Klara and the Sun: The Times and Sunday Times Book of the Year (English Edition) [Kindle]
- Faber & Faber (2021年3月2日発売)
本棚登録 : 58人
感想 : 9件
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感想・レビュー・書評
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クララってヴァイオレットエヴァーガーデンぽいな?と思ってたら最後トイストーリーみたいな展開に泣きそうになった。カズオ・イシグロを原書で読むのは『Never Let Me Go』以来。日本語を通さないぶん、一文一文が鮮烈な(ときに曖昧な)イメージの連なりとなって脳内に受容され、わたしだけの物語が手探りで描かれていく感覚を堪能した。この読み方はこの物語には合ってた気がするし、あとで気になった単語や表現を翻訳版でチェックする楽しみもできて満足。最初のうちは違和感を取りこぼさないよう毎晩ちょっとずつ読んでいたんだけど、60%を過ぎたあたりから先が気になってほぼ一気読み。この手の、物語の世界に没頭して夢中で読み耽ってしまうタイプの小説って、読む行為それ自体の気持ちよさに溺れて「何を伝えようとしているのか」「この作品のテーマは!」みたいなことを考えるのを忘れちゃうのが私の悪い癖(思えば、はるきとかもそうだった!)。ともあれ、本作の場合、現実社会の諷刺パートはそこまで斬新ってわけでもなくて、普通に生きてれば日々当たり前に思い知らされてることのような気もするんだが、それをどこかホラーっぽい気味の悪さで「え?え?なんなの?どういうこと?」ってのめり込ませる手腕がお見事。私にとっては「語られること」より「語り方」の巧さがいつまでも印象に残りそうな小説でした。なかでも、クララの視界が箱に分かれてしまうあたりは、初めての感覚で痺れた。もちろん、お話そのものの満足度も高く、人工物ゆえの無私のイノセンスを備えたクララのキャラクターはありえないからこそリアルに胸に迫るし、最後、若い人たちが親のドロッとした愛情にからめとられることなく未来へ向かって歩いていけそうで良かった。酷薄さ込みの若さがまぶしい(お日さまのまぶしさには負けるが)。
There was something very special,but it wasn't inside Josie.It was inside those who loved her.
↑終盤のここ、泣けた。これは家族や友だちの話だけど、ジョージーのかけがえのない記憶はクララの中にも残ってるんだよね。私の好きな歌の一節「On My Radio 僕らがいつか ロックのレコードを聴かなくなっても ロックはふたりをあの日のふたりを きっと忘れないから」をふと思い出した。人間の驕りかもしれないけど、物が覚えてくれている、って感覚わかる気がするな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めてのイシグロさんの作品。日本生まれの偉大な作家さんとあって、有難い気持ちで読みました。
人形がストーリーを語っていくので、どこか子供向けの本のような印象でスタート。でも、とても冷静に周りを観察して語られるので、そのギャップが面白かったです。主人公の純粋さが眩しくて、こちらまで心が洗われるような気持ちになりました。
巻末にある著者の写真を見ては、このしかめつらのおじ様が書いたのか・・と、またギャップに創造力が膨らみました。 -
なんとも言えない読後感。玩具以上友達未満なAFの立場がカズオイシグロらしい曖昧さで描かれてる。最近英語の練習でよくAIとお喋りしてるので、なんとなく自分の生活とも重ねながら読んでしまう。結局クララが頑張ったお日様の力はどう受け止めたら良かったのかな。静かに切なく幕を引く感じで安定感があった
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ちびちび読んでて、最後の30%を一気に読み終えた。
人間が主観で感じる孤独と、その人を見守る周りの人達を、AFが客観的に見守る。自分も周りの人と同じように愛情を持つが、自分は人間でないことを理解して、それが結果的にAFならではの孤独を生み出しているのか?あるいは、それも含めてAFとしてのアイデンティティなのか?
記憶と感情という、どうしても人間臭いものを、クララは暖かく見守る。そして、その自分を見守ることを太陽に望んだのではないか。物語が進行するにつれて果たす、店長と太陽の役割も印象深い。
クララ的なクライマックスと、読者的なクライマックスにズレがあるのも非常に面白かったし、とてもイシグロらしくて良かった。読み終えた後にジワジワと迫る恐ろしさと、自分の中での整理が付くことへの達成感。 -
ほんとは紙の本なんだよ! なぜか見つけられなくてKindle版の画像。
発売当初に買って、苦労して読んだ。また挑戦してみようと思う。 -
オーディブルで聴きました。
クララというAF(Artificial Friendというロボット)が主人公の近(遠?)未来。AFはお金持ちの家庭の子が買ってもらえる高級おもちゃ的な存在です。道で普通に見かけるほどだからペッパー君よりかなり出回っている。AFの髪の毛や肌の色についての記述があるので、人間に近い外観と思われるけれど、AFであると普通に判断できるので人間とは明らかな違いがあるのでしょう。どんなものなのかを映像で見てみたい。
AFはスマホのように次々に改良型が出てくるようで、クララは最新のものではなく、ひとつ前の型のロボット。ただし同じ型のロボットでも個体差があるようで、クララは人間観察眼がずば抜けている。そして、様々なシチュエーションを経験して、クララはさらに人間の感情を理解していく。
クララは買ってくれた家族想いで、理不尽な態度をされたとしても穏やかに大人な対応ができる、優秀なロボット。ただし、どんなに家族と交流を深めても、ロボットはロボット、という存在意義は変わらない。 Ishiguro氏の臓器移植用に生まれ育った子供たちのお話「私を離さないで」で感じたような、どこか割り切れない寂しさがずっと流れています。この余韻はずっと残ります。おすすめかと言われたら「ぜひ!」とは言えないけれど、映像で見てみたいかと言われたら、「絶対見てみたい!」です。
少女の肖像があきらかになる場面は、かなりな衝撃シーンになることでしょう。 -
初めてのカズオイシグロ。題名とは裏腹にかなりダークな話だった。人間の嫌さがイノセントに書かれていた。誰も彼も勝手だねぇ、、、
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カズオ・イシグロの最新作でノーベル文学賞受賞後の第一作。
SFの形を借り、ロボットと女の子の友情を通して人間の愛や感情という、機械で代替えできない繊細な部分を描いている。どんどん作品に引き込まれ、ロボット女子に感情移入してしまうくらいの傑作です。
クララは、AF(Artificial Friend、ロボ友?)と呼ばれる、おそらく少子化に対応して、子供たちの友達にできるように開発されたロボット。店頭でディスプレイされ、下見にきたジョジーと仲良しになり、その後改良型も発売されたのに、自分を選んでくれたジョジーと母親に感謝して一緒に暮らしている。また、ソーラーで動いているので、おひさまは全能だと信じている。
勉強熱心で、ふたりを喜ばせるために人間の感情を学びたいと思っているが、なかなか難しい。病弱なジョジーが、調子が悪いのを隠してクララをハイキングに連れて行きたがった時、結局怒った母親がクララだけと出かけることになり、そこで「ジョジーの真似をしてみて」と指示されたので、一所懸命実行するが、二人とも機嫌が悪くなってしまったり。
ジョジーの病状が悪化するに伴い、母親は恐ろしい計画をクララに打ち明ける。クララは、この家族のためならと同意するが、もうひとつ、ジョジーはおひさまに助けを求めてみる。
全てがクララの目を通して語られ、背景に何の説明もなく、AF, oblong, high-rank, lifted, Cooting Machineなど、何を意味するかわからない単語が出てきて、読み進むとなんとなくわかってくるのは、Never let me goに近くてまさにイシグロ的。
イシグロ作品を初めて読まれる方は、(特に英語だと)戸惑われるかもしれませんが、絶対おすすめの一作です。
KazuoIshiguroの作品
