新潮 2020年 03 月号 [雑誌]

  • 新潮社
3.58
  • (2)
  • (4)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910049010303

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 高山羽根子著 「首里の馬」を読みました。
    沖縄在住の私には身近な地名が登場し、文化的にも読み見やすい内容でした。
    琉球競馬というものがあったことは、知りませんでした。
    もう少し完結して欲しかったです。

  • 「首里の馬」

    未名子という主人公が、沖縄のある街にある古びた「資料館」で、無償のお手伝いのようなことをしている。誰からも顧みられない、むしろ気味悪がられるような建物。また主人公には、奇妙としか言えない仕事がある。宇宙空間なのか、または深海の底なのか、そんな場所で独り暮らす人たちへ「問題」を出題する仕事。そして、台風とともにやって来た、「首里の馬」。
    資料館にしても、問題にしても、それから馬にしても、情報や知識のかなりの集積と言えるのに、世間の誰からも注目されていない。にも関わらず、同じく孤独な主人公は、資料館の資料をひたすらスマホでデータ化する。出題の相手から得た知識で、今はほとんど希少な存在の馬を乗りこなす。はじめは本能的だったものが、資料館の解体と相まって、自覚的に、今見ている、得ている出来る限りの情報を記録しようというモチベーションに気付く。
    ネット社会の現代で、どこか不思議にアナログっぽく情報を得ていく様が面白いと思う。
    あと、順さんを怖がる世間といい、未知子を怖がる電気屋といい、確かに、得体の知れない情報の集まり、というものに人は敏感だというのもテーマだった。ネットでググれるような情報は誰も警戒しないが、目的が不明確なまま集められた情報は怖がられる。
    世界の極地にいる人たちへ渡された情報は、おそらくほとんど誰の役にも立たない。にも関わらず、未知子はそれを「出題」した。知ってほしいと言うより記録しておきたいという欲求は、よく伝わってきた。
    だが、出題の仕事や馬の登場などの部分部分がユニーク過ぎてそこに目がいきすぎるきらいがあるような気がした。
    題材としてはとても面白いので、何かがおしいような気もする…。

  • 「首里の馬」高山羽根子

    2020年上期芥川賞受賞作「首里の馬」を読んだ。選考委員の松浦寿輝は激賞しているけれど、私の感性では「奇をてらっている」作品にしか思えなかった。すみません。
    (D)

  • 芥川賞受賞 首里の馬 高山羽根子著

    沖縄の歴史資料を集めた個人の資料館、その資料整理の手伝う主人公未名子。名前を付け分類されることで価値を持つ資料に未だ名のない子という取り合わせ。職業は遠く(海外、宇宙)にいる人へのクイズ出題。そこで交わされる慧眼な言葉の数々。とりとめのない時間経過の中で、琉球馬と出会い乗りこなすことに。やがて資料館が取り壊されることに。未名子は資料をSDカードに収めて持ち歩く。

    台風がやってきたり建物が取り壊されたりで沖縄の舞台は騒がしいはずなのだが、未名子の周囲ではガラス越しに静寂な中で時が流れていくような不思議な雰囲気の小説だった。

  • 芥川賞受賞作『首里の馬』高山羽根子

    正直、なかなか馴染めないまま読了。

    底辺には沖縄の不遇な歴史・風土がある。過去の凄惨な地上戦、繰り返し訪れる飢饉や台風。破壊と復元を繰り返す町並み。
    「沖縄島嶼資料館」で中学生の頃から資料整理を手伝ってきた未名子。
    自らを、そこに山積する資料と同じく孤独な存在として過ごしてきた日々。
    彼女の仕事は、「スタジオ」と呼ばれる一室で、世界の辺境にいる相手にクイズを出題すること。
    ある台風の晩、1頭の宮古馬が未名子の家の庭に迷い混む。

    情報を蓄積すること。
    信頼できるアーカイブを構築すること。
    異なる文化からの知識、古からの知恵を蓄えること。学び続けること。
    それらがいずれ未名子の「誇り」となっていく。
    役に立つかは分からない。けれどそのアーカイブが「だれかの困難を救」い、「いつか命を守るかもしれない」と信じて。



    最初は「孤独」がテーマかと思っていたけど、どうやら違った。
    偏見のない公平な知識・知恵でもって情報を「アーカイブ」(記録を保存・活用し、未来に伝達)することによって、過ちを繰り返すことなく世界をいい方向へ導けるのでは、という提起だろうか。
    資料館、スタジオ、世界の果てにいる通信相手、迷子の馬、順さんのコミュニティ...興味深いモチーフがたくさんありすぎて、自分の中で最後までまとまらなかった。
    資料館やスタジオの辺り、小川洋子さんの作品みたいだなと思った。

  • 首里の馬
    著作者:高山羽根子
    芥川賞受賞をおめでとうございます。
    新潮社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 第165回芥川賞候補「首里の馬」
    高山羽根子3度目の候補作。
    沖縄の老民俗学者のコレクションした沖縄の人々の記憶、ネットでつながれた孤立した人々へのクイズ、ネット回線を通じて世界の深淵に送られる沖縄の記憶、突然裏庭に現れる馬、じんわりじんわりと響いてくる。
    でもね、過去候補の「居た場所」「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」のほうがいいかな。美大出身の作家だけあってぶわーっと広がる情景描写が素敵なんだけど、今回は、あまりそれが感じられないのが残念。
    芥川賞予想○対抗 うーん。三度目だからなー。

  • 芥川賞候補作、高山羽根子著「首里の馬」読む。非常に美しく静かな描写。スタジオ、資料館、唐突に馬が登場と少し現実離れした、でも嫌いじゃない世界。主人公の働きぶりが誠実でよい。

全9件中 1 - 9件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

ツイートする
×