ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの湊さん!
    多視点が面白い書き方。引き込まれ方。

    毒親って、その子の視点からじゃないと分からんやんね。あくまで親は躾けてるつもりなんやし。
    これを読んでて、滋賀県の母親遺棄事件を思い出した。
    後味も悪いんやけど、一瞬で読めた。
    湊ワールド恐るべし。

  • おそらくこれは2度目の読了。

    母とか娘とかそんな区切りが邪魔なのか。
    母だから全ての世話をしなければ、娘だから母の喜ぶ振る舞いをしなければなんて世間がいいとする適当なモデルの真似みたいだ。
    誰がそれをして喜ぶのだろう。

  • 毒親。。母と娘の関係は特に難しい。
    性格が違う二人だと特にその溝は深く、永遠に平行線は続く。
    娘側にもっと早く言い返せる強さがあれば違っていたのかな。。
    最後の最後で最悪の形で反旗を翻して母親の生きてきた全てを否定してしまった。
    母親側に娘の心の声を聞く耳があれば違っていたのかな。。
    娘側にも母親にも弱さや葛藤や色んな背景があったことに気づく想像力があれば違っていたのかな。。
    親の呪縛から卒業するには、自分を幸せにするのは自分しかいない!と自立することかな。。
    親を恨み続けてる限りは前には進めないと思う。。

  • ああ、湊かなえさんだー。
    どの短編も、最後に切れ味するどくシュパッと切られます。心が。

    湊さんの本を読むと、
    唯一絶対の正解とか、正しい道とか、そういうものはすべて妄想だということに気づかされます。
    とすると、人は、何を旗印に生きていったらいいんだろう。

    2018/10/31

  •  湊かなえさん、本屋でよく見かけて気になっていましたが、今回初めて読みました。読後に嫌な気分が残るミステリー”イヤミス”の代表と言われる方です。

     本作もその点で言うと充分”イヤミス”を堪能できる作品かと思います。
     構成は「マイディアレスト」「ベストフレンド」「罪深き女」「優しい人」「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」の6篇からなる短編集。解説の清水さんによると、湊氏の作品は「母と娘」がテーマになることが多いらしく、本作はすべて女性が主人公です。

     確かに読了後、なんとも言えない気持ちになりました笑
     母の良かれと思う気持ちを娘は理解できない一方、娘は母のいう事を聞いたがために人生が壊れたと主張する。とまあ、どこの家庭でも多かれ少なかれありそうな平行線な話がリアルに描かれています。
    小説ということで親子関係の描写はやや誇張され気味で、こんなの本当にあるのかよと思ってしまう一方で、確かにありそうだなー、うちも気を付けないとこうなる、と恐ろしくなりました。

     思うらくに、日本人は他人を思いやるようにと言われて育つ一方で、気持ちの確認作業が余り上手ではないのだろうと思わせる一作でした。

     読了後にお尻がむずむずするような落ち着かない心持になりたい方には是非!

  • 「告白」に続いて二冊目の湊作品を読了。
    湊作品の特徴は多視点にあるうようだ。一作品に複数の告白者が登場するのだが、同じ事実に対して全く異なる解釈を提示する構成が多いようだ。それぞれの思い込みや善意が他者にとっては悪意に変貌する。その解釈のギャップが事件を引き起こすのだ。
    視点が変わった途端、「こんな風に見えてたの?!」という驚きがある。

    現実に起きているトラブルも解釈のギャップから起きることが多い。誰かの善意が悪意に転化する瞬間。身近によくある行き違いを小説として昇華する手腕を才能と呼べばよいのだろうか。
    本作は短編だからこそ、著者の本質的な視点がよく見える作品だったと思う。


    ●マイディアレスト
    母から厳しく躾けられた姉と奔放に育てられた妹。結婚相手は親に反対され、仕事も続かない。実家暮らしの姉のもとに結婚前に妊娠した妹が里帰りする。そんな妹を甘やかす両親。自分への態度の違いにストレスを溜めていく姉。ある日、二人で買い物にでかるが…

    ●ベストフレンド
    脚本賞で優秀賞を取ったライバルに嫉妬する主人公。受賞パーティーで知り合った三人は連絡を取り合うようになるが…

    ●罪深き女
    母子家庭で育った主人公は母親に強く束縛されている。ある日、同じアパートに母子家庭の親子が引っ越してくる。育児放棄のように見えた年下の男子に食事を与えるうちに仲良くなる主人公は束縛する母親から助けてほしいと男子に愚痴を言うが…

    ●優しい人
    誰にでも優しい主人公。子供の頃から関わる男たちに何度も誤解されてきた。大人になり、勤め先の冴えない男子社員にも優しく接するうちに好意を持たれるようになるが…

    ●ポイズンドーター
    女優の主人公はあるテレビ番組のオファーを受ける。テーマは「毒母」。毒母に苦しむ若い子たちのために自身の過去の経験を語る決意をするのだが…。

    ●ホーリーマザー
    ポイズンドーターの後編にあたる作品。
    ポイズンドーターでは娘側の視点でストーリーが語られたが、本編では同級生視点で主人公の母と自殺した同級生の話が語られる。湊作品の真骨頂である複数視点で一つの事実が語られ、全く異なる解釈(ストーリー)が浮かび上がってくる。短編だが読み応えのある作品。

  • 湊かなえの小説を久しぶりに読んだが、やはり面白い。
    スラスラ読めて、その世界観に引き込まれる。

    視点が変われば正義や事実も変わる。
    どの話もゾクッとさせられる秀逸な内容だった。

  • 毒が漂うこの感じ、好き

  • 短編なのが絶妙。。。!
    後にどんな展開が待ってるのだろうと読者に余韻の残す感じが最高。
    毒親って一言で言っても立場によっては本当に毒親か???
    と考えさせられる。。。

  • やはり、湊かなえさんの母と娘のどろどろ感情物語は一級品。

    表題作「ポイズン・ドーター」「ホーリーマザー」では結局毒なのは娘の方だったという結末だったが、個人的には娘には娘なりの苦悩があり辛いと感じた過去があるのではっきりと善悪の線引きは出来ないと感じた。

    娘のような人が浅瀬で大袈裟に騒いでほんとに溺れかけている人が救われない云々の流れもそうだ。
    自分が辛い時にもっと辛い人がいるから、と言われるとどうだろう。
    助けを求めることを躊躇う癖がついてしまうと浅瀬だと思っていた場所が気付けば沖になっていることもあるんじゃないかと思った。
    論じるとこはそこじゃないかもしれないが…

    結局母と娘のことは母と娘にしか分からないんだろうな。


    他の4編も一見平穏だが心のコップにパンパンに水が溜まっている女性たちが主人公。
    コップの水が溢れる瞬間、誰しもいつ何が引き金になるか分からない危うさを持っていることを感じた1冊だった。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

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