- 本 ・電子書籍 (262ページ)
感想・レビュー・書評
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私の父は言う。人はただ地球の物質から造られ、地球の物質に還っていくだけだと。
これも父の言葉。人生は芝居だと。人により主役を演じたり、裏方のプロデューサーになったりもする。何らかの役割を与えられて泡沫の人生を演じるのだと。 -
入院中、読みました。
大したことない入院でしたが、弱っていたのは確かです。
しっかり生きなくちゃと空回りしている自覚も、ちょっぴりありました。
半生を、信じたかった人に全否定された時期でもあります。
そんなときだったから、本当は、このタイトルの本を読まないほうがいいのかもとも、思っていました。
でも読んじゃった。
読んでよかったです。
地続きの自分の人生を、ここからも丁寧に紡ごうと思えました。歩いた土の中に、子どもたちが受けとれる何かを一粒だけでも贈れるように。
誰に否定されても、自分まで自分を否定することがないように。受け入れて、楽しく、気持ちよく、時間を重ねていこうと思います。
死について語られているけれど、生について問いかけてくる本でした。 -
人が死を受け入れるのには段階が
あるのだそう。まずは否認して、
怒って、抑鬱になって、、、。
私にとっては、今後親が死を迎えるのが
身近なテーマと思われる。
近くで見守る上で、
どのようにサポートできるだろうか。
どんな環境であれ、
元気に死を迎えられるように、
支えてあげたい。 -
人生は長さよりも内容だというのは、余命わずかな末期だけを考えても同じこと。ただ数日延命することよりも、少しでも幸せ寄りで終わりたい。
「病気はくじ引き。何をしたか、しなかったかではない」。あ〜、私はどんなふうに終わるんだろ。これから見送ることになる人、そして見送られることになる自分… 漠然と考えているよりも現実は大変そうだと思いました。
在宅医療の良さと対照的に、ちょこっと出てくるのが作者のお母さんの入院先のひどさ。えー、怖い!ひどい!鬼! でも私はやっぱり家族に負担をかけるより、病院でお仕事として扱われたい。 -
みんなができるわけではないが、家で家族に看取られながら旅立つことができるのは、きっと幸せだろうと思う
どれくらいの人がそんな旅立ちができるのだろうか
自分はどうだろう?
決められるものなら自分の最後は自分で選びたいと思う
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住宅ローンの団体信用生命保険で、死について健康について考えることが多くなり、この本を手にした。
ガンは最後の1週間前までは動けることを知り、3階建て住宅に対する悲観論が消えた。
逆に、認知症・ALS・胃ろう等で長期看護を受けると、在宅は大変、病院は悲惨、という現実を知った。
病院は忙しさのあまりあまり見てもらえず、唇は黄色い痰で覆われ、目尻には目やにが溜まる、鼻からは鼻血が出ている。
認知症・ALS・胃ろう等は意思疎通はできないが、たいていの場合、感情が残っていて凌辱され続けている。(顔がひきつっている)
ガンになると、民間療法など何かを信じるというより、なんとか信じようと懸命になっている場合がある。
抗がん剤によって肝不全になり、ひどいかゆみに襲われることがある。
痛みは緩和する薬があるが、かゆみを緩和する薬はない
医療の進歩で、助かるための選択肢が増えたが、反面可能性にすがることで選択することの過酷さが増している。家族や金銭の協力により、家を失ったり、離婚したりするケースがある。
病気は運命的な部分が大きい。
どれだけ努力をしても、個人の力でどうすることもできない、目に見えない潮目はある。
私たちはそれでも、そんな海をひたすら泳いでいる。
医療というのは、究極のところ、すべて延命措置。
どこまでやるか、やめるかは、医師次第。
近づく死を前に、その恐怖で何もできなくなるのが普通。
主人公は、病人だからベッドに寝て、病院食を食べるのではなく、ディズニーシーに行き、キャンプに行き、寝袋で寝た。小学生のように今を楽しみ尽くした。
危ないから不便だから、と自ら行動を制限しがちだが、死の1週間前までは階段の上り下りだってできる。
死が遠ざけられて、子供達が死を学ぶ機会を逃している。
出棺のあいさつでは、拍手が鳴りやまなかった。
心をこめて、仕事し、遊んだ人間は惜しまれる。
死んでる様に生きていては人生の無駄使いだなと痛感した。 -
人は生きてきたように死ぬ。老人ホームの施設長さんにも言われた言葉だが、この本でも在宅ケアチームの人達が言っている。看取った人との時間を思い出し、噛み締める。
もう一つ、死ぬ人は自分にも周りの人にも一番良い時間を選んで亡くなる、とあった。そうなのかもな、とうなづく。父は一緒に厳しい時間を過ごした後、私がちょっと自宅に帰った間に、もういいよ、先に行くわ、という感じで穏やかに一人で旅立った。母は私が来るのを待ちかねたように亡くなった。それぞれに合った逝き方だったと思う。
奥深い本だ。手元に置いて何度も読み返すと良いかもしれない。
著者プロフィール
佐々涼子の作品





