【正統派学園ラブコメ】
孤独を愛する大学生、桜井真一。そして彼の事を「悪人面(づら)根暗ボッチ」と断じ、「私がかまってあげましょう」とウザがらみする一年後輩の宇崎花。
たがいに素直になれないこの二人のコミカルなやりとりを、時に微笑ましく見守り、時にからかい、時に背中を押す周囲の人々を絡めた、ごく正統的な学園ラブコメである。
元々コミュニケーションを取るきっかけとなった「ボッチをかまってあげるワタシ」⇔「ウザいが付き合ってやってる俺」の構造で関係がある程度安定してしまったが故その先に進めない状況について、本人たちは無自覚。だが、亜細親子や榊などの周囲はとっくにお見通しで、その関わり方も、傍観姿勢の亜細親子に対し、積極介入姿勢の榊などわかりやすい差をつけており、それによって物語の進行に静と動のメリハリがついている。
コミックスは現在5巻まで刊行されており、回想部分を除き、物語時間としては1年ちょっと経過している。あと1年ちょっとで真一は大学を卒業してしまうが、これからの二人の関係がどう進展していくかが楽しみだ。キャラ依存の個別ネタにはならずにきちんと物語は進行していると思われるので、あと数巻でエンディングを迎えるのではなかろうか。
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本作は女性キャラのビジュアル設定の訴求ベクトルがある方向に限定されている為、見た目で拒絶反応を起こす者がいるであろうことは間違いない。が、基本の物語構造は前述のとおりオーソドックスな学園ラブコメでありドジっ娘ヒロイン側に積極性があるという面から、プロットは少年マンガベースというよりは少女マンガ的なラブコメだと言えるだろう。
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マンガ・アニメキャラのパブリックスペース進出に対し様々な議論があり、私もあまり積極的な擁護者ではないが、この作品そのものに対しては、過度に性的であるとは全く思わない。そして、素直に面白いマンガであると思っているので続編を楽しみにしているし、出版元の意向などでむやみに長引かせずこのままのノリでラストまで行って欲しいと思う。
(2020/08/09 1~5巻までのまとめ感想、アニメ5話まで既観)