女帝 小池百合子 (文春e-book) [Kindle]

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  • 評判どおり「巻を措く能わず」で、一気読み。
    暴露本のたぐいに思えるかもしれないが、読んでみればそんな安っぽいものではない。

    また、小池百合子の学歴詐称疑惑(「カイロ大学を主席で卒業」と謳ってきたのに、卒業すらしていないという疑惑)の検証が柱になってはいるが、それだけの本でもない。
    小池の幼少期から現在までを丸ごと鷲づかみにし、その核に肉薄した 、第一級の人物ノンフィクションである。

    著者は本書で「サイコパス」という言葉を一度も使っていない。むしろ、その言葉を注意深く避けているように思える。
    だが、本書を通読して私が受けた印象は、「この人、どう見てもサイコパスじゃん」というものだった。

    誤解されがちだが、サイコパスには平気で人を殺すような粗暴型ばかりがいるわけではない。社会的に成功した人物――大企業経営者や政治家などにもサイコパスは少なくないといわれる。

    その手のエリート・サイコパスは弁舌巧みで人を惹きつける魅力にも富むが、平気でウソをつき、平気で人を裏切る。そして、人並みの感情に左右されることなく冷徹に目的に向かって突き進むがゆえに、人心掌握術にも長け、時に大きな成功を得るのだ。

    小池がそのような人物であることを示す衝撃的エピソードが、本書には矢継ぎ早に登場する。

    一つ引いてみよう。
    以下は、阪神・淡路大震災の翌年(1996年)、彼女が生まれ育った芦屋の女性たちが被災者支援を訴えて議員会館を訪れたときの出来事だ。

    《窮状を必死に訴える彼女たちに対して、小池は指にマニキュアを塗りながら応じた。一度として顔を上げることがなかった。女性たちは、小池のこの態度に驚きながらも、何とか味方になってもらおうと言葉を重ねた。ところが、小池はすべての指にマニキュアを塗り終えると指先に息を吹きかけ、こう告げたという。
    「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」
     女性たちは、あまりのことに驚き、大きなショックを受けた。
     テレビや選挙時に街頭で見る小池と、目の前にいる小池とのギャップ。小池の部屋を出た彼女たちは別の国会議員の部屋になだれ込むと、その場で号泣した》

    だが、本書を読み終えて小池百合子に強い嫌悪感を覚えるかといえば、意外にそうでもない。
    むしろ、事の良し悪しを超越して「スゲー女だな!」と驚嘆してしまった(総理とかになられては困るが)。

  • 東京都知事の小池百合子大方の予想通り2020年7月5日の都知事選で勝利した。本書は、都知事選に合わせるように選挙日を前に時期を合わせるようにして出版された。カイロ大学時代のルームメイトであり、彼女のことをよく知る早川さんへの取材を元にしたエジプト時代の話を含めて一定の説得力を持った批判は、カイロ大学卒業の学歴詐称疑惑にも通じてそれなりに話題になった。しかしながら、もし彼女が都知事の座を保持して権力を持つことや、その後の国政への復帰を懸念するものであったとすれば、役に立ったとは言えない。何となればここで著者が書いたはったりと肝の強さのエピソードがまたひとつ増えたということになろうか。

    ワールドビジネスサテライトにキャスターとして出演するようになった小池を評したスタッフのひとりのコメントが印象的である。

    「テレビというのは、本来はこわい世界なんですよ。何十万、何百万という人たちに見られるんですから。そんなところに出る。普通の神経ではやれないことです。画面に出て自分の話し方ひとつ、表情ひとつで、世間を誘導できるわけで、とんでもない万能感を得られてしまう世界。大変な自信と高揚感を出演者は得る。すると、その快感から離れられなくなっていく。俳優は自分の表現方法として演技をするわけですから、見る側も、これは俳優が役を演じているのだとわかる。でも、キャスターは『自分』として出る。虚像と実像が溶け合ってしまう。視聴者も本人も。私はずいぶん、いろんなキャスタ^やアナウンサーを見てきたけれど、向き不向きははっきりしている。半端な心臓じゃ務まらないですよ。乗れる人と乗れない人がいる。小池さんは何の疑問もなく、乗れてしまう人なんだ。平気ではったりができる。虚業に疑問を抱かない。見識や知識がなくても、それを上回る器用さと度胸があった」

    カイロ大学卒業どころか主席卒業という発言や、飛行機事故を偶然二回も回避したというエピソードをマスコミに語るなど、はったりをかますことの有効性と、マスコミに対する見くびり方は恐ろしい。前言撤回(撤回したことは認めない)、嘘をつくこと、それら自体にためらいがない、また、だれかを傷つけることになっても気に掛けることもない。カイロ大学の学位認定の問題よりも、そちらの傾向の方がより本質的なのである。築地問題にせよ、都政改革にせよ、実態としてはうやむやにしてしまっている。その言葉の軽さに不安を思えるのである。

    お嬢様学校に無理をして通った学生時代、政治家好きでほら吹き気味な父親の存在、政界をころころと付く人を変えてのし上がっていく様など、政治批判・小池批判の前に力作であり読み物として大変面白かった。

    それにしても、小沢一郎が彼女をして「ゲッペルスになれる」と人前でほめそやしたというエピソードは感性がどうにかなっているとしか思えない。

  • 都知事選の直前のタイミングで発売された本書は、都民全員に読んでほしい本である。
    小池百合子の「芦屋令嬢」という出身の誤魔化しから、カイロ大学首席卒業の学歴詐称、ニュースキャスター時代、その後の政治家としての活動について、淡々とその欺瞞を記述していく。本当に嘘・デタラメばかりのやばいエピソードが恐ろしく、400頁超であるものの、読み始めたら止まらなくなる。ちょっと調べればわかりそうな嘘についてすら、マスコミは裏付けを取っていないことに驚く。そして、小池百合子を持て囃した男性たちがいた。
    希望の党の惨敗からしばらく大人しくしていたかと思えば、オリンピック延期が決まってから、連日のように小池百合子がテレビに出ている。コロナ対策のため、都民のためと言いながら、妙に活き活きしているように見える。
    自民党のある女性議員は、小池の仕事をこう評したそうだ。
    「実効性を無視し人が手をつけていないことをやりたい、というお気持ちが強い。自分が一番で自分が先駆者だと言えることをやろうとする。あるいは、人が先鞭をつけたことでも自分の手柄のようにしてしまう。いつも肝心なことではなくて、どうでもいいことに、熱心でいらっしゃるように見える」
    たぶんオリンピック中止になるけど、小池百合子の「物語」はまだ続くのか?見ものである。

  • これは渾身のノンフィクション。
    物語として読ませる力量もある。
    どこまで真実に迫っているかは分からないけれど、小池さんの笑顔でも笑ってないような目の訳は少し分かった気がする。認めたくはないが憎めないのも本音。
    この本を読んで小池さんを批判して投票しないのは簡単だが、それで済むほど簡単でもないのが民主政治。直接選挙で首長を選ぶ知事選は難しい。自分達に直接選んだ責任が降りかかるという意味で。

  • 怖かった、、、
    どこまでが真実なのだろうか、、、

  • 前回の知事選の折小池百合子を「緑のタヌキ」と評した人がいたが、まさに人を化かすような胡散臭さをプンプンと漂わせながらもどこか愛嬌があり、何より機を見るに敏で大胆に行動するクソ度胸には組織に縛られた優等生的政治家にはない魅力を感じていた。当時自分も小池劇場に魅せられた一人だった。

    この本は丹念な取材に基づいて、いわばその化けの皮を剥いで小池百合子という人物のヴェールの裏側に光を当てた渾身のドキュメンタリーである。幼少期の生い立ちから現在に至るまでの彼女のまさに綱渡りのような人生の道程が俯瞰できるとともに、それぞれのステージで彼女に直接関わった人たちの証言によって様々な衝撃的なエピソードを知らされることになる。

    「え”ー」「うっそー」「どんだけー」。。空いた口が塞がらない、自分の中の常識の尺度が壊されてしまう、そんなエピソードの数々をジグゾーパズルのピースのように額縁にはめ込むと、小池百合子というタヌキならぬ一人の人間(?)としての実像が闇の中から浮かび上がる。

    人を利用価値のみで測り、その価値がなくなれば平気で裏切る。ときの有力者にすり寄る手練手管は天才的だが、信頼して頼ってくる弱者には極めて冷たい。自分にスポットライトを向けさせる演出力は抜群だが、そのためには平気で嘘をつく。要は野心と利己心の塊り。この手の人間が一時期我が国初の女性総理候補としてもてはやされたことに私自身期待を抱いてしまったことに暗澹たる気持ちになる。

    一方、彼女の半生を俯瞰で見たとき、地盤看板ももたない一人の女性が伏魔殿のような政界でここまでのし上がってきた手腕と風を読む鋭い嗅覚と電光石火の如く実行する度胸の良さを「スゲー女だ」と評価する向きがあることを否定するつもりもない。

    人の価値観は多様だから、この本を読んだとしても結局小池百合子に対する評価は分かれるかも知れない。現にお友達を重用する安倍晋三は彼女を遠ざけたが、一匹狼で世論の風を味方につけた小泉純一郎は彼女を重用して環境大臣のポストを与えた。小泉純一郎は彼女の首にリードをつけることができたのだろうか。

    今後自分は一有権者として政治家小池百合子をどう捉えたらいいのか。
    個人的な結論としては、将来如何なる政局の風が吹いてきても、この人に総理の座を与えてはならない。彼女は超危険な劇薬だ。劇薬もときに使いようだが、必ず危険物取扱主任者の管理下に置かなければならない。必要なときに必要な用量だけ慎重に使用されなければならない。

    自己顕示欲を嘘で塗り固めた人間は、その嘘を守り抜くために平気で何かを売り渡す危険が高い。その何かが国であったとしたら国民にとってその代償はあまりにも大きい。

    小池百合子という人間が女帝の如く大きな存在になり得たのは、彼女の秘密を知りながらこれを護り利用しているさらに大きな力が働いているのかも知れない。彼女を取り巻く闇の深さを感じる。

    何かと批判が憚れるような息苦しさを感じるこの国の空気の中で、長年の取材によりあえてこの本を出された著者と軍事政権下のエジプトで政治家のタブーに触れることのリスクを覚悟の上で学歴詐称について証言された早川玲子さんにおかれましては、素直にその勇気を讃えたいと思う。

  • 綿密な取材を元にした素晴らしい本。
    現東京都知事「小池百合子」の実情。

    しかし、すごい話・・読んでて恐ろしくなった。

    もちろん、彼女が生まれもったアザや、父親の振る舞いについては同情する。しかし、その結果として、平気で嘘をつき、人を裏切るようになった人間が、国政や都政など多くの人の生活に影響を与える役職に付いていることは、さすがに看過できない。

    小池氏は本当に多くの人を裏切っている。

    早川さん(仮名)、元総理の細川氏、小沢氏、小泉氏、安倍氏、前原氏、都民ファーストの会、国民民主党(元希望の党)の面々。本音で話せる友人が周りに一人もいないのがよくわかる。これだけ他人を裏切る人など、間違っても友達にしたくない。

    嘘に塗り固められた人生。ゾッとする。。

    さらに読んでて暗くなったのが、この人が政治家になったことは、日本の政治に対して明らかに悪い影響にしか与えていない、ということ。良い面が1つもない。もちろん、今の政治の酷さを小池氏だけに還元する気はないけど、環境大臣や防衛大臣時代、現在の都知事もそうだが、パフォーマンスのみで実問題を何も解決していない。政治家でいることが「手段」ではなく「目的」である典型の人。「〜を達成したいから政治家になる」という思想が何もない。

    そして、さらに暗くなるのが、この小池氏と現総理の安倍氏の類似性だ。
    共通点は「恥を知る精神がない」こと。
    結果として、平気で嘘を付く。責任も認めないし取らない。本当に共通している。しかも、その二人が国政のトップである「総理」と、東京都政のトップである「都知事」なんて・・。悪い冗談にしか思えない。

    小池氏は、このコロナ禍の対応でもパフォーマンスに終始した。オリンピック延期までは何もせず、会見では自分だけをアピールし、東京アラートなど実行性は何もないパフォーマンスにお金を使った。

    この問題には、本書でも語られている通り、マスコミも関係している。共犯者だ。散々この小池氏の嘘を宣伝してきた。そして、小池氏のパフォーマンス選挙に乗っかり、厳しい追求を何もしてこなかった。オリンピックは自分たちの利権でもあるので。マスコミに多少なりとも批判能力があれば、小池氏はここまで権力を握ることはなかっただろう。

    東京都知事選は7月5日に行われる。
    現予想では小池氏の圧勝・・と言われている。
    評論家などがしたり顔で語っている。

    本当にそれでいいのか?
    いい加減、顔立ちの良い人やパフォーマンスが上手い人ではなく、実務的な問題を淡々とこなす知事を選ぶべきじゃないのか?

    それがこのコロナ禍の学びじゃないのか?

    都知事選の結果が「小池氏の再選」だったら、さらに失望が深くなる。ただ、私は一度日本に絶望しているので、許容範囲内ではある。おそらく、東京都民はそういうバカな選択をするとも思っている。

    しかし、どんな立場が高い人だろうが、「浅ましいヤツは浅ましい」「バカはバカ」と見抜けるよう、知性や知恵を身につけていきたい。

    今回その1つのきっかけを与えてくれた、著者の石井さん(と早川さん)には感謝します。

  • 多分読まないけど

    『女帝 小池百合子』著者に聞く、小池都知事に賛同できない理由 | Close Up | ダイヤモンド・オンライン
    https://diamond.jp/articles/-/240531

    『女帝 小池百合子』石井妙子 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912301

  • 小池さんに対して、
    好き嫌いや支持不支持に関わらず、
    読み物としてとても面白かった。
    物語をつくりあげる人の真実を取材することは
    大変な労力が必要だったと思います。

    感情を映し出さない冷たい目、
    この人はどこまで本心なんだろうとこれまで懐疑的に見てきましたが、なぜそう見えてしまうかがようやくわかりました。
    もちろん人の上に立つことは簡単なことではなく、
    その為に捨てなければいけないこともたくさんあると思います。着実に自分の目標を達成していく姿勢は尊敬しますが、人を捨てる人にはなりたくないな。。。

  • 都知事選の結果が出るまでに読み終わらなくてはー。今の所、悪口レベルのくだらない本。家が芦屋でも貧しいとか親が変なやつとか顔にあざがあったとか、もうちょっと書き方ないの?学歴詐称もいっそもう百合子が認めればよいのに。気にしないよ。ずるいといえばずるいけど、学歴詐称以外は悪いことしているわけではないし、こんなに強く生きてる百合子はすごいなーと思っちゃう。今回の都知事は落選してほしいけど。
    途中、土井たか子の話が出てきて、ちらっとだったけど、早くこんな本読み終わって土井たか子の本を読みたいと思ってしまった。
    都民ファーストが都議選で圧勝のくだりはもう笑うしかない。49議席を獲得し、都政において小池を阻む障壁は完全に取り払われた。だが、問題は彼女自身にあった。彼女は別に都政でやりたい事などなかったのだ。求めたのは新たな敵と新たな戦場。戦地でしかヒロインになれないと知っていた。
    この本によると、環境大臣の時には官僚に忖度して水俣病の賠償金が増えないよう認定基準は作らず、クボタのアスベスト訴訟も真剣に向き合わず、防衛大臣のときには沖縄財界に忖度して辺野古基地のV字建設案を推した。理念がなく、民に寄り添わないが、日和見は上手で注目されるのは好き。こういう人って最終的にみんなが喜ぶことをやってくれたりしないのだろうか?

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著者プロフィール

石井妙子 (いしい たえこ)
1969(昭和44)年、神奈川県生まれ。白百合女子大学卒、同大学院修士課程修了。2009年『おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)』を執筆。綿密な取材に基づき、一世を風靡した銀座マダムの生涯を浮き彫りにした同書は高い評価を受け、新潮ドキュメント賞、講談社ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞の最終候補作となった。『原節子の真実』で第15回新潮ドキュメント賞を受賞した。2019年、「小池百合子『虚構の履歴書』」で第25回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。

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