NHK 100分 de 名著 吉本隆明『共同幻想論』 2020年 7月 [雑誌] (NHKテキスト) [Kindle]

制作 : NHK出版日本放送協会 
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感想・レビュー・書評

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  • 学生時代に(粋がって)「共同幻想論」を買ってきて、読んだことがあった・・・内容は全く理解できずに、すぐにギブアップした記憶が残っています。

    あれから長い年月を経て、今回は再チャレンジ。
    吉本の戦争体験(というか軍国少年が戦争に参加出来ずに終戦になり、価値観の大転換が起こったこと)から説き起こし、「個人幻想」「対幻想」「共同幻想」に分類し、「遠野物語」「古事記」からの引用の内容を噛み砕いてくれたNHKの編集が良かったので、バカな私にもそれなりに理解できたのでは??? と勝手に思っています。
    これにより以前に読んでよく理解できていなかった「吉本隆明・江藤淳全対話」の内容がかなり理解できるようになった。

    ただ、吉本隆明が戦後最大の思想家と評されているが、「共同幻想論」を初め、吉本の著作は、一般にはそれほど読まれているとは思えない。
    以前、内田樹と高橋源一郎の「吉本隆明と江藤淳―最後の批評家」という対談で、内田が東大文Ⅲのとき、殆どのクラスメイトが吉本隆明の本を読んだことがないと言う記述があった。
    恐らくそれが実態で、1970年代前後の全共闘のバイブルでもあり、極左という位置づけで、幾分当時のマスコミに祭り上げられたのでは・・・
    そういう意味で「戦後最大の思想家」というが、本を読まれていない、もしくは読んだとしても読者が理解できていないということを考えると、影響力という意味では、どうなのだろうか・・・と、ふと疑問が湧いてきた。

    話が脱線するが、吉本隆明の江藤淳への追悼文を読むと、この極左と思われていた人が、保守の論客であった江藤淳を本当に信頼していたことが良くわかるし、日本の状況がどうかとか、知識人と思想のあり方ということに関しての二人の考え方のプロセスは殆ど一緒だったように思う。ただ最後の処方箋の所で、右と左に別れただけのような気がします。

    今回、この本を読んで、学生時代にふと戻った感覚がして、当時の状況を含めて懐かしく思い出した次第です。

  • 日々は緊張の連続である。
    それが人間の本質であるという夏目漱石に共感している

    個人自己幻想
    対幻想
    共同幻想

    大衆の原像

  • 吉本隆明「共同幻想論」
    初めて知ったのは20代後半、ダヴィンチっていう本の雑誌で特集されていた(気がする)。
    非常に難解だという話を聞き、それでも頭に引っかかりつつ、吉本さんの別作品をいくつか読んだ。刊行当時の1968年、学生達の間ではこの本を持ち歩くのがある種のステイタスだったらしい。
    ていう話を、何でもよく知ってるお客さんに聞いた。そんな彼でも未読であった書。

    100分de名著で取り上げられて、テキストも買ってめちゃくちゃしっかり読み込んだら、ちょっと震えた。
    市井の人々の毎日に、沈黙の意味性を見出す感性とか、自らを思想家と名乗る真剣な覚悟とか、繊細な見方で丁寧に元を辿る道筋、元とはつまり、「人はなぜ何かを信じてしまうのか」。

    引用されていた夏目漱石の「思い出す事など」(青空文庫にある)の一文、

    生を営む一点から見た人間は、まさにこの相撲のごとく苦しいものである。吾われらは平和なる家庭の主人として、少くとも衣食の満足を、吾らと吾らの妻子さいしとに与えんがために、この相撲に等しいほどの緊張に甘んじて、日々にちにち自己と世間との間に、互殺の平和を見出みいだそうと力つとめつつある。戸外そとに出て笑うわが顔を鏡に映すならば、そうしてその笑いの中うちに殺伐さつばつの気に充みちた我を見出すならば、さらにこの笑いに伴う恐ろしき腹の波と、背の汗を想像するならば、最後にわが必死の努力の、回向院えこういんのそれのように、一分足いっぷんたらずで引分を期する望みもなく、命のあらん限は一生続かなければならないという苦しい事実に想おもい至るならば、我等は神経衰弱に陥おちいるべき極度に、わが精力を消耗するために、日に生き月に生きつつあるとまで言いたくなる。

    番組で柄本明さんが朗読していて、痺れるカッコよさだった。名文に改めて夏目漱石が一番すごいなと再確認したりもしつつ、、

    文学の役目は、一人一人に光をあてて、ことばによって共同幻想に抗うこと。
    って、わかると、心底感動する。

  • キーワード:共同幻想、個人幻想、対幻想、裂け目、逆立

    共同幻想に巻き込まれる=悪、ということではなく、なぜ所属しているのかを自覚し、必要があれば抵抗する意志を持つことが重要なのだと感じる。
    原典は少し読んでみたが難しい。
    何度かこちらを読んで、深く理解出来たら改めて読んでみたい。

  • これまで個人的に悩んでた理由がわかってスッキリ!
    ついでに『古事記』の解釈までできて、濃い内容だった。最終回はちゃんと見たい。

  • 2020/10/25
    再読した。前回は寝ながら、今回は机の前で
    時間性というところがよくわからない
    また読んでみよう

    2020/07/22
    一昨日は先崎彰容x鹿島茂 の特別対談番組を聞いた

  • 学生の頃に手には取ってみたものの完読に至らず。20年ぶりにふたたび再読する機会を得て楽しみにしている。

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