業界破壊企業~第二のGAFAを狙う革新者たち~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 斬新なビジネスモデルやテクノロジーを市場に持ち込み、業界の勢力図を一変させる。今、急成長を遂げているイノベーション企業の数々を、体系的に紹介した書籍。

    最新のスタートアップ企業の傾向は、イノベーションの源泉の違いによって、次の3つの型に分類できる。
    ①プラットフォーム型:
    プラットフォームで需給をつなぐ家をリフォームしたい人が、内装業者やデザイナーなどと直接つながれるサイトを運営するHouzz、飲食店・顧客・宅配者をマッチングするしくみを作ったDoorDashなど。

    ②ビジネスモデル型:
    ビジネスモデルで斬新な顧客体験を生む寝具をオンラインで販売し、顧客の購買行動のストレスを排除したCasper、糖尿病患者に特化し、医師とコーチによるチーム医療をオンラインで提供するVirta Healthなど。

    ③テクノロジー型:
    模倣しにくい独自の技術を強みにする薬剤をコーティングすることで農作物の鮮度を保つ技術を開発したApeel Sciences、本物そっくりの植物由来の人工肉を製造するImpossible Foodsなど。


    近年、スタートアップを取り巻く環境は、大きく変わりつつある。
    2019年、上場したUberの時価総額がアナリストの予測を下回り、投資家たちは新興企業への出資に対して不安を抱くようになった。こうした問題に端を発したバブル崩壊への予兆は、巨大な金融危機をもたらす可能性がある。

    従来は、お金や称賛などへの渇望が、スケールアップを目指す起業の最大のエネルギーだった。だが最近は、「優しい気持ち」や「幸せな体験」などを心理的エネルギーとする起業家が増えてきた。物質的な価値を超えて、人々の幸せを追求する新しい事業創造を「ハッピーイノベーション」と呼ぶ。

  • 「共感」のキーワードが心に刺さる。確かにそうだ。

  • 文章がすごいすっきりしていて、新書らしくサクッと読めた。

    期待していた新興スタートアップ企業の概要や特徴の紹介が分かりやすくこれを読むだけで十分元は取れた。

    しかしそれだけでなく、昨今のスタートアップの傾向や今後の流れについて、いくつかのキーワードを基に簡単に整理されている点もわかりやすかった。

    スタートアップに関するバブル的側面にも触れ、単純なスタートアップ礼賛になっていない点もよかった。

  • 最近のスタートアップの勝ちパターンが、海外のスタートアップ事例と共に解説されている。
    考察部分は起業の科学などの理論と同じなので新しさはなかった(ただ個人的には「ここはどの著者も同じことを言っている」という気づきになったし、初学者に理解しやすいよう纏まっていたとは思う)。
    よって事例集と思って読み進めたが、海外の事例がほとんどなのが新鮮で、情報も新しい&比較的深いことから、学びが多かった。

    ハッピーイノベーションの章に書かれていた「完璧さから寛容さへ」という言葉は的を射ていると感じた。

    <プラットフォーム型>
    Opendoor:不動産のオンライン買取販売
    Convoy:トラック輸送のマッチング
    SoFi:P2Pレンディング
    Houzz:住宅のリフォームプラットフォーム
    DoorDash:オンライン宅配

    <ビジネスモデル型>
    Peloton:在宅フィットネス
    Casper:製販一環のオンライン寝具販売
    Duolingo:アプリによる語学の無償学習
    Rent the Runway:デザイナー品のサブスク
    Udacity/Coursera:オンライン教育
    Progyny:不妊治療相談サービス(会社の福利厚生)
    Ellevest:女性向け投資顧問(ライフステージ考慮)
    Thinx:女性の生理用ショーツ販売
    Robinhood:手数料なしの株式売買サービス
    Virta Health:糖尿病のオンライン診察・コーチング

    <テクノロジー型>
    LenzaTech:微生物のガス発酵技術
    Phononic:半導体による冷却機器製造
    Synack:ハッカーによる脆弱性検査
    Indigo Ag:微生物による農業効率化
    Apeal Science:食品コーティングパウダー
    Impossible Foods:植物を使った人工肉製造

  • クリステンセンが提唱した破壊的イノベーションの2タイプ(新市場型・ローエンド型)に、著者による3つの分類(プラットフォーム型・ビジネスモデル型・テクノロジー型)を掛け合わせたカテゴリーに合わせて、業界の勢力図を劇的に変えている企業、ディスラプター50から代表的な企業を紹介している。
    著者自身が複数回の起業でどん底も経験しているため、投資家の目線や最近のスタートアップの性格の変化などの考察に説得力がある。
    スタートアップの5つのステージは、実践的で勉強になった。

    最終章の、これからはミレニアル世代を中心とした”ハッピーイノベーション”が社会を席巻するという予測に、明るさを感じる。
    社会を変えるビッグアイデアではなく、自分が夢中になれるスモールアイデアを見つけることが起業のファーストステップになるというものだ。

    前述の分類の中で、やはりテクノロジー型が最もイノベーションレベルが高く大きな変革を起こせるものだと思うが、ディスラプターとして紹介されている企業は、その大元に、地球環境保護などのメッセージがある。
    (野菜や果物をコーティングして長持ちさせるApeel Sciences, 排気ガスをエタノールに変えて再利用するLanza Techなどが紹介されている。)

    同じく最近読んだ「医療4.0」で取り上げられた、医療現場発のイノベーションからも同じようなメッセージを感じた。身近な課題意識から社会を変えていく、という考え方が広がると、イノベーションも起業ももっと多くの人にとって身近なものになるのではないだろうか。
    「自分が夢中になれるスモールアイデア」で社会を幸せにするビジョン、ミッションを持ったスタートアップが増えていることに希望を感じ、自分もまだ何かできることがあるんじゃないかと思える。

  • ディスラプティブなスタートアップ企業に関する研究と紹介。
    スタートアップのストーリーが非常に面白かった。

  • 今後注目の企業を前半で紹介、後半でスタートアップの流れの変化を取り上げるという構成。
    紹介されている20超の企業、ほとんど知らなかった・・・やっていることはいずれも面白そうだし、プラットホーム型といった区分けのおかげで、よりイメージがしやすかった。
    後半の、あえて大きくし過ぎない起業の仕方というのは、より結果を出すことにシビアにならざるを得ない現状を考えても、現実的な考えなのかと感じた。

  • イノベーションを起こしている企業が体系的に整理されており、理解しやすかった。

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著者プロフィール

さいとう・とおる
1958年生まれ。1982年西武百貨店入社。
流通産業研究所、パルコを経て
1997年大手広告会社入社。
現在、研究部門で生活者・トレンド研究、消費・流通などの
分析を行っている。
著書『吉祥寺が『いま一番住みたい街』になった理由』、
編著書『超高齢社会マーケティング』ほか。

「2017年 『ショッピングモールの社会史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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