群像 2020年 02 月号 [雑誌]

  • 講談社
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  • / ISBN・EAN: 4910032010204

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞候補作、岡本学著「アウア・エイジ(our age)」読了。謎解き要素もある物語。主人公の性格の良さと鍵となる物事の描き方が好き。一気読みした。読後感最高。

  • 西村賢太「底翳の眼」

  • [特別鼎談] いま批評を書くとはどういうことか 東浩紀×大澤真幸×山城むつみ 「当選作なし」に終わった昨年の群像新人評論賞を受け、選考委員の三人が語る批評の現在と、これから。 読了

  • 「our age」165回芥川賞候補作品
    20年前、殺されるような女で殺された女が残したour age の文字の書かれた鉄塔の写真、その鉄塔を探す、というハーボイルド風味のミステリー仕立て。
    名画座の映写技師のバイトをしていた大学院生時代の主人公の回想と現在がまじる。20年前の謎めいた女の行動、言葉が、じょじょにわかる謎解きは心地よく哀しい。最後の謎解きは、まあ予想できたけど、希望の見える終わり方。
    主人公が研究していた数学の「構成要素は無限にあるのに中身は空」というカントール集合、それを重ねたときに1点でも重なりあうか、というのがもう少し小説で感じられたらよかったのに。
    ただ、ちょっと古いタイプの小説かな。
    太宰治の孫も候補になった今回の芥川賞だが、本作中に、
    「太宰の子孫ってやつがバイトに来たんだよ、困ったよ」なんてセリフがでてきてにやり。
    芥川賞予想×大穴

  • 岡本学「our age」

    面白い。文句なし。少なくとも、芥川賞候補としてどうかなどというのはこの際置いておけば、単純に、小説の面白さを体現しているのではないか。著者は十二分に「伝達」に成功していると思う。
    テーマは、次の世代に何を伝えるのかや、他者との偶発的な出会いとそれがもたらす意味など。テーマとそれの表現の仕方は、王道的というか、シンプルなだけ力強いと思う。芥川賞では、わりと、こういうダイレクトにテーマを表現する作品は低評価になる可能性がある。しかし、だから何だというのだ。
    主人公は孤独な中年男性で、学生時代、映画館のバイトで知り合った破天荒な女性にまつわる、ある写真に関して、謎解きのような物語が描かれる。このミステリ的要素が個人的にはとても良かった。「最高の任務」みたいである。
    全体的にそれほど明るい物語ではないが、それでも、表に出てこない無名の思い、埋もれた叫びが明らかになる、その過程は清々しくもある。
    難点を言えばやや予定調和的なのだろうか。主人公も孤独ではあるが、少なくとも経済的に困窮してはおらず高等遊民的であるし、全体にやや気取った都会的な舞台設定かもしれないが。ただ、この作品の面白さは否定できない。「雪子さんの足音」や「最高の任務」のように、自分の中で今後も読み返したい名作の1つに入ることは間違いない。

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著者プロフィール

話題の女性を写真集クオリティとボリュームで特集するバズガールマガジン、WHITEgraph

「2022年 『WHITE graph 009』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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