチャンのSFがこうまで完璧なのかと考えると、そのオブジェクトが、来るべき世界にとってあまりにも普遍なものであるからだ。
    きっと、iPhoneの説明書を80年代に持って行ったらそれは完璧なSFになるに違いない。
    彼の小説はそういう美しさがある。過不足のない美しい未来予想図としての短編集。

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